Exhibitions展覧会

麥生田 兵吾展「Artificial S 4 左手に左目|右目に右手」【KG+】

2017/04/21(金) 〜 2017/05/07(日)

Gallery PARC 

写真家・麥生田兵吾の個展。今回は2010年から取り組む「Artificial S」シリーズの4章として「風景」をテーマに構成した作品群を展示します。風景を見るとはどういうことか、そもそも風景とは何なのか?人が「見る」という行為における個々の差異とそこに孕む危惧を、「風景」を通して明らかにします。

写真家・麥生田兵吾(むぎゅうだ・ひょうご)は、2010年の1月より毎日撮影した写真をその日のうちに自身のウェブサイト内の「pile of photographys」にアップする試みを、現在まで5年以上、絶え間なく続けています。

麥生田がその主題として掲げる「Artificial S」。
Sは“sense=感覚(感性)”などの意であり、「Artificial S」は「人間の手によりつくられた感性」というような意味として据えられています。それらは現在のところ7章に分類されてそれぞれに深められており、2014年にGallery PARCで開催した個展「Artificial S 2| Daemon」は、「人の心におさまっている正体を定めないイメージを露にする」ことを、2015年の「Artifical S 3|Someone(Another one)comes from behind. “後ろから誰か(他の)がやってくる”」では「他者との関係性の中での『私』の在り処とは何? 何処?」を、そして2016年の「Artifical S 1|眠りは地平に落ちて地平」では、「触れているけれど繋がっていない、繋がっていないけれど確かに一つになっているもの=生と死」をテーマに、それぞれ構成されました。

今回の「Artifical S 4/左手に左目|右目に右手」はシリーズの4章に位置づけられるもので、「風景」をテーマに構成されます。

私たちの目の前には「風景」があり、だから私たちは「風景」を見る。しかし、「風景を見る」とはどういうことでしょうか? そもそも「風景」とは何でしょうか?
「見る」は、目の前に現れる「理解できないもの」と出会う瞬間のことです。そして、「見る」はその瞬間から、目の前に在るものを「理解できる」ものとして捉えようとすることです。この「理解(認識や定義)」とは記憶や経験に基づくもので、つまり、私という同一の視点から見える世界は本来、「私の目の前に在る」ものと「私の記憶や経験に在る」ものの差異を含んで存在し、その差異にこそ「見る」という観察の眼差しが向けられます。
しかし、現代の私たちは、目の前に在るたくさんの差異を『風景』という言葉によって「言語化」し、均一で理解可能なもの(=風景化)とすることに馴れるうち、いつしか「理解できるもの」しか「見えなく」なっているのかもしれません。そして、そのことが私たちの「見る」から、観察の眼差しを失う事態を招いているとも思えます。

展覧会タイトルにある「左手に左目、右目に右手」を想像でなぞり、そこに何が見えるかを思う時、私は「私」の内にある異なる視点・異なる位置を知ることになります。それは均一化していく私たちの「見る」において、「私」の内にはすでに異なる位置があり、それゆえに目の前の「風景」には常に差異があることを示します。同時に目の前の「風景」を均一化せず、そこに様々な差異を「見る」ことは、再び世界の中の「私」の位置を知ることにつながり、本来の「見る」が持っていた観察の眼差しを少し回復することになるのではないでしょうか。

この展覧会において麥生田は、現在の私たちの「見る」が孕む危惧を「風景」をテーマにすることで明らかにするとともに、それらをあくまでもポジティブなものとしてその迫ろうと目論見ます。それは、なにより私たちが、経験したことのない「左手に左目、右目に右手」からのちぐはぐな「見る」を思う(見る)ことが出来るからであり、私たちが「私」の内部にある位置の違いを発見することが、より生き生きとした「見る」を獲得する手がかりになると考えるからです。ぜひご高覧ください。

※本展覧会は、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のサテライトイベント、KG+の参加展覧会です。
 

麥生田 兵吾 ( むぎゅうだ・ひょうご)

1976年 大阪生まれ
2010年 1月より写真作品「 pile of photographys 」をweb上で更新開始(現在も継続中)
      「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2010」(3331千代田ARTS /秋葉原):「Zine port」の一員としてZineを出品
2011年 「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2010」(3331千代田ARTS /秋葉原):「Zine port」の一員としてZineを出品
2012年 グループ展 「in the waitingroom」(waitingroom/恵比寿)
2013年 グループ展 「溶ける魚 つづきの現実」(京都精華大学ギャラリーフロール/Gallery PARC/京都 )
2014年 個展「Artificial S 2 -Daemon-」(Gallery PARC/京都)
      グループ展 「2014 FOIL AWARD in KYOTO」(FOIL GALLERY/京都)
      キャノン写真新世紀2014 佳作受賞
2015年 個展「Artifical S 3-Someone(Another one) comes from behind.“後ろから誰か(他の)がやってくる”-」(Gallery PARC/京都)
2016年 個展「Artifical S 1|眠りは地平に落ちて地平」(Gallery PARC/京都)
      グループ展「 Emerging KG+ 2016 supported by LUMIX x Y ellowKorner 」( ロームシアター京都 / 京都)
      グループ展「showcase #5 “偶然を拾う- Serendipity”」(eN arts / 京都)
      企画展「 scene|space」(STUDIO MONAKA / 京都)
2017 グループ展「showcase #番外:スナップショット、それぞれの日々」(galleryMain / 京都)
http://hyogom.com

 

展覧会概要

期間 2017/04/21(金) 〜 2017/05/07(日)
会場・開催場所 Gallery PARC
時間 11:00~19:00(金曜日は20:00まで)
※月曜休廊
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0706
E-Mail info@galleryparc.com
ホームページ http://www.galleryparc.com

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