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京都MUSEUM紀行。第二十一回【京都国立博物館】

京都ミュージアム紀行 Vol.21 京都国立博物館

  • “京都が誇るメインミュージアム
  • “広々とした展示室のひみつ
  • フォトギャラリー

新たな船出を迎えた、京都が誇るメインミュージアム。

京都で最も有名なミュージアムは、と聞かれたら、まず挙げられる施設のひとつが、「京都国立博物館」ではないでしょうか。 明治建築のレトロな建物がおなじみの歴史ある博物館ですが、2014年には新しい展示施設がオープンするなど、京都の主要なアートスポットとしていっそう注目が集まっています。今回は、そんな京都国立博物館の魅力とみどころを、改めてご紹介します。


京都国立博物館平成知新館

《京都国立博物館の歴史》

京都国立博物館の歴史は、明治時代までさかのぼります。明治政府では寺院や神社などに伝えられてきた美術工芸品を保存・公開するための場所をつくるため、日本でも特に美術工芸品が多く集まっている東京と奈良、そして京都に国が運営する“帝国博物館”を設置することにしました。そして明治30年(1897)、「帝国京都博物館」として開館を迎えます。その後明治33年(1900)に「京都帝室博物館」と改められ、一時京都市の管轄を経て1952年に再び国立となり、現在の「京都国立博物館」となりました。(2001年からは独立行政法人化)

《京都国立博物館の見どころ》

京都国立博物館の敷地には、2つの展示施設があります。ひとつは、特別展覧会の会場となる、レンガ造りの建物でおなじみの「明治古都館」。そして2014年に新たにオープンした、博物館のコレクションを中心とした平常展を開催する「平成知新館」です。歴史を感じさせるレトロな洋館と、最先端の技術と和のテイストを融合させた現代的な建物が隣り合う、過去と未来を同時に感じさせる空間となっています。 ここではそんな2つの施設の魅力と隠れた見どころをご紹介します。

明治古都館(本館)― 100年以上を共に歩んだシンボル

赤レンガの美しい明治古都館。京都国立博物館といえばこちらの洋館をイメージされる方が多いかもしれません。明治28年築のこの建物は、西門(旧正門)や塀と合わせて国の重要文化財に指定されています。入口にガラスの自動扉が設置されるなど、ある程度現代の様相にあわせてリノベーションはされていますが、外観・内観はほぼ開館当時の姿を留めています。まるで、明治時代にタイムスリップしたような気分が楽しめます。
設計者は、片山東熊。赤坂離宮など皇室関係の建築を担当した当時の日本を代表する建築家で、東京(表慶館)や奈良の国立博物館も彼の作品です。明治古都館はフレンチ・ルネサンス様式をベースにしており、正面から見るとまるで宮殿のようです。実際、設計時にはルーヴル美術館などヨーロッパの宮殿を利用した美術館の様式も取り入れられたそうです。それでいて、随所にどこか日本的なセンスを感じさせ、レンガと白い石の色彩も柔らかで、主張し過ぎない洗練された雰囲気を演出しています。建設当初には「西洋風の建物は京都には合わない!」と反対運動も起きていたのだとか。東山七条の周辺は三十三間堂や智積院など、古くからあるお寺や建物が残る歴史あるエリアです。そこに急に西洋建築が建つことになったら…当時の人々が戸惑ったことは想像に難くありません。
そんな明治古都館も今ではすっかりおなじみの、七条エリアの顔的存在になっています。

明治古都館(特別展示館)
敷地を囲むレンガ塀
敷地を囲むレンガ塀。石垣を土台にレンガを積んだ形が和洋折衷の明治テイストを感じさせます。

レンガ造りの西門(旧正門)
現在は団体向け入口になっているレンガ造りの西門(旧正門)。こちらも開館当時そのままの姿を楽しめます。両端の小部屋は警備室とチケット売り場として作られたもの。窓や門のデザインにも注目です。

博物館の名前を刻んだレリーフが飾られている三角屋根

《建物チェックポイント1》

玄関の上には博物館の名前を刻んだレリーフが飾られている三角屋根(破風)があります。そこには2人の神様が鎮座していますが、これは仏教において美術の神とされる毘首羯磨(びしゅかつま)と伎芸天(ぎげいてん)です。西洋風の建築物ながら、日本で信仰されている神様を選んでいるところも、和洋折衷の時代を感じさせる面白いポイントです。

真っ白な漆喰塗りの内装

《建物チェックポイント2》

真っ白な漆喰塗りの内装も明治古都館の特徴。ヨーロッパの宮殿を利用した美術館の場合は壁一面を埋めるように絵が展示されることが多いのですが、京都国立博物館はもともと展示施設として使うことを目的とした建物なので、宮殿風の形に反して内装はあえて控えめに、色も抑えたつくりになっています。展示品をより見やすくするための配慮ですが、かえって清楚で落ち着いた雰囲気を演出してくれています。

平成知新館(新館)―生まれ変わった美の宝箱

明治古都館とは対照的に、ガラス張りの外観が印象深い現代的な建物となっている平成知新館。5年余りの工事を終え2014年秋にオープンした、京都国立博物館のコレクションを中心に展示する平常展示用の施設です。それ以前にも平常展用の建物はありましたが、開館100年を迎えた1997年から建替計画が始まりました。それから開館までには実に17年の年月を要した、一大プロジェクトでした。

