Exhibitions展覧会

便利堂創業130周年記念 「至宝をうつす-文化財写真とコロタイプ複製のあゆみ-」

2017/12/16(土) 〜 2018/01/28(日)

京都文化博物館 

日本では貴重な書物や絵画は写本・模写によって後世に伝え残されてきました。近代以降もその精神は受け継がれ、写真で文化財は記録され、印刷による複製が写本として共有されることになります。この展覧会では明治から文化財の保存・複製印刷に携わる便利堂の資料を通じ「うつす文化」を考えます。

【画像】
(1) 便利堂による法隆寺金堂壁画原寸大撮影風景 昭和10年(1935)
(2) 尾形光琳筆「風神雷神図屏風」コロタイプ復元複製
(3) 鳥獣人物戯画 コロタイプ複製
(4) 酒井抱一筆「夏秋草図屏風」コロタイプ復元複製


日本は先人たちの確かな意思によって伝えられた文化財、いわゆる「伝世品」が数多く遺されている世界でも稀有な国です。その中には、「日本書紀」や「源氏物語」など、オリジナルは失われても「写本」という形によって現存するものが少なからずあります。古代から長い年月にわたり、貴重な文字資料や優れた絵画作品は臨写や模写など人の手によって繰り返し写しが作られ、伝え遺されてきたのです。これらは、大切なものを写して後世に伝えたいという先人たちの思いの賜物であり、日本が誇る「写本文化」と言えます。

写真技術がもたらされた近代以降は、人の手に代わってカメラによって文化財が写され、写真として記録されるようになりました。同時に、写真印刷によるいわゆる複製物が写本として共有されることになります。この複製に用いられた技術が“コロタイプ”です。
コロタイプは撮影された写真フィルムをそのまま原版とする印刷技法で、自然な濃淡や階調の表現に優れており、その顔料インキの保存性の高さから多くの国宝・重要文化財の絵画や書跡などの複製に活用され、今日まで文化財を後世に伝える役割を果たしてきました。

明治20年(1887)に京都の地で創業し今年で130周年を迎える便利堂は、明治よりこの文化財撮影とコロタイプを通し、記録写真と複製による文化財の保存と普及に取り組んできました。
この展覧会では、便利堂が手掛けた法隆寺金堂壁画や高松塚古墳などの重要な文化財写真撮影の歴史を紹介し、1世紀以上にわたって制作してきた「現代の写本」としての文化財複製の数々を展示します。
なかでも法隆寺金堂壁画の文化財写真は昭和24年の火災により焼失する以前、昭和10年の調査時に撮影されたもので、その貴重性から重要文化財に指定されています。展覧会ではこの写真を元に昭和12年に制作された原寸大コロタイプ複製12面を一堂に展示し、あたかも金堂内部にいるかのような空間で焼損前の麗しい壁画の姿をご紹介します。
また、2017年は高松塚古墳の発見45周年の節目にあたり、また10年を要した壁画の修復が完了したことを記念し、便利堂が所蔵する発掘時に撮影された貴重な古墳壁画写真原版を元に制作した原寸大コロタイプ複製を展示します。

近年の震災の例を挙げるまでもなく、文化財は絶えず天災や人災によって失われる可能性があります。これらの展示を通じて、文化財の保存と伝承について考えていただく機会になるとともに、「文化の都」京都で育まれた複製技法であるコロタイプについて理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。

展覧会概要

期間 2017/12/16(土) 〜 2018/01/28(日)
会場・開催場所 京都文化博物館
時間 10:00~18:00(金曜日は19:30まで/入場は閉室30分前まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
年末年始(12月28日~1月3日)
料金 一般:1,000円(800円)
大高生:700円(500円)
中学生以下無料
注意事項等 ※()内は20名以上の団体料金 ※上記料金で総合展示・フィルムシアターもご覧いただけます
お問い合わせ TEL:075‐222‐0888075‐222‐0888
FAX:075-222-0889
ホームページ https://www.benrido-130th-anniv-ex.com/

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