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【展覧会レポート】「川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに」(京都国立近代美術館)内覧会に行ってきました!(3)夢二と、英と、前衛のアーティストたち

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引き続き、「川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに」(京都国立近代美術館)のレポートをお送りします!

→(1)川西英と竹久夢二の交流と絆
→(2)デザイナー、アーティスト...近代の芸術家・竹久夢二


夢二と、英と、前衛のアーティストたち

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この展覧会のもうひとつの目玉。
それは、川西英と彼が交流をもった同時代の芸術家たちの作品です。

川西英は、竹久夢二の大ファンであると同時に、日本を代表する創作版画家(下絵から仕上げまで全工程を一人で行う版画家)のひとりでもありました。そして当時、他のアーティストの作品と自分の作品を交換したり、購入したりして、彼らの作品も数多く収集していたのです。

展覧会の前半が竹久夢二なら、後半はそんな同時代に活躍した芸術家たちの作品が中心になっています。
特に、川西英が交流を持っていた芸術家には最先端の革新的な芸術表現を求める、いわゆる「前衛(アヴァンギャルド)」の作家たちも多くいました。

そんな作家のひとりが、恩地孝四郎。
ロシアの芸術家・カンディンスキーに刺激を受けた恩地は日本に初めて「抽象画」の表現を持ち込んだ「日本の抽象画の祖」ともいわれます。

彼は特に川西と親しくしていた友人でもあり、同じく竹久夢二に憧れていたファンの一人でした。
(展覧会の最初のほうに、竹久夢二と川西英の交流に関する資料がありますが、そこにも名前があります)
彼のこれまで未公開の作品も、コレクションの中には含まれています。

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こちらは恩地が描いた婦人雑誌の表紙。とてもモダンで、構図はヨーロッパのファッション雑誌を思わせます。モードな雰囲気。
「恩地の作品は当時のほかの作品に比べてもズバ抜けてモダンでした。とても印象に残っています」(川西祐三郎さん)

恩地と川西の作品には、共通点が感じられる作品も見られました。

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たとえば、こちらの左端は川西英の代表作のひとつ「交響楽」。
音楽をモチーフに、さまざまなものを重なり合うように配置したこの構図は、音楽をテーマにした作品を多く制作していたカンディンスキーを思わせます。

カンディンスキーといえば、恩地が抽象表現を志すきっかけになった人です。

また、恩地はこんな作品も制作しています。

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恩地孝四郎《サーカス(ハーゲンベック・サーカスの印象)》 (京都国立近代美術館)

これはサーカスをテーマにした作品。
サーカスは、川西のお気に入りのモチーフのひとつで、実際コレクションの中にはサーカスに関する資料も数多く含まれています。(本人いわく「小さいときからサーカスというサーカスはほとんど見てきている」とか!)

川西英のサーカスをテーマにした作品も4階の展示室に展示されています。

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お互いが影響し合って作品作りをしていた、交流の様子が作品を通じて感じられます。

ちなみにサーカスは当時の芸術家たちにはよくモチーフとして使われていたそう。

「動きや身体的な表現に、新しさを感じ、モダニズム時代らしいものとして考えられていたようです」(山野さん)

実は、夢二もサーカスに関する作品を制作しているとか。夢二も確かに、川西に影響を受けていたのですね。

他にも、さまざまな作家の作品がずらりと展示されています。
本当にたくさんいるので、作風も多彩で表現もさまざま!見ていてあきさせません。
中には「まさかこの人が!」というような意外な人のものも見ることができます。

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スタッフさんが注目してもらいたい、とお勧めしていたのがこちらの川上澄生の作品。
彼だけでも、コレクションには100点以上も含まれているそうです。
これだけあれば、もう彼の作品だけで十分展覧会が開けてしまう!というほどの、完成度の高い作品がそろっているとか。
小さいながらも素朴で可愛らしい、それでいてモダンでどこか懐かしい、そんな雰囲気が感じられました。

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面白いのがこちら。
右の作品は、高見澤路直...後に漫画「のらくろ」の作者として活躍した田河水泡の抽象版画です。
実は漫画家となる前は、彼は芸大に通い、本格的に現代芸術家を目指していたのだそう。
その記録は残っていたのですが、記録のみで実際の作品は全く見つかっていなかったのだとか。
「恐らく、現存する唯一の作品ではないでしょうか」(山野さん)
しかし、言われてみないとまさかこれがのらくろと同じ作者の作品とは...

