Exhibitions展覧会

茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術

2016/12/17(土) 〜 2017/02/12(日)

京都国立近代美術館 

安土桃山時代に樂長次郎が千利休の求めに応じ焼き上げた茶碗「樂焼」。長次郎にはじまり一子相伝の形で受け継がれ、現代まで続いています。この展覧会では450年間に渡る樂家歴代の作品を一挙公開し、その長い歴史とともに各代がそのときそのときに試行錯誤を続けてきた現代性を考察します。

茶碗の中の宇宙とは、全ての装飾や美しい形を捨て、手捏ねによる成形でさらに土を削ぎ落としながら造形を完成させていった茶碗を用い、その茶碗によって引き起こされる無限の世界、正しく宇宙のように果てしなく広い有機的空間のことと捉えています。つまり、一服の茶を点てます。相手は、その茶を飲みます。その行為により二人の関係の全てが茶碗の中を巡ります。その茶碗の中を見つめながらの人間の思いは、他に想像もできないほどの大きく深い意味を有し、まさに宇宙と呼ぶべき無限の世界が広がるのです。


今から450年前の安土桃山時代。長次郎という人物が、侘び茶の祖・千利休の求めに応じ茶碗を焼きました。利休の美意識を体現したといわれるその茶碗は、長次郎の家が豊臣秀吉が建てた「聚楽第」の近くであったことから、やがて「樂焼」「樂茶碗」と呼ばれるようになりました。

轆轤や型を使わず、一点一点手捏ねで作られる樂焼の技法は、長次郎にはじまり一子相伝の形で伝えられ、現在まで続いています。一子相伝とは、技芸や学問などの秘伝・奥義を代を継ぐ子一人だけに代々伝え、他には秘密として漏らさないこと。この考えのもと、樂焼は長年制作が続けられ、初代長次郎からはじまり十五代までを数えます。

このように長い伝統を有する樂焼ですが、その作品は決して伝統という言葉では片付けられない不連続の連続であるといえます。初代から15代までの各代において、当代は「現代」という中で試行錯誤し、創作が続いています。

この展覧会では、初代から十五代(当代)までの一連の代表作、および樂家と親交が深かった本阿弥光悦の茶碗、関連資料など約140点を一挙公開。現代からの視点で初代長次郎をはじめ樂家歴代の「今-現代」を見ることにより、一子相伝の中の現代性を考察します。
正しく伝統や伝承ではない、不連続の連続によって生み出された樂焼の芸術を、この機会にご高覧ください。

【作品画像】(左から)
(1)初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒 重要文化財 桃山時代(十六世紀) 個人蔵
(2)三代 道入 黒樂茶碗 銘 青山 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 樂美術館蔵
(3)本阿弥光悦 赤樂茶碗 銘 乙御前 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 個人蔵
(4)十四代 覚入 赤樂茶碗 銘 杉木立 昭和47年(1972) 個人蔵
(5)十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 涔雲は風を涵して谷間を巡る 悠々雲は濃藍の洸気を集めて浮上し 平成15年(2003)樂美術館蔵

展覧会概要

期間 2016/12/17(土) 〜 2017/02/12(日)
会場・開催場所 京都国立近代美術館
時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(ただし1月9日(月・祝)は開館)
年末年始(12月28日~1月2日)
1月10日(火)
料金 一般:1,400円(1,200円)
大学生:1,000円(800円)
高校生:500円(300円)
注意事項等 ※()内は20名以上の団体料金 ※中学生以下は無料 ※心身に障がいのある方とその付添者1名は無料(証明できるものをご提示ください) ※上記料金でコレクション展もご覧いただけます。
お問い合わせ TEL:075-761-4111075-761-4111
※代表
ホームページ http://raku2016-17.jp/

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