Exhibitions展覧会

石場文子「zip_sign and still lifes(記号と静物)」

2020/04/10(金) 〜 2020/04/19(日)

Gallery PARC 

日常的な風景を撮影した写真に面や線を介入させることで、人の資格認識の有り様に注目する作家・石場文子の個展です。

石田文子《2と3のあいだ(トタンと植物) 》 2019 インクジェットプリント

石場文子は、写真を媒体に日常的な風景を取材しそこに実際の面や線によって介入することで、鑑賞者の「見る」と「認識する」の間にズレを生じさせ、私たちの視覚認識のあり様へと注意を向ける作品を制作しています。

2014年ごろから制作をはじめた「ソファと□のある風景」シリーズは、赤や青の色面や、ストライプが印刷された四角形の紙をソファの上に並べて撮影した作品であり、同時期に制作された「Laundry」シリーズは、靴下などを撮影・印刷して切り抜き、物干し機に洗濯ばさみで吊りさげた様子を撮影したものです。これらはいずれも実際の空間では平面(2次元)であったものが、写真内の状況によってクッションや洗濯物といった立体(3次元)と錯視されることで、私たちの認識のあり方に触れるものといえます。また、近作である「2と3のあいだ」、「2と3、もしくはそれ以外」シリーズは、実際の被写体の輪郭線に見える部分を黒く塗りつぶして撮影することで、今度は実際の立体(3次元)を平面(2次元)へと錯視させています。

石場は写真の中に「面」や「線」によって介入し、そこに錯視的な視覚をつくり出すことで(2次元)と(3次元)という概念を強く意識させます。これにより鑑賞者は視覚と概念のズレを認識し、そこを「往き来」するような鑑賞体験を得るといえます。そして、ここで、なにより興味深いのは、これらが「写真」の内に発生している点ではないでしょうか。写真といういわば平面(2次元)の上のイメージにおいて、私たちの「2次元⇄3次元」というこの錯視・認識のズレは、何に起因するのでしょうか。そもそもすべてのものに厚みや手触りがあるなかで「2次元」という存在はあり得るのでしょうか。では、私たちが石場の作品を見て感じる違和感はどこからやってくるのでしょうか。

本展では石場の現時点での代表作となった「2.5」シリーズ作品と合わせて、これまでの作品の中でも幾度か思考されていた「パターンや記号」・「静物」といった要素を取り入れた作品を発表します。また、これまでの(2次元)と(3次元)という構造の中に「時間」という要素を扱った作品を組み込んだ構成として展開します。
本展は今までの石場の作品を点検する機会であるとともに、現時点での作家の興味や、今後の作品展開を見とおす機会としてお楽しみいただけます。ぜひご高覧ください。

※新型コロナウイルス感染拡大に伴い、26日まで開催予定のところ、4月19日にて終了となりました。また、2020年5月以降の「Gallery PARC」での展覧会予定は全て中止となりました。詳細はギャラリーのホームページをご確認下さい。
 

石場文子

1991年兵庫県生まれ。2014年京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野卒業。2016年愛知県立芸術大学美術研究科博士前期課程修了。

<個展>
2019 「次元のあいだ」 児玉画廊(東京)
2018 「たかが日日」 山下ビル(愛知)
2017 「2.5」 KUNST ARZT(京都)
2015 「しかく-Square/ Sight/Blind spot-」 KUNST ARZT(京都)
2013 「house」 KUNST ARZT(京都)

<グループ展>
2019 さっぽろアートステージ2019 ART STREET 美術展『まなざしのスキップ』 札幌文化芸術交流セ
ンターSCARTS(北海道)
2019 ignore your perspective 52「思考のリアル Speculation ⇄ Real」 児玉画廊(東京)
2019 「LUMIX MEETS BEYOND2020 by Japanese Photographers #7」 Gashouders(アムス
テルダム)/ IMA Gallery(東京)/ Galerie Nicolas Deman(パリ)
2019 あいちトリエンナーレ2019「情の時代」 愛知芸術文化センター(愛知)
2019 IMA×Edition “STYLED IN PHOTOGRAPHY” vol. 1”「写真を着る、言葉を纏う~フォトグラ
ファーと言葉によるT シャツコラボレーション~」 IMA Gallery(東京)
2019 「VOCA 展2019 現代美術の展望̶新しい平面の作家たち」 上野の森美術館(東京)
2018 「Pop-up Dimension 次元が壊れて漂う物体」 児玉画廊(東京)
2018 「メソッドの考察」 愛知県立芸術大学学食2次元(愛知)
2018 ART NEXT NO.3「不透明なメディウムが透明になる時」石場文子× 守本奈央「温かいベンチ」 電
気文化会館(愛知)
2018 石場文子× 守本奈央「立てる」 Masayoshi Suzuki gallery
2018 「写真的曖昧」 金沢アートグミ(石川)
2016 ギャラリー矢田パートナーシップ<Next#4>「見えないものをみる力」 市民ギャラリー矢田(愛知)
2016 石場文子× 中山絵梨「アワーモデルルーム」 愛知県立芸術大学サテライトギャラリー(愛知)
2015 「Lagrangian point パースペクティブカスタマイズ 」 Gallery PARC(京都)

<受賞歴>
2019 VOCA 奨励賞

展覧会概要

期間 2020/04/10(金) 〜 2020/04/19(日)
会場・開催場所 Gallery PARC
時間 11:00~19:00
※月曜休廊
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0703
E-Mail info@galleryparc.com
ホームページ http://www.galleryparc.com

関連アートイベント

該当するアートイベントはございません。

関連記事

該当する記事はございません。