Exhibitions展覧会
ザ・トライアングル 山本雄教:仮想の換金 (priceless museum)
京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、京都市京セラ美術館を訪れる方々が気軽に現代美術に触れる場を目的とする展示スペース「ザ・トライアングル」。今回は、日本画の研究を通して学んだ技法や素材を応用したインスタレーションを制作している山本雄教の展示を行います。
本展で山本は、麻紙の下に一円硬貨を敷き詰め、そこに同館の所蔵作品や、その作家である近代日本画の巨匠たちの肖像を鉛筆のフロッタージュで描き出した大型の新作を含む、7点を発表します。
この肖像をモチーフにした作品のサイズは、描かれた画家たちの作品が仮に美術市場に出された場合の想定価格によって規定され、価格が高ければ高い程大きく鮮明に表されます。
同じ空間には、山本自身の自画像も巨匠たちに相対するように展示されますが、これも同じ皮肉めいたルールに従って制作されており、小さく不鮮明に描き出されます。
このような創作過程を通して山本は、所蔵作品も含め美術作品が経済活動と切り離せない事実を、美術館の歴史の背後に読み取ろうとしています。
美術作品は、美術館では広く一般に公開されますが、美術市場においては所有や投機の対象として売買され、その価格は作家の意思とは無関係に需要と供給によって決定されます。
しかし、その取引で交換される貨幣の価値も、国家や中央銀行の「信用」によって仮想的に裏付けられたものと言えます。
タイトルの「仮想の換金」は、美術作品を取り巻く清濁入り混じった関心に端を発しながら、作品ひいては貨幣の価値の不確かさを指し示しています。
本展は、美術作品をとりまく期間や制度、市場などの環境と作家自身との距離感など、複数の視座をユーモラスに提示します。
山本雄教
1988年京都府生まれ。2010年成安造形大学日本画クラス卒業。2013年京都造形芸術大学大学院修士課程ペインティング領域修了。京都市在住。一円硬貨やペニー硬貨を用いたフロッタージュによる絵画シリーズや、ブルーシートを支持体に伝統的な日本画のモチーフを描いた作品などを制作している。近年参加した主な個展に「〇〇〇〇円の芸術家」(至峰堂画廊、大阪、2022年)。主なグループ展に「市制90周年記念展 わたしたちの絵 時代の自画像」(平塚市美術館、2022年)、「第8回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」(上野の森美術館、2021年)。「京都 日本画新展2020」京都市長賞受賞。
展覧会概要
期間 | 2023/10/13(金) 〜 2024/02/12(月) |
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会場・開催場所 |
京都市京セラ美術館
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時間 | 10:00~18:00 【夜間延長開館】 11/11(土)は、「京都市美術館開館90周年記念祭」にあわせ、20:00まで開館時間を延長します。 |
休館日 | 月曜日(祝・休日の場合は開館/2/12は振替休日のため開館)、年末年始(12/28〜1/2) |
料金 | 無料 |
注意事項等 | 状況により、やむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報は京都市京セラ美術館のホームページをご確認ください。 |
お問い合わせ | TEL:075-771-4334075-771-4334 |
ホームページ | https://kyotocity-kyocera.museum/ |
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