Exhibitions展覧会

夏休み企画展2015 『ハイパートニック・エイジ』

2015/07/20(月) 〜 2015/08/30(日)

京都芸術センター 

2015年度の京都芸術センター夏休み企画展。今回は京都で活動している20代の若手作家4名(川田知志・NAZE・前谷開・薬師川千晴)を取り上げます。枠に収まらない独特の作品を展開している彼ら。その裏には、強い表現を生み出す内に抱える創造性があります。この機会にぜひご高覧ください。

多数の芸術大学が立地する京都では、若いアーティストが育ち、新しい表現が日々生み出されています。創作を続けることは、先の見えない不安と隣り合わせの道を歩むことでもあります。それでもなお、彼らが創り続けることを選ぶのは一体なぜでしょうか。

京都芸術センターの今回の夏休み展では、京都で活動する20代の若手作家4名を取り上げます。

一人目は、仮設壁やマスキングテープなどで壁面を覆い尽くす作品を制作している川田知志。彼がモチーフとするのは、ごみや草木、子どもが遊んだ後に散らかった紙くずなど、ふとした瞬間にあるそばにある小さな形体。それが川田の手で大きく拡大され、空間を支配します。
二人目は、ドローイングやインスタレーション作品など、幅広く活動を展開しているNAZE。彼の生み出す独自のキャラクターたちは、たくさんの目を持ち、木目や壁のしみが顔に見えた子どもの頃を思い起こさせる、周囲の世界への敏感な感性と想像力に基づいています。力強いタッチやグロテスクでユーモアのきいた作品世界は、唯一無二の存在感を放ちます。
三人目の前谷開は、セルフポートレートを軸とした写真作品を発表しています。自身の生活する古い日本家屋の床下に入ったことをきっかけに展開し始めた近作では、掘り下げた穴の中、暗闇に横たわる彼自身が写し出されています。その姿は、床下で見つかった猫の白骨と重なり、孤独やいつか訪れる死の予感を漂わせます。
四人目の薬師川千晴は、絵具を塗った紙を二つ折りにし開く描画手法「デカルコマニー」を応用し、絵画の可能性を模索しています。彼女は完成した作品に自作の矢を射ります。張り付いた紙をはがす瞬間、絵具が引き合う力を感じるという彼女にとって、デカルコマニーは一度ひとつになった素材を引き離す行為であり、そこに深く刺さった矢は刹那と傷みを伴います。

フレームに収まらない、彼らの独特の作品の裏には、鋭敏な感性と、つくることへの衝動や欲求といった、彼らを創作へと向かわせる必然が確かに存在しているように感じます。彼らが内に抱える創造性は、孤独や不安、葛藤といった困難さえも呑み込み、より強い表現となって現れてきます。

同調が求められがちな今の時代、子どものような鋭い感受性を持ちつづけ、表現していくことは、易しいことではないかもしれません。しかし、だからこそ、彼らの表現はより強いリアリティと説得力とをもって、私たちに迫ってくるのではないでしょうか。
表現を生み出す強い創造性は、たとえその存在を忘れてしまっていたとしても、すべての人の中に息づいているものかもしれません。

会期中にはアーティスト本人が作品を解説を行う機会やワークショップを予定しています。
この機会にぜひご高覧ください。

展覧会概要

期間 2015/07/20(月) 〜 2015/08/30(日)
会場・開催場所 京都芸術センター
時間 10:00~20:00
休館日 8月14日(金)~16日(日)
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-213-1000075-213-1000
FAX:075-213-1004
E-Mail info@kac.or.jp
ホームページ http://www.kac.or.jp/

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