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※この記事は掲載時(2015年2月)の情報に基づきます。

特集記事

京都MUSEUM紀行。第二十一回【京都国立博物館】

京都ミュージアム紀行 Vol.21 京都国立博物館

  • “京都が誇るメインミュージアム
  • “広々とした展示室のひみつ

広々とした展示室のひみつ

展示室は作品を傷めないよう、外光が入らないようにしっかりと遮断された空間になっていますが、その分天井を高めにしているため、閉塞感や圧迫感は軽減されています。また、展示室の中心部には吹きぬけの空間が設けられ、3階から2階、2階から1階の展示室を見下ろすことができます。これも閉鎖空間ながら広々と気持ちよく作品を鑑賞できるポイントです。
特に、1階吹き抜け部分にある最も広い展示室・彫刻室は巨大な仏像なども置かれるので非常に壮観。お寺などで見る場合には難しい、上から眺める視点も楽しめます。
2階には吹き抜けに面して、金属の簾(すだれ)を設置。薄暗い空間に光が差し込む感じは和室の空間を思わせます。こんなところにも、和のテイストを感じさせるポイントがあります。


仏画のコーナー。掛け軸の絵は傷みやすいので外光は大敵。展示室もしっかり対策されています。でも空間は広々で大型作品を並べてもストレスを感じません。


平成知新館最大の展示室・彫刻室。吹き抜けの大空間は明るく広々!


こんな風に上から見ることも可能です。


仏像の背後には金箔貼りの屏風のような壁面が。程よく光を跳ね返すので間接照明のような柔らかい灯りを放ち、仏像がより輝きます。

展示ケースにもこだわりが

展示ケースも、建物を設計した谷口さんの設計によるもの。全てドイツ製のオーダーメイドで、建物全体の雰囲気に合うように、落ち着いたシンプルでモダンなデザインとなっています。形だけでなくガラスもこだわっており、非常に透明度の高い特別なガラスを使い、つなぎ目も極力見えないように最新の方法で制作したそうです。これは、作品を鑑賞する際にガラスの存在感を感じさせないため。ガラスが視界の邪魔にならず、覗き込んでもまるで手元にあるような感覚で作品を楽しめます。


  • 染織品の展示コーナー。このときは前後どちらからも見られるような形式の展示がされていました。ガラスの透明度の効果もあり着物の色が映えます。

  • 漆芸品のコーナー。ガラスが視界を邪魔しないので細かい部分もストレスなく鑑賞できます。

  • 裏面も鑑賞できるよう背面に鏡をおいたり、小さな作品の並べ方にも工夫があります。展示のレイアウトにもご注目を。

最新型の免震装置も設置されており、震度7クラスの揺れが来ても振動が直接作品に伝わらないようになっています。日本は地震が多い国なので、地震対策はとても大切なポイントです。 ちなみに展示室の下にも免震装置があるそうで、床の素材が切り替わる部分が揺れを軽減する工夫なのだそう。博物館に足を運んだ際は、ちょっと足元にも注目してみてはいかがでしょうか。


屏風のコーナー。


一番揺れが心配な焼物や考古のコーナーもしっかり地震対策済み。その上で台の高さも人の目線にあわせられていて見やすいつくりです。

明るさと優しさを両立したLEDの灯り

どうしても博物館や美術館では、作品を保護するために灯りを抑えます。そのため暗くて作品がよく見えない…ということがあるかもしれません。京都国立博物館は、改装にあわせて灯りを全てLEDにしています。LEDは光るときに熱を発生せず、かつ作品を傷める紫外線なども出ないので、作品には優しい灯り。壁などの間接照明も利用しているので、体感的にはだいぶ明るく感じられ、作品もとても見やすくなっています。


金工品の展示室。灯りで壁に映し出された作品のシルエットが素敵な効果を生んでいます。偶然ガラスに映りこんだ仏像の姿も幻想的です。

【付属施設編】

●シアター

講演会などを開催する講堂も大きく様変わり。350インチ(縦4.3m×横7.7m)の巨大スクリーンを備え、200席以上の座席を設置した、映画館さながらの本格的なシアタールームとなっています。こちらは毎週土曜日に行われる「土曜講座」をはじめとした講演会や、コンサート・落語会といった各種イベントの会場として使われますが、それ以外の日には展示作品や収蔵品に関する特別番組を見ることができます。ハイビジョンの4倍の超高画質を誇る4Kカメラで撮影された映像は圧巻のひとこと。展示品の魅力を細部まで、より深く知ることができます。内容は時期によって随時変わるので、上映時間を含めて予めのチェックがベターです。また、見ている人が参加もできるヴァーチャル・リアリティコンテンツの番組も有り。随時新作の制作も考えておられるそうなので、今後どんな番組が登場するかも楽しみです。


