Exhibitions展覧会

ルートヴィヒ美術館の大きな特徴は、ケルンに暮らす市民コレクターたちが寄贈した作品がコレクションの主体となっている点です。
美術館設立の契機となったのは、1976年に館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻がケルン市に寄贈した、約350点もの現代美術コレクションでした。その後他の市民コレクターからの寄贈作品なども加え、1986年にオープン。今日では、ルートヴィヒ夫妻が寄贈したヨーロッパ随一の優れたポップ・アートのコレクションやロシア・アヴァンギャルドの貴重な作品群をはじめとする優れた近現代美術のコレクション、そして世界各地の現代美術作品の収集により、国際的にも高く評価される美術館となっています。

本展では、そんなルートヴィヒ美術館のコレクションから、絵画・彫刻・写真・映像を含む代表作152点（※）を、20世紀～現代までの約100年間の美術史、そして寄贈コレクターたちの思いと共に紹介します。
世界で3本の指に入るピカソのコレクションから《アーティチョークを持つ女》や、ピカソと同時代にパリで活躍したマティスやモディリアーニの作品が登場。また、ドイツ・モダニズム時代に活躍したヘッケルやカンディンスキー、ロシア・アヴァンギャルドのマレーヴィチ、ポップ・アートを代表するウォーホルやリキテンスタインなどの作品が一堂に会します。
また、各時代の精神を生き生きと伝える写真コレクションや、女性作家たちのきらりと輝く表現にも注目です。

二つの世界大戦と戦後の復興、東西の統一と激動の20世紀を経て、現在ではヨーロッパを牽引する国の一つとなったドイツ。美術の中にはその歴史も確かに刻まれています。それを収集し、守り伝えた市民コレクターたちの生きざまもそこにはあります。
美術館と市民の生きた交流の証しとしての本展が、私たちの社会における美術館の意義と役割を見つめなおす契機になれば幸いです。

※一部、東京会場のみでの展示作品があります。