Exhibitions展覧会
上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー
ウィーンと京都で活躍したデザイナー、上野リチ・リックス。その仕事を網羅的に紹介する、世界初の大規模な包括的回顧展です。
愛称「リチ」ことフェリーツェ・リックスは、世紀末芸術(ユーゲント・シュティール)の爛熟期にあったオーストリアのウィーンで、1893年に4人姉妹の長女として生まれました。実業家の父を持ち裕福でリベラルな生活環境で芸術的素養を身につけたリチは、ウィーン工芸学校でテキスタイル、七宝、彫刻などを幅広く学び、ウィーン工房のデザイナーとして活躍しました。当時のウィーンでは新しい芸術のあり方の模索の中、日本の美術が中億を集めており、リチも自然と日本への興味関心を育んだことが想像されます。
1924年、リチはウィーンに留学していた京都出身の建築家・上野伊三郎と出会います。翌年二人は結婚。リチは伊三郎と共に日本へ移住し、京都に設立した建築事務所で住宅や店舗の設計・内装デザインに取り組むようになります。一方でウィーン工房での活動も続けていたリチは、ウィーンと京都、二つの都市を行き来しながら工芸や織物、染色など京都の伝統工芸の技術も取り入れつつ、幅広いデザインを生み出し、自らの作風を確立していきました。
1930年にウィーン工房を退職したリチは、京都、及び群馬を拠点にプリント布地や刺繍製品のデザインを手がけました。そして戦後、新しい時代の要請に応えるデザインを模索し、京都の企業と協働制作を行うほか、伊三郎と共に京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で教鞭をとり、退職後もデザイン研究所を開設するなど、後進の育成にも尽力しました。
建築家・村野藤吾の依頼で教え子たちと制作した東京日比谷・日生劇場の旧レストラン「アクトレス」の壁画は、晩年のリチの集大成的作品となりました。
今回の展覧会では、日本国内では最大規模の上野リチ作品群を所蔵している京都国立近代美術館のコレクションをはじめ、国内外の機関からリチと関連作家の作品を集め、一堂に展示します。柔らかで自在な描線と花や鳥などのモチーフを色彩豊かに表現した、魅力あふれる“リチのデザイン世界”の全貌をご紹介します。
※この展覧会は京都国立近代美術館での展示の後、東京・丸の内の三菱一号美術館へ巡回予定(2022/2/18~)です。
上野リチ・リックス
(Felice [Lizzi] Rix-Ueno)
1893 ウィーンに生まれる
1917 ウィーン工芸学校卒業、ウィーン工房に参加
1925 上野伊三郎と結婚
1926 来日し、京都へ移住。夫が開設した上野建築事務所の美術工芸部主任に就任、以降京都とウィーンの往復生活(~1935)を送る
1930 ウィーン工房を退職
1935 京都市染織試験場図案部嘱託に就任(~1944)
1936 群馬県工芸所嘱託(~1939)
1951 京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)工芸科図案専攻講師(1960に教授職)
1963 京都市立美術大学を定年退職、夫と共にインターナショナルデザイン研究所を設立
1967 京都市内の自宅にて没
展覧会概要
期間 | 2021/11/16(火) 〜 2022/01/16(日) |
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会場・開催場所 |
京都国立近代美術館
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時間 | 9:30~17:00(金・土曜日は~20:00) ※入館は閉館30分前まで |
休館日 | 月曜日、年末年始(12/28~1/3) ※ただし、1/10(月・祝)は開館 |
料金 | 一般:1,700円(1,500円) 大学生:1,100円(900円) 高校生:600円(400円) ※()内は前売及び20名以上の団体料金 ※中学生以下、母子家庭・父子家庭の世帯員の方、心身に障がいのある方とその付添者1名は無料(入館時に証明できるものをご提示ください) ※上記料金にて京都国立近代美術館コレクション展もご覧いただけます |
注意事項等 | |
お問い合わせ | TEL:075-761-4111075-761-4111 |
ホームページ | https://lizzi.exhibit.jp/ |
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