Exhibitions展覧会

re:trans #043 ｜mixed media, H780 x W650 x D180mm, 2015 Ⓒ田中 真吾

さまざまな素材を組み立てては燃やし、また組み立てていく。
制作を始めるときには、明確な完成形は思い描かない。制作の方法や手順を意識することも極力控えている。ただただ、組み立てと解体を繰り返す。1つのものが2つになり、3つのものが1つになる。新しく生まれた断片はすぐに古くなり、反対にずっと前に作られて放置されていた断片が他の断片と出会うことで新鮮さを取り戻していく。そんな作業の繰り返しの中で、不意に驚くような造形に出会うことがある。今まで想像もしていなかった形や色が生まれ、自己主張を始める。きっと、私の意識的な作業だけでは生まれ得ないだろう。火が介入することで物質の変性はいっそう加速され、ますます私の手から離れていくようだ。私は必死になってつなぎとめようとする。そんな戯れにも似たやり取りの中から、少しずつ作品が立ち上がってくる。（田中）

炎や煤、灰を駆使し、写真や彫刻、絵画などのさまざまなメディアで「火」を表現する作家・田中真吾の個展です。
eN arts では2009年から毎年発表を続けており、今回が7回目の個展となります。

今回の展覧会で中心となるのは、田中のアイコン的作品シリーズ「re:turns」の新作群です。
「re:turns」は、廃材を用いて「構築＋燃焼＋解体」を幾度も繰り返しながら制作されます。異なる素材や燃焼方法、燃焼回数によって制作された作品に内包された、「炎」のさまざまな表情を想像しながら、火の魅力や恐怖、我々人間と人の関係性を感じ取っていただければ幸いです。


■ オープニングレセプション：7月4日（土）18:00～20:00