Exhibitions展覧会

本の縁側 矢萩多聞と本づくり

2019/03/30(土) 〜 2019/06/19(水)

京都dddギャラリー 

京都を拠点に活動する装丁家・矢萩多聞の展覧会です。彼がこれまでデザインした500冊以上の本を実際に手に取ってご覧いただける他、装丁のラフ案などを展示し、デザインの工程を解説します。また、矢萩がこれまで取り組んできたワークショップなどのプロジェクトについてもご紹介します。

design by Tamon Yahagi

矢萩多聞は京都を拠点にユニークな本づくりを行う装丁家です。彼は美術デザインの専門教育を受けていませんが、中学で不登校となったことを機に南インドへ渡り、10代のほとんどをインドで暮らしながら、独自のペン画を描きはじめ、その才能を認められるようになりました。そして、2002年、はじめての著書『インド・まるごと多聞典』(春風社)をきっかけに本の仕事にたずさわるようになり、以後、フリーランスの装丁家として大小さまざまな出版社の500冊を超える本を手がけています。2012年には制作拠点を京都に移し、本にまつわるさまざまな活動をくり広げています。

彼はみずからの創作活動について、著書『偶然の装丁家』(晶文社)のなかで「人と人の出会い、ささやかな言葉や体験が、つねに自分を変化させつづけ、いまの仕事につなぎとめてくれている」と書いています。矢萩多聞にとって「本づくり」は、単にデザインの工程だけを指す言葉ではありません。製紙から、デザイン、印刷、製本、販売に至るまで、一冊の本が世に出るまでに関わる人びとがバトンのように想いを託し、読者へ届けることこそが本づくりの本質であると考えています。

今回の展覧会「本の縁側」というタイトルに込めた思いを、彼はこう述べています。

本は縁側みたいだ、と思う。一冊の本がきっかけで見知らぬ人と出会う。なにげなくめくった一ページから会話がはじまる。本のまわりにはいつもにぎわいがあり、ちょこんと腰をおろせる場所がある。(……)装丁とは、読者の目をひくためだけのものでも、ありがたい芸術作品でもない。どんなに難しい学術書であっても、紙やインキが、いくばくかの居心地よさをもたらしてくれる。どんなにささいな本であっても、暗い時代の灯火になって、血の通う人間のあたたかさを照らしてくれる。どうかそういうものであってほしい、と祈るようにして、ぼくは本をつくってきた。 (本展イントロダクションより)

本展では、矢萩がこれまでデザインした500冊を超える本をすべて手にとって見ることができるほか、装丁のラフ案などを展示し、デザインの工程を詳らかに解説します。また、手づくり絵本で有名なインドの出版社タラブックスとの仕事、「ちいさくつくり、ちいさく届ける」をコンセプトにみずから立ち上げたリトルプレスAmbooks、「人間はなぜ本をつくるのか」というテーマのもと、小学生の子どもたちと取り組んだ本づくりワークショップ、国内外の紙づくりの現場を訪ねる旅など、彼がこれまで行ってきた大小のプロジェクトについても紹介します。
本づくりの愉しみはもちろん、本の周辺にひそむ新たな可能性を感じられる「本の縁側」にぜひお立ち寄り下さい。

■ 展覧会特設サイト http://tamon.in/en/

矢萩多聞

画家・装丁家。Ambooks代表。 1980年横浜生まれ。9歳ではじめてネパールを訪れてから毎年インド・ネパールを旅する。中学1年生で学校を辞め、ペンによる細密画を描きはじめる。1995年から南インドと日本を半年ごとに往復し、銀座、横浜などで個展を開催。2002年、対談本『インド・まるごと多聞典』(春風社)を刊行。この頃から本をデザインする仕事をはじめ、現在までに500冊を超える本を手がける。2012年、事務所兼自宅を京都に移転。2016年、リトルプレスAmbooksを開始。 著書に『インド・まるごと多聞典』(春風社/絶版)、『偶然の装丁家』(晶文社)、『たもんのインドだもん』(ミシマ社)、共著に『タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)、『本を贈る』(三輪舎)がある。

展覧会概要

期間 2019/03/30(土) 〜 2019/06/19(水)
会場・開催場所 京都dddギャラリー
時間 11:00~19:00
※土曜日・6月9日(日)は18:00まで
休館日 日曜・祝日
※4月28日~5月6日は祝日のため休館となります
※6月9日(日)は特別開館いたします
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-871-1480075-871-1480
FAX:075-871-1267
ホームページ http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/

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