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【DWK2018|OPEN FACTORY】見学レポ《4》(株)佐藤喜代松商店(漆)

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DESIGN WEEK KYOTO 2018|工房見学レポート
「京都をよりクリエイティブな街に」をコンセプトに、京都在住の職人やクリエイター有志により開催されているプロジェクト「DEDIGN WEEK KYOTO」。
今年は1週間限定で実際のモノづくりの現場を公開するオープンファクトリー企画を開催、22か所の工房が参加しました。

DESIGN WEEK KYOTOに広報協力を行った「京都で遊ぼうART」では、そのうち4つの工房をスタッフが実際に見学!その様子を改めて、少しですがご紹介します。

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【4】(株)佐藤喜代松商店(漆)

4か所目に訪れたのは、佐藤喜代松商店さん。
創業は大正時代。現在では漆を作る業者さんは全国で10に満たず、うち京都に4軒が残っているそう。佐藤喜代松商店さんはその貴重な1軒です。

漆といえば、まずは漆器・漆工芸のイメージがありますが、実はその用途は非常に多彩。
以前ご紹介した西陣織の引箔作りでは絵具や接着剤として用いられますし、友禅染の型紙に撥水剤兼補強材として塗って使用されるなど、染織業界でも欠かせない存在です。

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これが友禅染用の型紙。黒くなっているところが漆が塗られた部分です。

元々、佐藤喜代松商店さんも現在の場所に移るまでは西陣にお店があり、型紙用の漆製造をメインとしていましたが、時代の変化に伴い現在地に移転。その後、他のジャンルや新しい素材への漆活用を積極的に行われています。

社内の展示室には、これまでに手掛けられた商品がずらり!
とにかく「こんなところにも漆が!?」と、その展開の幅広さに驚かされました。

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鞄や財布に...

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帯留めやブローチ...

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消しゴムのケース!!

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これは真珠に漆で模様を描いてます!

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他にも靴や万年筆、桐箱、レンチなどの金属工具まで、とにかく様々なものが並んでいました。

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色の豊富さにもびっくり。現在揃えている色漆は100色以上もあり、ニーズにあわせて新しい色も作ることができるそうです。まるで絵の具...!

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ご案内してくださった佐藤貴彦さん(4代目)は「漆は空気以外ならなんにでも塗れるんですよ!」と仰っていましたが、まさにその通り、漆は伝統的であると同時に万能素材なのです。

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こちらは印刷用のスクリーン。これにも漆塗のわざが応用されています。

近年では金属に広範囲に濡れる漆を開発し、京都市の庁舎の扉やホテルのエレベーターなどの建築資材にも漆加工を施したほか、記憶に新しい伊勢神宮の式年遷宮の際にも、建物を彩る漆塗りの五色の玉を制作されたそうです。

今回撮影はできませんでしたが、漆の貯蔵庫や、実際に漆を作る工場も見学させていただきました。



地下の貯蔵庫には精製前の樽やポリ容器に詰められた生漆がいっぱい!
生の漆はデリケートな素材で、空気に触れるとすぐに乾燥し始めて変色してしまうほか、温度によって変質してしまうので、湿度と温度管理がとても大切だそうです。
主な産地は中国や東南アジアだそう。国産じゃないとダメ!というわけではなく、産地や木の種類、また採取時期にによってもそれぞれ性質が異なるため、数十種類もの生漆を常に揃えて、用途にあわせてブレンドして使っているそうです。

漆製造の工場には、真っ黒に染まった大きな樽が並んでいます。
漆の製造は今もほとんどが昔ながらの手作業。ひとつひとつ異なる素材の性質やその日の温度、用途を計算し、さまざまな種類の漆を配合して製造されているそうです。
漆には不純物が含まれているので、それを取り除くのに使うのは...なんと綿!
綿を漆を一度吸わせ、これを絞ることで不純物だけを綿にくっつけて取り除いてしまうのだそうです。
この綿がとても燃えやすく、昔から漆工場で火事が起こる原因になっていたのだとか。そのため、扱いにはとても注意がいるのだそうです。壁に貼られた「火廼要慎」の札(愛宕神社の火事避け札)が沢山貼られているのが印象的でした。


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常に漆の新しい可能性を求めて活動している佐藤喜代松商店さんですが、その傍らで漆に一般の人が親しめるよう、漆塗りの工芸教室も開催されています。

元は一般の方から漆塗りの方法について相談を受けていたのが始まりで、相談に来る人が増えてきたため2005年から教室の形で週何回か、本職の漆芸職人さんを講師に招いて開催しているそう。
見学当日もちょうど教室の日で、何人かの方が作品作りに取り組まれていました。

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蒔絵や螺鈿といった代表的な漆芸の技から、金継などの修理法まで学ぶことができるそう。
趣味はもちろん、将来や仕事のために勉強に来る方も多いそうですよ!

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漆、そしてお店の名前を聞いてとても渋いイメージをもっていたのですが、訪ねてみるとそこは伝統と革新が両立した、とてもクリエイティブな場所でした。
古いけど、最先端。漆の奥深さ、そして伝統工芸の将来を感じる貴重な時間でした。

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お忙しいなかご案内してくださった佐藤さん、本当にありがとうございました!

(撮影:浜中悠樹/文責:染川裕美子)

■ (株)佐藤喜代松商店についてはこちら:http://www.designweek-kyoto.com/jp/store/detail/?id=3

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