講堂は後ろの席でも舞台が見やすいつくり。音響効果も考えた設計になっています。


調べ物に便利なレファレンスコーナーもあります。タッチパネルで作品をより詳しく学べるコンテンツも用意。

●ミュージアムショップ

平成知新館内にはミュージアムショップ「便利堂」が出店。以前以上に品揃えも増えました。展示されている作品のグッズはもちろん、京都国立博物館の目玉作品のグッズも常備されているので、お土産にもぴったりです。また、南門入口横のインフォメーションスペースにもショップがあるのをご存知でしょうか。こちらでも京都国立博物館のオリジナルグッズを販売しているので、ぜひチェックしてみてください。
※ 文化財保護基金:京都国立博物館では、貴重な文化財を次の世代へ伝えることを目的とした「京都国立博物館文化財保護基金」を2012年に設立しました。こちらでは売り上げの一部が文化財保護に役立てられるオリジナルグッズを制作・販売しています。「便利堂」、入口横のショップでも購入できるほか、オンラインショップでの通販も可能です。尾形光琳の「竹虎図」をモチーフにしたかわいいぬいぐるみや、名品の数々をあしらったトランプ、京都の老舗とのコラボレーショングッズなどもあります。新作も続々と増えているので、要チェックです。


  • 平成知新館内のミュージアムショップ「便利堂」。

  • 「便利堂」内にも文化財保護基金グッズコーナーがあります。着物形のメモなどユニークなアイテムも!

  • インフォメーションスペース併設のミュージアムショップ。北側が文化財保護基金グッズコーナーになっています。そのまま出口にも抜けられます。

レストラン&カフェ

京都国立博物館の飲食施設は2つあります。
南門横にある「からふね屋珈琲店」は、門の建物と一体化したデザインがユニークなカフェ。ほぼ全面がガラス張りになっているので、博物館の庭や噴水、明治古都館や平成知新館の建物などを眺めながらくつろげるスペースになっています。敷地全体の雰囲気を楽しむには絶好のポイントです。
また、平成知新館内にも新たにレストラン「THE MUSES(ザ・ミューゼス)」が登場しました。こちらは、博物館の向かいにあるホテル、ハイアット・リージェンシー京都がプロデュース。ホテルメイドの味をリーズナブルに楽しめます。平成知新館全体とデザインは統一されており、シンプルで落ち着いた雰囲気。壁はガラス張りで庭園に面しており、外光が差し込む明るい空間となっています。晴れた日にはテラスで食事を楽しむこともできます。また、博物館の閉館時間の後もオープンしているので、展示を見た後に夕食を頂いて帰る、という過ごし方もできます。


南門横に併設されている「からふね屋珈琲店」。こちらも平成知新館と同じく谷口吉生さんの設計です。


平成知新館内のレストラン「THE MUSES」。

いかがでしたか?京都でも特におなじみのミュージアムのひとつですが、リニューアルに伴い新しい楽しみ方や過ごし方ができる総合的なアートスポットとして、京都国立博物館は更に進化を重ねています。初めての方はもちろん、行ったことがある方も訪れるたびに新鮮な発見や過ごし方が見つかるはずです。京都の美術が凝縮された美の殿堂に、この機会に改めて足を運んでみてはいかがでしょうか。

(こちらの記事制作にあたっては、京都国立博物館学芸部企画室スタッフの皆様にご協力いただきました。この場を借りて御礼を申し上げます)

京都国立博物館

所在地

〒605-0931
京都市東山区茶屋町527

開館時間

通常:9:30~17:00
(入館は閉館の30分前まで)
火曜日~日曜日

休館日

月曜日(祝日の場合は開館・翌日代替休)
年末年始

お問い合わせ

電話番号:075-525-2473(テレホンサービス)

公式サイト

http://www.kyohaku.go.jp/

■料金

一般:520円、大学生:260円
高校生以下および満18歳未満・70歳以上の方は無料
※特別展の場合は別料金となります

■交通のご案内

【JR・近鉄】
「京都」駅より
市バス100、206、208系統にて「博物館・三十三間堂前」下車、徒歩すぐ

【京阪電鉄】
「七条」駅下車、東へ徒歩7分

【阪急電車】
*「河原町」駅より
市バス「四条河原町」から207系統にて「東山七条」下車、徒歩3分

【京都市バス】
「博物館・三十三間堂前」下車、徒歩すぐ
「東山七条」下車、徒歩1分

※駐車場:有り(自家用車53台分・有料)




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