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【内覧会レポート】生誕110年 東山魁夷展(京都国立近代美術館)

2018/08/28


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2018年8月29日(水)からスタートする「生誕110年 東山魁夷展」(京都国立近代美術館)の内覧会に行ってきました!

東山魁夷(ひがしやま・かいい)は1999年に90歳で亡くなった近代・現代を代表する日本画家です。割と最近まで活躍されていた方なので、名前や作品を知っている方も多いかもしれませんね。

今回はその展示の様子や見どころを少しご紹介します!

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東山魁夷の大型展覧会は、京都では30年ぶりの開催となります。
東山魁夷といえば風景画。なかでも美しい青や緑色を駆使したことで知られ「東山ブルー」とも呼ばれます。
魁夷は生前、「群青」「緑青」を日本の風景に特徴的な"あお"として挙げており、その表現に注力しました。
展示作品にもいろいろな「あお」があるので、色合いを見比べながら楽しむのも良いかもしれません。

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魁夷は横浜出身ですが、実は幼少期は神戸で過ごしており、京都もたびたび訪れスケッチを行うなど、関西にもゆかりの深い画家でもあります。
なかでも代表作として知られるのが連作「京洛四季」。友人だった作家・川端康成の薦めもあって描いた作品だそうで、京都のさまざまな名所を地図を頼りに歩き回り描き貯めたスケッチを元にした、いわば絵の紀行文といった趣です。

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面白いのがその構図。風景の中でも特徴的な一部分にぐっとクローズアップして切り取ったような大胆なレイアウトが特徴的で、よりその風景の魅力を際立たせています。どこかで見たことのあるモチーフもあるので、どの絵が京都のどこの場所を描いたものか考えながら見るのも楽しいですよ。

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圧巻なのが、今回68面全てを展示しているという「唐招提寺御影堂障壁画」。
魁夷が60代半ば~70代にかけて制作した大作です。

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本来の展示場所である奈良・唐招提寺御影堂の内部を会場にセットで再現!現地の空間に近い形で作品を楽しめます。ちゃんと「襖絵」の状態で(違い棚のところも!)、かつ、お寺よりも明るい美術館の空間で間近に作品を楽しめる貴重な機会なので、ぜひじっくりと楽しみたいところです。

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また、唐招提寺の障壁画を手掛けたことがきっかけで描かれた、白馬のいる風景のシリーズ作品も第二会場(4階)に展示されています。

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晩年に近くなると、魁夷は現地取材が難しくなったこともあり、今まで見てきた風景のイメージを組み合わせ想像した「心の風景」を描いた作品が多くなります。それはどこまでも優しく穏やかで美しい世界が広がっています。

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絵の額がそのまま窓枠になり、窓の外に広がる魁夷の心の風景を眺めているような、そんな気持ちになる展覧会でした。

全体的に涼しげな青や緑を多用した作品や、秋冬をテーマにした作品も多かったので、観ているだけでなんだか涼しげな感覚にもなれました。ちょうど美術館は冷房も効いていますし、暑い時期に涼みに行くにもぴったりかもしれません。ぜひ足を運んでみてください!

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