Exhibitions展覧会

パウル・クレー展-おわらないアトリエ

2011/03/12(土) 〜 2011/05/15(日)

京都国立近代美術館 

日本人にもファンが多い、スイスの画家パウル・クレー。実は彼は「作品の作り方」をとても重要視しており、自ら制作方法を記録したりアトリエの様子を写真に収めたりしていました。この展覧会ではスイス・ベルンのパウル・クレー・センター所蔵作品を中心に、アトリエ写真や日本初公開作品を含め約170点を展示。今までになかった「作り方」という切り口からクレーの作品をご紹介します。

「ベルンのアトリエでのパウル・クレー」
(1939年/撮影:フェリックス・クレー)
パウル・クレー・センター(ベルン)蔵

《花ひらいて》(1934年)ヴィンタートゥーア美術館 蔵

スイス生まれの画家パウル・クレー(Paul Klee, 1879-1940)。
彼は長く日本の人々に愛され、これまでにも数多くの展覧会が開催されてきました。
「創造の物語」や「旅のシンフォニー」または「線と色彩」などの副題が示すように、クレーの作品には物語性や制作上の理念が詩情豊かに詠われています。そして展覧会は、多くの人々にそんなクレー芸術の魅力を伝える大きな役割を果たしてきました。

この度、京都と東京の国立近代美術館で開催されるクレー展では、今までの展覧会成果を踏まえた上で、これまでクローズアップされてこなかった「クレー作品が物理的にどのように作られたか」について考えます。

クレーは1911年から終生、自身の制作した作品のリストを作り続けました。1883年・4歳のときの作品を皮切りに、リストに掲載された作品数は約9600点にものぼります。またこのリストには作品のタイトルだけではなく、作品ごとの詳細な制作方法も記載されています。
このことから見ても、その作品を「どうやって作ったか」は、クレーにとって、極めて重要な関心事だったのです。

その「制作プロセス」を、クレーは、「アトリエ写真」という形で記録に留めました。また、自ら「特別クラス(Sonderklassse)」とカテゴリー分けした作品を模範作品として手元に置くことで、反芻し続けたのです。

今回の展覧会では、スイス・ベルンにあるパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心に、日本初公開の作品が数多く含まれた約170点を展示。
クレーが自ら撮影し続けたアトリエ写真、写真に記録された作品、そして「特別クラス」という彼が模範的作品とした作品を紹介する章、制作上の具体的な技法を検証する章と全体を6つに分けた構成で、クレー芸術の創造的制作過程を明らかにしていきます。

クレーは、芸術、そして芸術家の理念的なあり方だけではなく、芸術が―とりわけ、芸術家の手によって、具体的にどのように作られるかを、生涯にわたって追求し続けました。
彼の問題意識を検証することは、「レディ・メイド」(※)の概念誕生以降、今日にいたる芸術の姿や流れを考える上で、新たな見方、切り口を示してくれます。

クレーの作品と記録が教えてくれる、「創る」ことへの問いかけを、味わってみて下さい。

※ レディ・メイド
「既製品」の意。芸術上の概念としては20世紀初頭、マルセル・デュシャンが生み出したといわれる。
一言で言えば「既製品を使用して創った作品でも、見た人の思考を揺さぶる力があれば芸術といえる」というもので、それまでの職人的な手作業で創ったものでなかれば芸術ではない、という考えに異を唱えるものだった。


関連リンク

パウル・クレー展 -おわらないアトリエ- 特設サイト
京都国立近代美術館 「パウル・クレー展」ページ

展覧会概要

期間 2011/03/12(土) 〜 2011/05/15(日)
会場・開催場所 京都国立近代美術館
時間 9:30~17:00
(ただし、金曜日は20:00まで夜間開館/入館は閉館30分前まで)
休館日 毎週月曜日
※ただし、3月21日(月・祝)と5月2日(月)は開館、3月22日(火)は休館
料金 一般:1,500円(前売 1,300円/団体 1,100円)
大学生:1,100円(900円/800円)
高校生:700円(500円/400円)
中学生以下:無料
注意事項等 ※団体は20名以上から ※本料金でコレクション展もご覧いただけます。 ※障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料となります。(入館の際に証明できるものをご提示ください)

主な前売券取り扱いプレイガイド

チケットぴあ(Pコード:764-459)、ローソンチケット(Lコード:55069) イープラスほか主要プレイガイド、コンビニエンスストアなど
お問い合わせ TEL:075-761-4111 075-761-4111
(京都国立近代美術館)
ホームページ http://klee.exhn.jp/

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