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特集記事

京都MUSEUM紀行。第三回【駒井家住宅】

京都MUSEUM紀行。vol3 駒井家住宅

  • 第1回「日本のダーウィン」が愛した家
  • 第2回 建物に込められた、駒井夫妻の物語
  • 第3回 駒井家住宅が辿った数奇な歴史、そして今
  • PhotoGallery

山並と疎水のほとりに、「日本のダーウィン」が愛した家があります。

京都市左京区北白川。大文字の送り火で知られる如意ケ岳と、比叡山のちょうど間にあるこの場所は、昔から宮廷の人々にとって、日々の喧騒を忘れ静かに過ごすことのできる隠棲の地として愛されてきた場所でした。
大正末期から昭和の初期にかけ、北白川地区は主に住宅地として開発されました。東山の山並が見え、川も流れ、自然も多く残るこの場所は、近代の京都でも最初期に形成された郊外住宅地といわれています。

住宅地の中には、桜並木で知られる白川疎水(琵琶湖疏水分線)が流れています。ちょうどそこに面した場所にある、緑の生垣と庭に囲まれた洋館。
これが「駒井家住宅」(駒井卓・静江記念館)です。

庭に抜ける、煉瓦造りのテラス。扉はガラスと網戸の二重になっています。

駒井家住宅は1927(昭和2)年に、京都帝国大学理学部、現在の京都大学で教授を務めていた駒井卓博士・静江夫妻の住居として建てられました。
駒井博士は「日本のダーウィン」とも称された、日本の遺伝学の権威でした。
北白川地区はちょうど京都大学に近いこともあり、多くの京大の先生方が居を構えたため「学者村」という別名で呼ばれることもあったといいます。駒井家住宅もそのひとつでした。(実際、南隣にある家(喜多家住宅)も京大の先生の家だったそうです)

建物は木造2階建てで、主棟(母屋)のほか、離れや温室、そして洗濯場など、約30m四方の敷地内に幾つもの建物を有しています。
外観はちょうど建築当時にアメリカで流行していた、アメリカン・スパニッシュ様式がベース。屋根は切妻屋根で、ヨーロッパの民家を思わせるような赤い瓦葺き。外壁はモルタル製で、岩石風の凹凸を付けた「スタッコ」仕上げになっています。淡いピンクの壁と赤い屋根という組み合わせは、いかにも洋風の雰囲気です。

屋根は切妻屋根で、ヨーロッパの民家を思わせるような赤い瓦葺き。外壁はモルタル製で、岩石風の凹凸を付けた「スタッコ」仕上げ。外観の抑え目な色使いに周囲との調和を重んじる、心遣いが感じられます。

しかし屋根はスペイン瓦ではなく日本の桟瓦(さんがわら)。ヨーロッパの家で使われる瓦は断面が上に丸い半円形をしていますが、駒井家住宅では断面が波形の、日本で一般的に使われているタイプの瓦を使用しています。色は洋館に合わせてスペイン瓦風の赤褐色にしていますが、周囲の雰囲気とは違和感がありません。周りの環境との調和を重んじる、心遣いが感じられます。

建物は敷地の西側にまとまっており、東側には緑の芝生と季節の多彩な草花が植えられた庭が広がっています。そのお陰か、庭に出ると比叡山を一望することもできます。庭への入口には煉瓦造りのテラスが設けられ、上には立派な藤棚が。思わずここにテーブルを出してお茶でも飲みたくなってしまいます。(実際、現在も天気の良い日はここでお茶を頂いたりもできるのだとか)

全体的に窓が大きいのが外から見ても感じられます。一階の、上が半円になった窓が洋館らしい雰囲気。

藤棚は二階の窓まで伸びていました。

芝生の庭を見ていると、猫が!と、思いきや飾り物でした。遊び心が素敵。


設計者はW.M.ヴォーリズ。円熟期の代表的な住宅建築です。

設計者は、近代建築ファンなら名前を聞いたことはあるであろう、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964)。関西学院、神戸女学院(兵庫)のキャンパスや、旧豊郷小学校(滋賀)の旧校舎などを手がけたことで知られている人物です。

ヴォーリズは近江八幡(滋賀)を拠点として活動していましたが、京都でも烏丸丸太町の「大丸ヴィラ」(旧下村邸)、烏丸今出川の「同志社大学アーモスト館」、四条大橋横の「東華菜館」など、幾つかの作品を残しています。駒井家住宅はその中でも特に、ヴォーリズが円熟期を迎えたころの、住宅建築における代表作とされています。また昭和初期の洋風住宅としても、建てられた当時の状態が現在までよく残っています。
そのこともあり、1998年4月には、昭和時代の洋館として初めて、京都市の指定有形文化財に指定されました。

主棟西側、玄関のファサード。ドアの上に設けられた半円の花窓が、スパニッシュ調の特徴を見せています。


この住宅を、駒井夫妻は終生愛し、最後までこの家で過ごしました。そのこだわりは建物の内部にも随所に現れています。駒井夫妻とこの家は、どのような時間を過ごしてきたのでしょうか。
<つづく>

駒井家住宅

駒井家住宅

所在地

〒606-8256
京都府京都市左京区北白川伊織町64

時間

10:00~16:00(入館は15:00まで)

開館日

毎週金曜日・土曜日
(ただし、7月第3週から9月第1週・ 12月第3週から2月末までは休館)

お問い合わせ

電話番号:

075-724-3115(公開日のみ)
03-6380-8511 ((財)日本ナショナルトラスト

FAX番号: 075-724-3115

メールアドレス: info@national-trust.or.jp

公式サイト

http://www.national-trust.or.jp/properties/komaike/k.html

■料金

一般:大人500円、中学生・高校生200円、小学生以下は無料(ただし、保護者同伴)

(財)日本ナショナルトラスト会員:無料

 

■交通のご案内

【電車】
叡山電鉄「茶山」駅下車 徒歩7分

【市バス】
3番 上終町ゆき「伊織町」下車 徒歩2分
5番 岩倉操車場ゆき「北白川小倉町」下車 徒歩4分
204番 錦林車庫ゆき「伊織町」下車 徒歩2分

【駐車場】
無し


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