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【レポート】ひとあし早く祇園祭気分! 「祇園祭「八幡山」所蔵屏風特別公開 」(紫織庵)を見てきました!

2011/06/13

hachiman6.jpgいよいよ来月に迫った京都の夏の風物詩・祇園祭。
実はその気分を一足早く楽しめる展示会が、新町三条にある京のじゅばん&町家の美術館 紫織庵にて開催されています。

紫織庵は、大正時代に建てられた歴史と風格のある貴重な京町家。京都市指定の有形文化財にもなっており、商家らしい風格ある広間や見事な中庭、モダンな洋間などを備えた雰囲気たっぷりの空間をゆったりと味わうことができます。

こちらに現在、(財)八幡山保存会が所蔵している貴重な屏風が展示されているんです!
本来は、祇園祭の宵山期間中、屏風祭の際だけ公開されるものなのですが、今回は祇園祭に先駆けて特別に展示されています。
今回はこちらに、紫織庵館長の川崎さん、そして八幡山保存会理事長の後藤さんのご案内の下、お邪魔させて頂きました。
(お二人には、昨年の祇園祭の取材の際にも大変お世話になりました。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます)



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広い和の空間の中に、大きな屏風が三点、並べて展示されています。
ちょうど夏のしつらえになったところで、障子は御簾に、襖も竹網、床にはあじろが敷かれていて、とても涼しげな印象です。
そこで柔らかい昔ながらの電球の灯りの下で見る屏風は、なんとも味わい深いものがありました。
どうしても屏風祭での展示の際はガラス越しになってしまったり、近づいてじっくりと鑑賞する事が難しいのですが、ここではかなり近くまで寄って細部までその描写を眺められます。
何より、床に座った視線で、和の空間の中で眺めると、「これこそ屏風本来の姿なのだろうな」と思ってしまいます。とにかくそのくらい、しっくりと空間に馴染んでいるのです。
ついつい、眺めているうちに時間を忘れそうになりました。

岡本豊彦「高士吟嘯弾琴図屏風」


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「高士吟嘯弾琴図屏風」右隻

岡本豊彦は江戸後期に活躍した絵師で、呉春の弟子。
実質的に呉春から始まり京都の画壇の主流を成す四条派を形作った人といわれ、明治の京都画壇をリードした竹内栖鳳や幸野 楳嶺などは孫弟子にあたります。
こちらはユーモラスな人物の表情にほっこりする作品。

円山応挙「光琳百花図屏風」


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金地に鮮やかな色彩で春夏秋冬の草花を描いた作品。
江戸中期、あの円山応挙が町内の豪商の求めで尾形光琳の図案を写したもの。光琳のグラフィカルなデザインを踏まえつつも、草花の繊細な描き込み・描写には写生を第一とした応挙らしさが感じられます。
金地は灯りが乏しかった時代、少しでも光を反射し明るく見えるようにとの工夫から生まれたものですが、電球のやわらかい暖色の光がとても合っていて、ぼんやりと照り返す光が派手すぎず、華やかな雰囲気をかもし出します。

「摺物貼交屏風」


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屏風の一部のアップ。女性や勇壮な武者絵などバラエティも豊か。

小さな浮世絵を貼り付けて屏風に仕立てた一品。
明治以降、海外で浮世絵は大変な人気となり、海外のコレクターが大量に購入したため一時品薄になったそう。そこで木版で昔の浮世絵を復刻したものが出回ったそうで、こちらにはその復刻版が用いられています。
よく見ると、歌麿の名前も見られたりするのですが、本当に彼のデザインした絵なのか、そうでないのか、詳しいことは不明です。
しかし現在では数少なくなった木版刷でひとつひとつ作られたものであり、独特の風合いはそのまま。どことなく上品な印象も受けます。


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ご案内下さった 八幡山保存会理事長 後藤さん。昨年は巡行時の八幡山の籤改め(くじあらため)役を勤められました。

後藤さんのお話によると、
もともとこれらの屏風は町内の旧家の蔵に保存されていたものでしたが、2007年、その家が蔵を取り壊す際に保存会に作品が寄付されたそう。そこで、翌年の祇園祭の際に一日限定で元イタリア文化会館を会場に「光琳百花図」と「高士吟嘯弾琴図屏風」を公開しました。
その後昔からの屏風祭を今に伝える意味も込めて、毎年祇園祭の際に町内の家々や会社などに協力してもらい、展示公開をされているとのことです。(昭和3,40年代までは、周辺どの家でも虫干しを兼ねて美術品の展示を行う屏風祭が開催されていたそうです)

八幡山の周辺では、山の懸装品を展示するお会所も含め6箇所にて屏風祭が開催されます。
これは他の地域と比較しても格段の多さです。
(紫織庵でも夏の展示として、今尾景年、松本渓文など所蔵の屏風が展示公開される予定です!)

なお、今回紫織庵で公開されているものは所蔵品の一部です。他の作品も含め、7月14日~16日の祇園祭期間中にも公開が行われます。
このエリアは屋台や露店が殆ど無く、比較的ゆったりと、昔からの祇園祭の雰囲気を楽しめます。お祭りの中で見る作品はまた違った雰囲気です。こちらもぜひ!

★  紫織庵でのご紹介した屏風の展示は、6月20日までの予定です。


【今年もやります、祇園祭特集!】
「京都で遊ぼうART」では、昨年に引き続き、今年も祇園祭特集記事を掲載いたします。
京都の会社だからこその、より詳しい祇園祭の情報をお届けしていきたいと思っておりますので、
どうぞお楽しみに!
なお、お祭りの日程や各山鉾の所在地、屏風祭の開催予定地などは昨年から引き続きご紹介しています。昨年のお祭りの様子がわかるフォトギャラリーもありますので、ぜひご覧下さい。
祇園祭特集のページはこちら!

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関連リンク

京のじゅばん&町家の美術館 紫織庵
(財)八幡山保存会

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