平野の家 わざ永々棟でエラールのピアノの音色を聴いてきました。
スタッフ1号 (2010年11月17日 16:44)
去る11月15日、以前もご紹介した「平野の家 わざ永々棟」にお邪魔してきました。
こちらで来月開催されるピアノコンサートのリハがあるというので、見学させてもらいに行ってきたのですが、エラールのピアノの音色というのは、想像していたよりも美しい、目の覚めるような澄んだ音色でした。いやあ、もう、耳が洗われるってこういうときに使うんだよな、って久しぶりに思いました。
※エラールのピアノがどれだけ貴重で素晴らしい楽器か、ということは以前の記事をご参照下さい。
平野の家 わざ永々棟の建築秘話
この「平野の家 わざ永々棟」はもともと、明治〜昭和期の日本画家、山下竹斎の邸宅として建てられたものだそうです。大正期に立てられた家屋は、当時の建築様式をふんだんに取り入れたものでした。その後別の所有者の手に渡り、今のオーナーさんの持ち物になったのですが、改修のために床板などを剥がしていくと、大正期の建築様式が土台としてしっかり残っていることが判明し、もとのよいところを活かした上で「平野の家 わざ永々棟」として形にした、とのことです。
たしかに、建物のところどころに残る和と洋の折衷は、西洋文明化の過渡期にあった大正期にこそ見られる特徴です。立派な座敷・日本庭園と、ステンドグラスが見事に同居しています。
エラールのピアノとの出逢い
当初は単純な貸しホールのような形態で運営される予定でしたが、なにか目玉になるものはないかと、ピアノを探し求めたところ、とある楽器店でボロボロの状態のエラールのピアノを発見。奇しくも、おばあちゃんエラールは88歳、永々棟は84歳と、いわば「同世代の文化財」です。運命的な出逢いが両者を引き合わせたのですね。
演奏は梅原尚子さん（プロフィール下記）、曲はショパンの『黒鍵のエチュード』。
ピアノは全体的に改修されてはいますが、その音色はオールドの楽器特有のもの。木製の楽器というのは概ね、弾き込むうちに木が乾燥・結晶化して、音色が丸く柔らかになっていきます。改修されて部分部分は新しくなっても、やはり木が音色を覚えているのだなあと思わせるような、経年の深みのある音でした。
写真左より、「ガラスの靴をはいている」おばあちゃん（この「靴」はオリジナルのものらしいです）。写真中、よく見ると譜面台の横に可動式の台がついている。これは電気の普及以前に、燭台を載せて明かりにするための場所だったようです。写真右、Erardの文字（フランス語なので最後の子音は読みません）。
12月は、エラールの音色を「平野の家 わざ永々棟」で。
12月の土日はエラールのピアノを用いたコンサートが催されます！詳細は以下。どの回も20名限定なので、早い者勝ちです。
平成22年12月4日（土)午後2時・6時
5日（日)午前11時・午後2時
「エラールピアノで聴くショパンとリスト・ドビュッシーとラヴェル」
平成22年12月11日（土)午後2時・6時
12日（日)午前11時・午後2時
「エラールピアノで楽しむクリスマス」
平成22年12月18日（土)午後2時・6時
19日（日)午前11時・午後2時
演奏者：
梅原尚子 プロフィール
東京芸術大学附属高校、東京芸術大学、同大学院卒業。
ロータリー奨学生としてベルギー留学、ブリュッセル王立音楽院を首席卒業。1992年ハエン国際ピアノコンクール第2位（スペイン）、同年ポルト国際ピアノコンクール第3位（ポルトガル）。
1995年東京文化会館にてデビューコンサートをおこなってから国内外で演奏活動を行っている。福井尚子、安川加寿子、ニコル・アンリオ・シュバイツァーの各氏に師事。
会場：
平野の家 わざ永々棟（京都市北区北野東紅梅町１１番地)
会費：
1500円 お抹茶付き
お問い合わせ：
わざ永々棟事務局「コンサート」係
Tel 075-462-0014 Fax 075-462-0114 までどうぞ。
平野の家 わざ永々棟へのアクセス
市バスの場合：
■「衣笠校前」より下車徒歩3分
・京都市営地下鉄「北大路」駅より204または205系統
・「京都駅」より205系統
■「北野白梅町」より下車徒歩3分
・「四条河原町」より203系統
車の場合：
駐車場はありませんので、地図にある（P）マークの有料駐車場をご利用下さい。
