寿栄屋（すえや）

独特の風情ただよう石畳の細い路地「石塀小路」に建つ、片泊まりのお宿です。一見民家のような、気を付けて歩かないと通り過ぎてしまいそうなたたずまい。目印は格子の引き戸にある「宿」とかかれた丸いあかりと、「寿栄屋」の看板です。

お宿は木造2階建。昔お茶屋だった建物を利用しています。お茶屋というのは、料理を仕出屋から運んでもらい、舞妓さんや芸妓さんを呼んでお客さまに楽しんでいただくおもてなしの場です。建造されたのは大正時代なのだとか。手入れの行き届いたお部屋は、歴史を重ねてきた風格すら感じさせます。

門をくぐり、赤いのれんをかき分けて玄関に入ると、笑顔が素敵で気さくなおかみさんがあたたかく迎えてくれます。まずはお茶とお茶菓子をいただきましょう。疲れた身体に嬉しいおもてなしです。

客室は3部屋。どの部屋も、時を経て色が深くなった木のぬくもり、畳の心地良さ、歴史を重ねた調度品、すみずみまで行き届いた手入れとおもてなしの心が心地良い空間を作り出しています。床の間には掛け軸や季節の花、違い棚には香炉がさりげなく飾られ、お部屋をいっそう引き立てています。廊下にはアーティストの作品が飾られているので、眺めるのも楽しいかもしれません。2階の客室からは、木々の隙間から高台寺の塔頭や、お宿のすぐ裏にある圓徳院の庭を眺めることができます。春は桜、秋は紅葉と、居ながらにして季節が感じられる特等席です。

お風呂は、大きさこそ家族風呂ほどですが、浴槽に檜を使っているため、優しい香りに疲れた身体が癒されること間違いなしです。お手洗いは各階に洋式のものが設置されています。タオル、バスタオル、寝間着、シャンプー、ドライヤーはお宿に用意がありますよ。

片泊まりなので夕食はありません。もし食べる所に迷ったら、おかみさんに相談してみましょう。老舗のおいしいお店、知られざる名店を紹介してくれます。お待ちかねの朝ごはんは、湯葉・聖護院大根・生麩など、京都ならではの食材を使った小鉢がいっぱいの「京のおばんざい」です。たくさんの種類を少しずつ食べたい、そんな女性の心をくすぐります。「お宿の朝食が旅の目的」という方もいるほどの贅沢な朝食で、１日を元気に始めることができます。

女性客が多いというこちらのお宿。外国人の利用客もいるのだそうです。京都の雰囲気満点「石塀小路」で、おもてなしの心にほっこり、絶品朝ごはんに癒される、心地良いひとときを楽しんでみませんか？