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真言律宗小田原山浄瑠璃寺

投稿:2013年1月18日

念願かなって『真言律宗 小田原山 浄瑠璃寺』へ行って来ました。

浄瑠璃とは、薬師仏の浄土である浄瑠璃世界からつけられた名前だそうです。(九体の阿弥陀如来のはずが何故に薬師仏に由来しているか?は…)
ずっとずっと行きたいと願っていましたが、交通の便が悪そうなので二の足を踏んでいました。
今年の紅葉には間に合いませんでしたが、いつもの連れのお休み合わせて行って来ました。

現在は木津川の木津市ですが、以前は相楽郡加茂と言う土地で、京阪奈と呼ばれるように京都、大阪、奈良の交わった所で、政治上でも交通でも要所であったと思われます。ここに学研都市が出来て、東西線が走り開けた土地柄でもあります。

浄瑠璃寺は、バス停から意外にもすぐ近くで長い参道もありません。
小さな山門をくぐって中に踏み入れば左手に鐘楼がみえ(これは時刻を知らせる鐘楼なので打つことは出来ません)、更に進むと、眼前に今は冬枯れの池があり、左手には、はっと息を呑む三重塔が目に飛び込んできました。

lico201301-1.jpg

ゆっくりと右手に目を向けると本堂が静かにそこに在る。私のお目当てはこの中に座す九体の阿弥陀さんなので、そこへ引き付けられるように本坊前で心地よげにお昼寝中の猫殿の背中を撫でて(とても素通りは出来ない可愛らしさは写真をご覧ください)拝観受付(拝観料¥300)から本堂の後ろを通って正面左手から中へ入りました。

事前に知ってはおりました、九体の阿弥陀さんが並んでいることは。
しかし、実際に目にするとその迫力と荘厳な空気と静寂と清浄とが入り混じったような空間です。
大きいです、1体が、そして1体、1体の表情が微妙に違っています。
藤原時代の作で、当時は京都を中心にこの様な九体阿弥陀仏が競って建立されたそうですが、現存するのはこの浄瑠璃寺だけです。
“観無量寿経”にある九品往生(下品下生から下の中、下の上…上品上生まで9つの往生の段階があるという考え)から九体の如来がまつられています。中尊は丈六像で来迎印を結び、光背は千の仏と4像の飛天で飾られています。他の八体は半丈六像で定印を結んでいます。
これらの阿弥陀如来と我々の間には供物を備える壇がありこれが結界となっています。

この九体の阿弥陀さんをまつるお堂は、太陽の沈む西方浄土へ迎えてくれる阿弥陀仏を西に向かって拝めるように東向きにし、前に浄土の池を置いて、その対岸(此岸)から彼岸に来迎仏を拝めるように建てられています。1体1体の間には柱があり、更には堂前に板扉がありそれぞれの阿弥陀さんが独立して座しているようでもあります。
「この板扉の内の障子を開け放たれることはありますか?」とお寺の方にお尋ねしましたがきっぱりと「ない!!」というお返事でありました。テレビでは、障子が全部開けられて反対側から映された映像を観た記憶があったのですが、残念です。

堂内には、他に中尊横の厨子の中にはそれはそれは美しいらしい秘仏の吉祥天女像や四天王像(多聞と広目は博物館へ出張中)腹巻を巻いた子安地蔵菩薩や不動明王三尊像もまつられています。

お堂を出て「阿」の字を模った池の向こうを通って三重塔へ。
三重塔は、京都一条大宮から移築され、元々は仏舎利を納めていたであろうが、この寺に来てからは東方本尊の薬師仏を安置しています。
そうなのです、このお寺のご本尊はこの薬師仏であり、九体阿弥陀仏より60年も前に造顕されています。それで、このお寺の名が「浄瑠璃寺」となった訳で、阿弥陀如来なら極楽寺とか来迎寺とかになっていたかもしれません。
お寺のパンフレットに拠れば、薬師仏は東方浄土の教主で、現実の苦悩を救い、目標の西方浄土へ送り出す遣送仏であり、阿弥陀仏は西方未来理想郷である極楽へ迎えてくれる来迎仏だそうです。
薬師如来の安置された三重塔側は此岸で、東の薬師仏に苦悩の救済を願い、その前で振り返って池越しに彼岸の阿弥陀仏に来迎を願うのが本来の礼拝だと言う事です。つまりこちら側からお参りするべきでありました。

本堂と三重塔の池の前には灯篭が建っています。灯篭の位置は微妙にずれているようではありましたが、三重塔内の薬師如来像と宝池を隔てた阿弥陀如来中尊像は東西で向かい合っており、春秋のお彼岸には、薬師仏から見て阿弥陀仏の中尊像へ太陽が沈んでいくそうです。よく出来ていますね。

本尊の薬師如来像、吉祥天女像、大日如来像は秘仏とされて開扉日が決められていますのでご注意ください。浄瑠璃寺辺りでは、猫殿がゆったりと過ごしているらしく、畑で無防備に爆睡する猫や仲睦まじい猫の親子も見かけました。

この地は当尾と呼ばれ、石仏が多く、浄瑠璃寺から岩船寺まで40分ばかり石仏を巡りながら行けるらしいが、今回はあまりにもオフシーズンの為バスで移動しました。
道すがら気になるのは野菜やお漬物がぶら下げて売ってあります。ビニール袋一袋が100円でビンの中にチャリンとお金をいれます。お土産屋さんもあって、連れは銀杏や柿の奈良漬、柿のチップスを買い求め、ぶら下がっている里芋も買って、大根のゆず風味漬けにも興味津々でありました。岩船寺もまわって、コミュニティバスで加茂駅まで出て、帰ってきました。

堀辰雄の『浄瑠璃寺の春』を読み直さなければと。



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