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京都国立博物館 開館120周年記念 特別展覧会 国宝(1期)|中里楓のアーティスティック探訪 132

投稿:2017年10月16日

nakasato201711_1 (1).JPG

“Which gender made this earthen vessel,the male or female?
(この土器を作ったのは、オトコ?オンナ?どっち?)

「今回の展示品はすべて国宝」

そんな宣伝文句に心躍らせながら、秋の風の吹く京博を訪れました。
今回の展覧会はⅠ期からⅣ期に分かれていて、Ⅰ期の展示品だけでも約80を数えます。
いくらなんでもそれだけの数の国宝を丹念に鑑賞できないので(人も多すぎますし)、
今回は『縄文』に焦点をあてて観てみました。

nakasato201711_1 (2).JPG
国宝 深鉢形土器No1 (火焔型土器) (簡易スケッチ)
新潟県十日町市笹山遺跡出土
縄文時代前3500~前2500年

館内で展示品の撮影はできないので、いつもの取材ノートに簡単にスケッチした絵を載せておきます。

「あ!これ教科書で見たやつや!」

ガラスケース越しにこの土器を見る人すべてがこのセリフを言っていきます。
それにしても、この造形、何を表したものなんだろう?

『!!』

ボクにはまるで彼ら縄文人が自然の驚異・脅威を目の当たりにしたときの感情を表現したかのような造形に見えます。

土器下部の縦縞は地中から地表を、中間の渦は大気のダイナミズムを、上部の尖がりは火と焔(太陽)を表しているのではないかと。

あと、見落としがちなのが、5000年前に生きた縄文人がそのときすでに、粘土を知り、その加工しやすさを知り、焼けば固まることを知っていたということです。

『!なんやこのクニャクニャしたモノ!おもしれ~!』

日本語が生まれるずっと以前、どんなコトバを使っていたのか皆目分からないけれど、
きっと初めて粘土の存在を発見した縄文人はこう思った、のではないでしょうか。

初めて見つけた柔らかな石をこねて様々な形を作り
それが自分たちが生存し続けるために役に立つ形へと淘汰し
指のみの作成から木のへらや尖った石などの道具を駆使するようになり
造り続けているうちに彼らの胸の奥の方でアーティスティックなものが芽生え
その先にあの『火焔』がこの世に現出するに至ったのだ
 
nakasato201711_1 (3).JPG
国宝 土偶 縄文のビーナス (簡易スケッチ)
縄文時代 前3000~前2000年
長野県茅野市棚畑遺跡出土

左右の腕は省略され、突出した乳房に鋭くくびれた腰、
大きな臀部と尻部を持つ妊娠した女性。

なぜこのような造形物を縄文人は造ったのか?

その答えのひとつは、命を生み出す'オンナ'という存在に神秘的な力を見出だし、
その'オンナ'に対して崇敬と感謝の念を持ち、その想いを表現せずにはいられなかったのではないか、とボクは思います。

 
nakasato201711_1 (4).JPG
国宝 土偶 縄文の女神 (スケッチ)
縄文時代 前3000~前2000年
山形県舟形町西ノ前遺跡出土

“The Jomon Goddess has a great figure!”
(縄文の女神って、抜群のプロポーション!)

この『縄文の女神』を鑑賞するなら、斜め横からがベストだと思います。
この角度からならそのスラリとした長身と魅力的なウェストラインを確認できるからです。

『オレ、こんなオンナがタイプやわ~!』

やっぱりこれを作ったのは縄文男子なんでしょうね・・・
それにしても縄文女子のプロポーションのすばらしいこと!

省略された腕は、ギリシャ彫刻の『ミロのビーナス』や『サモトラケのニケ』に通じるものがあって美しさを想像的に倍加する効果があるだろうし、胸の尖がりは簡略的にデザインされたと捉えられるし、
でも頭の扇形は・・・なんだろ?
腰回りの模様は?なんで脚が四角なの?
縄文のビーナスの平坦渦巻つきヘッドホン帽子は?

よくよく観察してみると、縄文土器・土偶には不思議が満載です。
これらの古代芸術を鑑賞するに、ボクらの体の細胞内に眠る縄文人のDNAを針で細かくつつきつつ、弥生時代や飛鳥時代以降の文化的知識をいっさい使わずに相対する、のがいいのかもしれません。

ここで、5000年前の縄文時代に思いをはせて、こんなお話を想像してみました。

***


~縄文ショートストーリー~

何千年か後には、エチゴとかニイガタと呼ばれるようになる日本列島の片隅で、
縄文彼氏ジョウくんと縄文彼女モンちゃんが同棲していました。

ジョウくん:「なぁなぁモンちゃん、今日な、川べり歩いていたらクニャっとしたもん踏んだから見てみたら、柔らかい石やってん」
モンちゃん:「え?柔らかい石なんてあんの?土ちゃうん?ちょっと見せてみ」
ジョウくん:「ほら、これなんやけどな」
モンちゃん:「あら、ほんと、やわいな~これ!」
ジョウくん:「な、おもろいやろ・・・そんで、これをこうして、こうしたら・・・」
モンちゃん:「へぇ~!いろんな形になんねんな~!」
ジョウくん:「だろ!」
モンちゃん:「て、そんなことしてる場合ちゃうねん、ほら、昨日とってきた木の実の皮、むかなあかんやろ!」


そういって、モンちゃんはその柔らかい石を焚火のそばに置きっぱなしにしたのです。
それをそのまま放置して、一晩経ちました。
朝起きてジョウくんがその置きっぱなしの柔らかい石を持ってみると、

ジョウくん:「なんやこれ!片方が固くなってる!」
モンちゃん:「え、どれみせてみ・・・ほんまや!こっちはやわいままやのに!」
ジョウくん:「・・・なんでやろ・・・火のそばに置いてあって・・・」
モンちゃん:「もしかして、火で温めたら固くなんの?」
ジョウくん:「もしそうなら、これで大きな葉っぱの代わりが作れるんちゃうの?」
モンちゃん:「Good Idea!」


***

なんて、縄文土器発明物語をボクら現代人には解読不能のジョウモンコトバで話していたのかも?



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