設計は、現代日本を代表する建築家のひとり、谷口吉生さん。東京国立博物館の法隆寺宝物館や、アメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)新館の設計も手がけた方です。実は平成知新館の設計は、MoMAと同時並行で進めていたのだそうです。
平成知新館の設計において谷口さんが大切にしたことは、「古くも新しくもなく、いつの時代にも合うものであること」。「建物における敷地は、画家にとってのキャンパスと同じ。その特性を理解しそれに合ったものにしなければならない」と考えたのだそうです。周辺には古い社寺が多く、隣には明治時代の建物があるという敷地環境で、現代の建物をどう調和させるか。その工夫が、平成知新館の随所に凝らされています。
たとえば、建物向かって正面のガラスの壁はまるで障子や格子窓のように見えるデザインになっており、ひさしはお寺でも用いられる張り出し部分を数本の柱で支えるつくりになっています。


平成知新館。モダンな建物ですがどことなく和の雰囲気も感じられる建物です。建物の前の水盤やガラスに風景がうつり、景色に溶け込みます。


南門から平成知新館を正面に眺めると、明治古都館とちょうど直角に配置されていることがわかります。


平成知新館から明治古都館を臨む。室内にいることを忘れてしまうような開放感です。

また、建物の高さは明治古都館の庇(ひさし)とほぼ同じ高さで、平成知新館のエントランスから庭園を眺めたときにちょうどいいバランスで視界に収まるようになっています。建物の配置も明治古都館が入口が東西向きなのに対し、平成知新館の入口は南北向きで直角に交わるようになっており、大きな建物が並び立っていながら敷地全体が広々と感じられます。
実は、平成知新館の入口のところは、かつて方広寺の門があり、工事の際にその遺構も発見されたのだとか。その門の入口も、平成知新館と全く同じ向きだったそうです。受け継がれる歴史を感じます。

《建物チェックポイント3》

平成知新館の入口の周辺には、金属製のリングが設置されています。これは工事の際に発見された方広寺の門の遺構を示したもの。柱の跡が見つかった場所にあわせて埋め込まれています。また、建物前にある石垣も、方広寺遺構に残された石垣に合わせて設置されたもの。土地の歴史を感じさせてくれる隠れた見どころです。来館の際に探してみてはいかがでしょうか。


館内にも柱の跡を示すリングがあります。

●屋外展示

建物の前に広がる広々とした庭園。こちらも立派な展示スペースのひとつです。庭のあちこちには、朝鮮半島の石造遺品や日本の石仏、古い橋の橋脚や礎石などが置かれています。また、噴水前にたたずむ「考える人」像はもちろんフランスの彫刻家・ロダンの代表作。「考える人」はいくつか制作されていますが、京都国立博物館のものは早期に鋳造された貴重なものです。また、庭園の奥には茶室もあり、一般の方も茶席を催す際などに利用することができます。


西門左側に残る、方広寺の石垣。かつてこの地にあった大仏殿のもので、桃山時代の史跡です。平成知新館前の石垣は、これに繋がるように配置されています。また、この裏側からは多数の石仏が見つかっており、現在は庭園で展示されています。

●展示編

京都国立博物館に収蔵されている作品は、博物館自身が所蔵しているコレクションのほか、京都周辺のお寺や神社などから寄託を受けている文化財があり、あわせて一万数千点にのぼります。それらの文化財は、平成知新館で行われる平常展「名品ギャラリー」で随時入れ替えて展示されるほか、明治古都館で年数回開催される特別展にも出品されることがあります。ここでは、常に何かしら京博のコレクションを見ることができる平成知新館の名品ギャラリーを中心にご紹介します。

《平成知新館 名品ギャラリー―いつでも何かに出会える場所》

平成知新館は3階建て。分野ごとに展示室が設けられており、常にコレクションから選ばれた作品が数点ずつ展示されています。順路は基本的に一番上の3階から階下に移動しながら展示を見て行く形ですが、もちろん自分の興味ある分野を選んで行っても大丈夫。自分の興味のままに楽しめるところも、名品ギャラリーのよいところです。

各部屋の展示内容は分野ごとに担当の学芸員さんが企画を行っており、毎回何かしらテーマが定められて作品が選ばれています。訪問時にどんな展示が行われているかはエントランスの情報モニターで目玉作品と共に紹介されています。また、特定分野を設定していない「特別展示室」では会期ごとにさまざまな内容の展示が行われます。どんなジャンルやテーマが取り上げられるかはその時々で変わり、足を運ぶたびに違ったものが楽しめます。


  • 広々とした空間が気持ちいい、平成知新館のエントランス。展示内容の確認はこちらで。

  • 展示室の前には展示内容を紹介する解説パネルがあります。

  • 特別展示室は開催時によって部屋が変わる場合もあるので注意。取材時は大きな肖像画を飾るため天井の高い部屋が使われました。展示内容は絵画や彫刻といったものから、ひな祭りなど季節の行事にちなんだものなどさまざまです。

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京都国立博物館

所在地

〒605-0931
京都市東山区茶屋町527

開館時間

通常:9:30~17:00
(入館は閉館の30分前まで)
火曜日~日曜日

休館日

月曜日(祝日の場合は開館・翌日代替休)
年末年始

お問い合わせ

電話番号:075-525-2473(テレホンサービス)

公式サイト

http://www.kyohaku.go.jp/

■料金

一般:520円、大学生:260円
高校生以下および満18歳未満・70歳以上の方は無料
※特別展の場合は別料金となります

■交通のご案内

【JR・近鉄】
「京都」駅より
市バス100、206、208系統にて「博物館・三十三間堂前」下車、徒歩すぐ

【京阪電鉄】
「七条」駅下車、東へ徒歩7分

【阪急電車】
*「河原町」駅より
市バス「四条河原町」から207系統にて「東山七条」下車、徒歩3分

【京都市バス】
「博物館・三十三間堂前」下車、徒歩すぐ
「東山七条」下車、徒歩1分

※駐車場:有り(自家用車53台分・有料)




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