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京都MUSEUM紀行。第十二回【京菓子資料館】

京都ミュージアム紀行 Vol.12 京菓子資料館

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図案帳から飛び出した昔の菓子たち

京菓子資料館の特徴的な展示が「再現菓子」です。どんなに貴重な文書でも、文字情報だけではなかなかイメージがしにくい部分があります。

そこで京菓子資料館では、職人さんが参加し、資料の記載を基に実際に菓子を制作して展示を行っています。職人さんが制作している分、クオリティは折紙つき。思わず手を伸ばしてしまいそうなほどの出来です。これは菓子店が運営しているからこその強みといえます。再現菓子は随時新たに作成し、数を増やしているそうです


図案帳に掲載されていたデザインを実際に菓子として再現したもの。デザイン画と見比べながら楽しめます。また、中には実際に商品として味わえるものもあります。

京菓子の最高峰、お菓子のアート「糖芸菓子」

展示室内には、大きな生け花や巨大な牡丹や松の鉢植えも展示されています。これは本物ではなく、全てお菓子でできたアート「糖芸菓子」です。 糖芸菓子は主に砂糖ともち米粉を混ぜたものや干菓子、飴を材料にしており、花びらや葉の1枚1枚までが形も色も本物と違わぬ姿で精巧に作られています。京菓子職人の技術が総結集された、まさに芸術品といえます。触れるのはもちろん、ちょっとした揺れや湿度の変化でもヒビが入り破損してしまう恐れがあるため、保存にはとても気を使います。常設で見ることができるのは京菓子資料館ぐらいだそうです。

京菓子資料館の展示品で最大の糖芸菓子「華燭」。
周りには鶴や亀、紅白の帯などをモチーフにした菓子も並べられています。こちらは結婚式の際に出席者向けに配られた菓子を再現したものです。

展示室内で最も大きい糖芸菓子は、1992年に制作された「華燭(かしょく)」という作品。俵屋吉富の9代目(現社長)の結婚式に飾られたもので、3、4人の職人が半年かけて作ったのだそう。松の葉だけでも約1万2千本もの砂糖のパーツが使われています。さすがに年月が経ち色が薄くなっている部分もありますが、鮮やかな大輪の牡丹や、祝いの席に相応しい松竹梅が配され、金屏風にも負けない大変華やかな作品となっています。

糖芸菓子は主に「華燭」のように結婚式でウエディングケーキのように用いられたり、式典や行事の際の彩りとして制作されてきました。しかし、昨今では結婚式で和菓子が用いられることは減り、式典や行事でも制作に時間のかかる糖芸菓子を用意すること自体が少なくなっています。そのため、次の世代に糖芸菓子の制作技術を伝えることも難しくなっているそうです。技術を次代へ受け継ぐためには、作品を作り披露する場が不可欠です。京菓子資料館での糖芸菓子の展示は、文化や技術を伝えていくための発表の場としての意味ももっているのです。


全国菓子大博覧会に出展された糖芸菓子。
左は10年ほど前に制作された「秋麗」、右は前回4年前の作品「京の花ごよみ」。
現在、俵屋吉富では主に4、5年に1度開催される菓子博覧会出品のために糖芸菓子の制作が行われています。今年も4月の広島開催に合わせて新作を準備しているそうで、博覧会後には資料館でも公開されるとのこと。完成品をぜひ拝見したいところです。


糖芸菓子「藤」。俵屋吉富の小川店オープン
時に展示用として作られた作品です。他にも
過去の糖芸菓子はいくつか保存されているそうです。

企画展

時期によっては、テーマを設定した企画展も年1,2回程度開催されています。取材時には大河ドラマ「八重の桜」に併せ、主に幕末から明治・大正期の京菓子文化についての展示「明治・大正期の京菓子」が行われていました。
明治維新の後、天皇や公家が東京へ移り住むようになったほか、西洋の菓子文化が多く流入し、和菓子界は大きな転換を迫られました。当時の資料からは、洋菓子店に転進したり、西洋の菓子文化を取り入れて和洋折衷の新たな菓子を生み出したり、逆に和菓子の伝統を頑なに守ろうとしたり、と苦悩しつつも奮闘する職人たちの姿が伝わってきます。資料には俵屋吉富はもちろん、京都や関西地域の有名店の名前も見られ、菓子という切り口から見る関西、そして日本の近代史としても、大変面白い内容になっています。


高濱平兵衛「菓子考」
大正9(1920)年
1900年にパリ万国博覧会で京菓子を披露し高い評価を受けた高濱平兵衛の著書。論文「菓子考」には、洋菓子と和菓子の関係や、当時の日本の菓子業界の諸問題や将来について、鋭い考察が述べられています。


松田咲太郎「和洋菓子製法講習録続編」
大正9(1920)年
さまざまな菓子のデザインや製法を紹介した図案帳。和菓子はもちろん洋菓子も多数掲載されており、ここでは右に昔ながらの和菓子「松風」、左にデコレーションケーキが描かれています。

茶室で舌でも和菓子を体感。

資料館で和菓子の歴史を学んだ後は、菓子を実際に頂いてみたくなるものです。

資料館1階にある茶室「祥雲軒(しょううんけん)」では、隣接する工場で作りたての京菓子を、お茶と共に頂くことができます。茶室は立礼式で、茶道の経験がない方も気軽に利用できます。菓子は3種から選ぶことができ、俵屋吉富の銘菓「雲龍」以外は季節毎に変わります。

また、展示資料に掲載されている昔の菓子を復刻再現したものなど、展覧会に合わせて新たに制作された菓子も登場します。先に資料として見たものを実際の菓子として見て味わえるというのは京菓子資料館ならではのポイントです。

「京菓子はやはり食べ物。姿や色形を見て楽しみ、同時に舌で味も楽しむことを前提に作られています。展示で歴史を知って頂いた後は、ぜひ実際のお菓子を舌でも味わって頂ければと思います」
と、当日ご案内を頂いた広報の長野さんは仰っていました。

耳で名を聞き、目で姿形を見て、食べて、感じることができる文化財、それが京菓子です。京都の歴史や文化、美意識が凝縮された奥深い世界を、五感でじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。



茶室隣にある坪庭。「水琴窟(すいきんくつ)」が備えられ
ており、耳を澄ますと時折澄んだ音を耳にすることができます。

(取材に関しては、俵屋吉富の長野様、他スタッフの皆様にご協力を頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます)

京菓子資料館

所在地

京都市上京区烏丸通上立売柳図子町331-2

開館時間

10:00~17:00

休館日

水曜日、年末年始、展示替期間

お問い合わせ

TEL:075-432-3101(俵屋吉富 烏丸店)
FAX:075-432-3102

公式サイト

http://www.kyogashi.co.jp/

■料金

入館無料(お茶席ご利用の場合のみ700円)

■交通のご案内

【地下鉄】烏丸線「今出川」駅下車、北2番出口より烏丸通を北へ徒歩約5分(西側)




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