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【レポート】ハンブルク浮世絵コレクション展(相国寺承天閣美術館)に行ってきました!

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夏休み、いかがお過ごしですか?節電が叫ばれる今年の夏、それでも暑い!そんなときは、美術館で涼むのはいかがでしょうか。
今回は、相国寺承天閣美術館で開催されている「ハンブルク浮世絵コレクション展」に行ってきました!

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この展覧会は、ドイツの北部にあるハンブルク美術工芸博物館に所蔵されている5,000点以上にも登る浮世絵コレクションのなかから、前期100点・後期100点の計200点を選りすぐって日本で「里帰り」公開しているもの。

約150年前、この博物館の初代館長だったユストゥス・ブリンクマンさんという方がウィーン万博で日本美術に出会い、その表現や職人の技術に大変感銘を受け、日本人の美術商の協力の元で収集をはじめたのがコレクションのきっかけだそう。
当時はちょうどヨーロッパではフランスのアール・ヌーヴォーのように新しい美術を生み出そうという動きが盛んで、その上で構図や表現がとても斬新に感じられた日本美術は大変大きな影響を与えていました。
ドイツでも「ユーゲント・シュティール」という同じような動きがあり、ブリンクマンさんもドイツの美術工芸界を改革するよい手本と捉え、優れた日本美術の収集をしたといわれているそうです。

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入口には広重・歌麿・写楽・北斎のタペストリーが!
そう、この展覧会には誰もが名前を聞いたことがあるような浮世絵の有名絵師の作品が数多くラインナップされているんです!

主に展示は浮世絵の祖といわれる初期の鈴木晴信の作品から、年代を追って、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、そして江戸末期の歌川国芳や河鍋暁斎まで、ほぼ浮世絵の歩んだ歴史を概観できるようになっています。(ここに挙げた作者だけでもものすごいですが...)
しかもその殆どは、色もくっきりとのこっている状態のよいものばかり。
カラフルなグラデーションや着物の文様もよくわかります。
作品も、有名な広重の「東海道五十三次」(これは京都・三条大橋が展示されていました。見慣れた景色の昔の姿にちょっと感慨深さを覚えます)、北斎の「富岳三十六景」や「百物語図」(「いちま~い、にま~い...」のフレーズでおなじみの番町皿屋敷の絵でした。お化けなのに何だかユーモラス)など、お馴染みの作品が並んでいました。
あのゴッホが模写をし、大変影響を受けた、広重の「亀戸梅屋敷」も!
浮世絵のオールスター展、といってもよいほどの豪華内容でした。

ふと感じたのが、題材は人気の舞台役者か、吉原の人気の遊女たち(今で言えばアイドルや人気女優のような認識のところもあったのかも)、あとは町の普通の人々の生活が取り上げられたものが多かったことでした。風景画も、人気の旅スポットが取り上げられていて、一般の人が好みそうな題材が意識されているように感じました。
ちょうど京都市美術館で「フェルメールからのラブレター展」が開催されていますが、こちらも普通の人々を題材にした作品がほとんどでした。
両方に共通しているのは、どちらも一般の人々を顧客として描かれたものであること。
日本とオランダ、全く文化は違いますが、「普通の人が美術と親しんでいた」というところが、題材選びには影響していたのかもしれません。
(面白いことに、フェルメール展の作品は17世紀のものなのですが、こちらの浮世絵も17世紀ごろから生まれたものなんだそう。同じくらいの時期なんですね)

また、今回の展示は浮世絵の製作過程にもスポットをあてた内容になっているところも特徴的でした。
浮世絵は大衆向けの印刷物ということから、あまり印刷時の過程をうかがわせるような下準備に使用したものはあまり多くが残っていないそう。
でも、今回展示されているハンブルクのコレクションでは、実際に使用された版木や絵師が注文を受けて描いた画稿(ラフスケッチ)、版下絵(下書きの絵)などもあわせて収集されており、一緒に展示されています。
これは、コレクションの際に「美術・工芸のお手本になること」を考えていたブリンクマンさんの思いによるものかもしれません。
画稿や版下絵は絵師本人が自分の手で描いているものなので、細かな筆のタッチの違いもよく分かります。(絵師の上手下手もここでレベルがわかっちゃうらしいです)

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(↑ 今回の展覧会グッズ。右は図録で、前期のみの展示品も見られます(2,500円)。左はクリアファイル。手前の猫は広重の作品。後ろのこうもりさんは実際に展示品の浮世絵に描かれているもの!どの作品にいるか探して見てください。)

特に興味深かったのは「校合刷」と呼ばれるもの。主線部分だけを彫った版木の一番最初の試し刷りで、この時点で絵師が実際に印刷を行う摺師に色指定や修正指示をするのだそう。
どうしても何回も刷っていると版木が磨り減ってしまうので段々線がつぶれてきてしまうのですが、最初の刷りだけあって線がとてもシャープ。版画なのに、元の下絵の細やかなタッチが見事に再現されているのがわかり、版を作った職人さんの腕のよさが伝わってきます。
(隣に完成作品が並んでいるものもあるので、比べて楽しめますよ!)

また、線画に使う色も黒ではなくわざと藍色で刷っていたり、と細かな工夫も紹介されていました。
実際に作品を作る工程も、版木を使う順番に並べて展示されていたり(版木のどこに色をつけているか、などもわかります)
ただ絵を見ているだけではわからない部分もわかる、とても面白い展示内容だったと思います。
絵師だけではなく、それを作品に仕上げる職人さんも凄い!と思える展覧会でした。

展覧会は9月11日まで。

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また、8月21日までは、期間限定の特別展示として、伊藤若冲の版画作品「玄圃瑤華(げんぽようか)」も展示されています。こちらは一般の浮世絵(凸版印刷)と違い、主線部分を彫っておき、水でぬらした紙を版木に貼り付けて上から墨をこすりつけるという「拓版刷り」という方法で製作されたもの。こちらも版木と一緒に紹介されています。(現役で営業中の老舗の木版印刷会社さんの所蔵品です!)
こちらもあわせてぜひ。
(上の写真はその「玄圃瑤華」の図柄をあしらったミニファイル。5、6種類ほどあります)

※なお、展示室では浮世絵のほか、通常展示の伊藤若冲による金閣寺大書院の障壁画なども見ることができます。

関連リンク

日独交流150周年記念「ハンブルク浮世絵コレクション展」
相国寺承天閣美術館

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