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【京都ミュージアム紀行】京都dddギャラリー(2022)

2022/09/02

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太秦天神川にあった、関西唯一のグラフィックデザイン専門の展示施設「京都dddギャラリー」が、2022年7月から四条烏丸に移転、リニューアルオープンしました。
以前の施設からどう変わったのか、新たな「街中アートスペース」となったその様子を、リニューアルのこけら落とし展「ddd DATEBSE 1991-2022」のレポートと共にご紹介します!

《京都dddギャラリー》
より、「気軽にデザインの世界に触れる場所」に。



「京都dddギャラリー」は、大日本印刷株式会社(DNP)を母体とする公益財団法人DNP文化振興財団が運営する、ポスターや本の装丁、文字フォントといったグラフィック・デザインやグラフィック・アート専門の展示施設です。

ギャラリーの設立当時、広告媒体を主体とするグラフィック・デザインはまだ美術的価値が低く扱われがちで、作品がまとまった形で保存されにくい環境にありました。そこで印刷を通して関わりの深いDNPが主体となり、グラフィック・デザインのアーカイブ化と公開の場として1991年に大阪・堂島に前身の「DNP Duo Dojima」(dddマルチメディアスタジオとdddギャラリー)を設立しました。その後大阪・南堀江を経て、2014年に京都・太秦に「京都dddギャラリー」として移転。そして2022年7月、京都・四条烏丸に3度目の移転となりました。

今回の移転先であるCOCON烏丸は、昭和初期のレトロ建築をリノベーションした商業施設。新たな京都dddギャラリーはその3階角にあります。3階は他に京都精華大学のギャラリー&ショップ「kara-S」や、ミニシアター「京都シネマ」があります。京都dddギャラリーが加わったことで、さらに充実したアートフロアになりました。

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以前に比べると、移転後の規模はずっとコンパクト。そのためパネルを大量に並べたり巨大なインスタレーションを展開するといった大型の展示構成は難しくなりました。また、元々展示施設用に設計された空間ではないため、配管設備がむき出しなど少々設備面で難がある部分もあります。
代わりに、ガラス張りのショーウインドウのような空間を活かし、フロアの廊下からも展示の様子が見られる作りになっています。

展示室の広さや設備は多少犠牲になりましたが、それでもこの場所を選んだのは、ひとえに「より気軽に足を運んでもらいやすい場にしたい」という思いに合致した立地だから。

「以前の太秦は1フロアを使っていたので大掛かりな展示には向いていましたが、社屋の一部で敷居が高く感じられたり、市街地から少し距離があったりと、ふらりと立ち寄るには難しかったと思います。これからはギャラリーを目当てに来ていただくのは勿論ですが、何かのついでにでも気軽に覗いて行って欲しいです」とご案内いただいた熊本和夫さん(DNP文化振興財団)は仰っていました。

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そもそもポスターやチラシなど、グラフィック・デザインとは日常の中に存在するものです。京都dddギャラリーはそれを専門としている展示施設だからこそ、「繁華街の商業施設」という立地は、施設そのものがグラフィック・デザインというジャンルのあり方自体を表しているようです。

買物や食事、映画鑑賞、他の展覧会を見たついでにも。
日常の中のふとした時間に足を留めて、デザインの世界に浸れる場所。デザインに触れ、考えるきっかけとなる場所。今後の京都dddギャラリーはそんな施設になっていきそうです。

京都dddギャラリーの概要についてはこちら


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京都dddギャラリーの隣には、「DNP京都太秦文化遺産ギャラリー」が併設されています。

こちらは、DNPが培ってきた印刷やITの技術を活かして取り組んでいる、文化遺産の保存・継承のためのプロジェクトを紹介する施設。京都dddギャラリーと併せて太秦から移転しました(こちらには太秦の名前が残っています)

貴重な文化財の絵画作品を超高精細印刷で複製した「伝匠美」による作品や、国内外の美術館とのプロジェクトによるデジタル技術を利用した作品鑑賞システム開発企画「DNPミュージアムラボ」などの取り組みが紹介されています。

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「伝匠美」のコーナーでは、取材時には岩佐又兵衛筆の「洛中洛外図屏風(舟木本)」の複製画が展示されていました。東京国立博物館に所蔵されているオリジナルをカスレや凹凸の装飾部分まで再現した一品です。以前よりこちらは少し展示室が広くなったため、これまでは左隻・右隻のうちどちらかしか展示できなかったものを同時に並べられるようになったそうです。

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こちらは「DNPミュージアムラボ」のコーナー。美術館と共同で開発したデジタル収蔵品検索・鑑賞システムを実際に触って操作・体験することができます。さまざまな年代やテーマでグループ分けされた作品を画面上で自由に拡大・縮小、回転させたりして鑑賞できたり、作品のデジタル画像に解説文を仕込んだり。よりわかりやすく使いやすい、デジタル技術を活用した作品鑑賞の仕方が提案されています。こちらも以前より体験できるシステムの数が増え、より充実した内容になっています。

京都dddギャラリーで取り上げられているポスターやチラシ、フォントなどのグラフィック・デザインは人に"伝える"ことを目的に生み出されたもの。文化遺産ギャラリーで紹介されているプロジェクトも、文化遺産というものを未来に、そして今の人々に"伝える"ための方法をデザインしているという点で共通するものを感じます。

京都dddギャラリーを訪れた際には、併せてこちらも覗いてみてはいかがでしょうか?

※展示内容は時期によって変更となる場合があります。


>> 続き:【レポ】「ddd DATEBASE 1991-2022」展 についてはこちら

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