Exhibitions展覧会
平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019
美術評論家の椹木野衣を企画・監修に迎え、独自の視点で選定したアーティストたちによる集合的活動にフォーカスした平成年間(1989–2019年)の美術を振り返る展覧会です。
椹木野衣は、1980年代後半より現代美術について鋭い批評活動を継続的に行っています。この展覧会ではタイトルにもある「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」をキーワードに、経済的な停滞と未曾有の災害に繰り返し見舞われた平成の時代を、椹木の視点にもとづきアーティストたちがどのように時代と状況に応答してきたかを探ります。
平成の14のアーティスト・集合体による代表作が一堂に会します。また、資料展示などに加えて社会的事件、経済的事象や自然災害といった揺れる大地の上で、美術がどのような変遷をたどってきたかをまとめた平成の大年表を制作、展示します。
展覧会は大きく《1989-2001》《2001-2011》《2011-2019》の3つの時代に区分され、会場では「方丈」の庵のように作品群やブースが点在し、それらを回遊するような「界隈(ストリート)」で繋ぐことで、平成の時空を縦横に行き期して観覧できる構成となっています。
※出展作品、参加アーティスト・グループの詳細については、展覧会の公式ページにてご確認ください。
いま、不穏と呼ぶしかない令和の幕開けの渦中にあって、改めて30年あまりに及んだ平成の美術とは何であったのかについて、ここ京都の地から振り返ってみよう。
1980年代、1990年代というような10年間(の傾向)で区切るのではない。「明治」の美術が、日本における美術そのものの夜明けであったように、「大正」の美術が、自我を持った絵描きたちによる叫びと前衛の新興であったように、「昭和」の美術が、戦争の前後で光と影のような対照を見せ、その後、民主主義と平和憲法に倣い、数々の分派へと枝分かれしていったように、そのような輪郭だった美術の容貌(精神)を、果たして「平成」の美術は持っているだろうか。
ここではそれについて、自然災害や事件、事故、経済危機が多発した時代における、複数の美術家たちによる「密」な集合的活動の集積として捉え、バブル経済の崩壊と東日本大震災(福島原発事故)を念頭に、鴨長明『方丈記』と磯崎新『瓦礫(デブリ)の未来』に倣って、「うたかたと瓦礫(デブリ)」と呼ぶことにしたい。(椹木野衣)
椹木野衣
美術評論家。1962年埼玉県秩父市生まれ。京都で学生時代を過ごす。現在、多摩美術大学教授。主な著書に、初の評論集『シミュレーショニズム̶̶ハウス・ミュージックと盗用芸術』(洋泉社、1991)をはじめ、『日本・現代・美術』(新潮社、1998)、『反アート入門』(幻冬舎、2010)、『アウトサイダー・アート入門』(幻冬舎新書、2015)、『後美術論』(美術出版社、2015、第25回吉田秀和賞受賞)、『震美術論』(美術出版社、2017、平成29年度[第68回]芸術選奨文部科学大臣賞)ほか多数。「日本ゼロ年」展(水戸芸術館、1999-2000)をはじめ、展覧会のキュレーションも多く手掛けている。
展覧会概要
期間 | 2021/01/23(土) 〜 2021/04/11(日) |
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会場・開催場所 |
京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ |
時間 | 10:00~18:00(入場は17:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館) |
料金 | 一般:2,000(1,800)円 大学・専門学校生:1,500(1,300)円 高校生:1,000(800)円 小・中学生:500(300)円 ※未就学児無料 ※京都市内在住または通学の小中学生は無料(確認できるものをご提示ください) ※障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者1名まで無料 【ペア割チケット】2枚で3,500円 【平成割】平成生まれの方(一般のみ):1,800円(年齢が確認できるものをご提示ください) 【図録付チケット】5,000円(一般のみ) 【2回目割】初回観覧日に限り、次回のチケットを1,500円(一般のみ)で購入可能です |
注意事項等 | ※この展覧会は予約不要ですが、混雑時の場合は予約優先となります。確実に希望の時間に入場されたい方は美術館公式Webサイトよりご予約ください。 |
お問い合わせ | TEL:075-771-4334075-771-4334 |
ホームページ | https://kyotocity-kyocera.museum/ |
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