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こちらは、京都出身で日本を代表する洋画家・梅原龍三郎の版画作品。
どことなく、棟方志功を思わせる雰囲気です。(実際二人は親しい友人同士でした)

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下の展示ケースにあるかわいらしいこの千代紙たちは、河合卯之助の作品。
彼は本業は陶芸家!でももともとは西陣織のデザインを手がけていたこともあったそうで、言われてみると納得です。思わずほしくなってしまうほど、モダンです。
また、上のカレンダーは民藝運動の作家の一人でもある、染織家の芹沢慶介の作品。

ほかにも、バーナード・リーチや、冨本健吉といった陶芸家の版画作品もあります。
当時は陶芸家であっても版画や絵画作品を手がけることもあったのですね。
(彼らの陶器作品は、常設展(コレクション・ギャラリー)で見ることができます。ぜひあわせてチェックを。)

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正直、あまり名を知らない作家の作品も数多くあります。しかし、これだけ多くの作家の、多彩な作品が一人の人間のコレクションとして集まったのか!と思うと、本当に圧倒されます。
川西英、というひとりの存在が生んだ、たくさんの人とのつながり。
それがこのコレクションがあらわしているものかもしれません。

また、「この作家の作品、面白いなぁ!」と新たにお気に入りの作家を見つける楽しみも味わえるのではないでしょうか。
竹久夢二ももちろんですが、ぜひ同時代の作家たちの作品も注目してみてください!


コレクション・ギャラリー(常設展)も併せて!

実は期間中、4階のコレクション・ギャラリーでは「夢二とともに」展の関連作品展示が行われています。
ここも、「夢二とともに」展を見に行ったなら、ぜひ併せて見ておきたいポイント。
一緒に見ることで、より展覧会が楽しめる作品がたくさんあります!

たとえばこちら。

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これは、河合卯之助が制作したお皿なのですが、お皿の絵柄は川西英がデザインしたものなんです。
(先にご紹介したサーカスの絵に、よく似た馬の姿があります)
蓋にも川西英の名前が書かれていますね。
彼は版画の交換だけでなく、こんなコラボ作品も制作していたのです。
作家同士の親密な交流が伺えます。

また、このような特別展会場に版画が展示されていた陶芸家による陶器作品のほか、
川西英以外の作家による関連作品も、数多く見ることができます。
同じ作家でも、表現方法が違うとタッチも異なってきます。でもモチーフは共通していたり...
見比べてみるとより楽しめるのではないでしょうか。

川西英の版画作品も数多く、コレクションギャラリーに展示されています。
川西英といえば、神戸の町並みをモチーフにした代表作「神戸百景」がよく知られていますが、これも一部展示されています。
(現在も神戸でお土産のポストカードになっていたりするものもあるので、見覚えがある方もいらっしゃるかも?)

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そして、こちらには川西英の息子さんであり、記者発表でも解説をしてくださった川西祐三郎さんの作品も多数展示されています。

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お父さんよりもよりカラフルで、かつより洗練されたグラフィカルな雰囲気が感じられる気がします。
こちらはヨーロッパシリーズ。ヨーロッパ各地の観光名所・都市がモチーフになっています。
実際に現地に行ったことがある方は、思わずにやりとしてしまうかも。

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祐三郎さんといえば、神戸土産の定番「神戸風月堂」のゴーフルの缶にあしらわれている絵は、彼の作品なのをご存知でしょうか?
もしお手元にある方は、ちょっと確認してみてください!


【おまけ】

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今回はグッズも注目!
展示作品の中には千代紙などのデザイン作品が数多くありましたが、
それを実際に使用したグッズが数多く登場しています!
おすすめはぽち袋。何種類もあって選ぶのに迷ってしまいます。
ひとつ60円というお手ごろなグッズなので、全種類集めても良いかも?
小さな便箋がついたミニレターセットもあります。

竹久夢二はこのようなデザイン作品を使用した商品を実際にお店で販売しようと考えていました。
これは、夢二が志半ばでかなえられなかった夢が、形になったものといえるかもしれませんね。

ちなみに、これらのグッズは、元になっている作品が京都国立近代美術館の所蔵品になっていることもあり、展覧会の終了後もミュージアムショップにて販売されるそうですよ!

関連リンク

川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに (11/11-12/25)
京都国立近代美術館


アートを支える人たちのことば。ART STAFF INTERVIEW Vol.1:山野英嗣(京都国立近代美術館)
(今回の展覧会の企画担当・学芸課長の山野さんへのインタビューです!展覧会のお話も詳しくお伺いしていますのでぜひご一読ください。)

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