Exhibitions展覧会

関西を中心に活動を行っている現代美術家・ヤマガミユキヒロの個展です。

ヤマガミ作品を代表するのは、鉛筆による精密な風景画（絵画）と同一視点から撮影した映像をキャンバス上で重ね合わせる「キャンバス・プロジェクション」という独自の手法によるものです。
綿密なロケハンにより選び出した視点から見える風景から、ヤマガミはうつろうことのない建築や構造物を丹念に描画します。パネル上に描かれたその風景画に、同一の視点（地点）から時間や季節をまたいで何度もロケを重ねた映像をプロジェクターにより投影します。これにより、一瞬を留めたモノクロの絵画上に、映像による光や色彩、うつろいが投影され、画面上に時間が流れ始めます。
絵画と映像のレイヤードによるヤマガミの作品は、これまでに多方面で高い評価を得ています。

ヤマガミはこの手法に2003年から取り組んでおり、全国各地での発表の機会ごとに、訪れた先々で「何を描くか」を考え、その対象となる風景を選び出し、必然的な描き方や映像編集により作品を展開しています。

今回の展覧会のタイトル「Noises, Crowds, and Silent Airs」は、京都・四条大橋東詰から西を望んだ作品のタイトルに由来します。同時に、2003年に同じく四条大橋に取材し、キャンバス･プロジェクションの手法を用いて初めて制作した作品とも同様のタイトルとなっています。
ヤマガミがキャンバス・プロジェクションに取り組み始めてからおよそ12年目にあたる今回の展覧会では、この同名作品の最新作をはじめ、近年ヤマガミが各地でロケを行う中で制作したタブローによるキャンバス・プロジェクション作品およそ15点以上を一堂に展示します。
近年のヤマガミの活動に伴うロードムービー的な側面をもったスピンオフ展示でもあります。

京都・大阪・神戸・東京などに取材したこれらの作品は、その場所を象徴する風景がモチーフとして選ばれ、それぞれの場に存在するうつろいを描き出しています。同時に、固有のモチーフに収束するものではなく、それぞれが「都市・風景・物語」の断片として集積されることで、そこに異なる物語がはじまる可能性を開きます。ぜひご高覧ください。

※ヤマガミユキヒロは6月28日（土）まで開催の「テンプス・フーギット－大山崎山荘とヤマガミユキヒロの視点」（アサヒビール大山崎山荘美術館）にも参加しております。こちらもあわせてご覧ください。
 

ヤマガミユキヒロ

1976年 大阪府生まれ
2000年 京都精華大学美術学部洋画コース卒業
　　　　　 Mio写真奨励賞2000 優秀賞受賞
2005年 京都府美術工芸新鋭選抜展（京都文化博物館）
2008年 第11回岡本太郎現代芸術賞特別賞受賞
2011年 個展「Sheltering Sky」Gallery PARC（京都）
2012年 「始発電車を待ちながら」東京ステーションギャラリー
2013年 「re: framing―表情の空間」京都芸術センター
　　　　　 「すみだ川アートプロジェクト2013」アサヒ・アートスクエア（東京）
　　　　　 「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2013」六甲山（兵庫）
2014年 「窓の外、恋の旅。 ―風景と表現」芦屋市立美術博物館（兵庫）
　　　　　 「TARO賞の作家Ⅱ」川崎市岡本太郎美術館（神奈川）

http://www.yamagamiyukihiro.net