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アートを支えるひとたちのことば。

vol.
04

後藤あゆみさん(SHAKE ART!代表)
ART KYOTO meets FUJII DAIMARU 「Grassland」

今回は、「京都で遊ぼうART」にても連載記事「KYOTO NEW WAVE」を担当している、関西の美大生・芸大生を中心にしたアートプロデュース団体「SHAKE ART!」の代表、後藤あゆみさんにお話を伺いました。 実は京都は芸術系の大学も多く、数多くの若手アーティストが巣立っている場所でもあります。その支援を掲げ、さまざまな活動を学生さん自身から積極的に発信しているその活動、そして後藤さん自身の思いを伺いました。

自分が応援してきた、紹介した作家が成長していくその過程を見ているのが、とても面白いんです。

■ SHAKE ART!の発足のきっかけや活動内容について、改めて教えて頂けますか。

「SHAKE ART!」は関西の美術大・若手作家の支援団体です。美大や芸大、そして総合大学の学生がスタッフとして集まって活動しています。
発足したのは、2009年の5月です。最初は若手アーティストや学生を中心にした交流会という形で、既に活躍されているクリエイターさんのトークがあったり、名刺を交換したりポートフォリオを見せ合ったりして交流するイベントでした。立ち上げたのは塩谷さん(SHAKE ART!初代代表・京都市立芸術大学卒)です。
私は交流会のときは一般参加者だったんです。交流会の後に、皆で団体を作って活動をしませんか、と声かけがあって、私も参加させて頂きました。

現在はフリーマガジンの発行やイベントや展覧会、あとは京都に関する色々なプロジェクトに参加したりと色々な活動をしています。
昨年からは新たにラジオ番組を行ったり、河原町にある商店街のホームページデザインなどのデザイン業務もやらせて頂いています。でも、あくまで活動の基本は「美大生や若手アーティストを支援する」「発表の場を作り活動や出会いのきっかけをつくる」「社会的にもっとアートを身近なものにする」というところにあるので、活動コンセプトからずれてしまわないように、バランスを取る事がなかなか大変ですね。

■ 後藤さんの中で特に自分に影響した出来事はありますか。

後藤さんがイベント企画の楽しさを知った2009年第1回のartDive特に自分の中で影響が大きかったと思う事は、2009年11月のArtDive(みやこめっせ(京都市勧業館)で2009年から開催されている大型アートイベント)ですね。まだ出来たばかりの頃だったですが、運営に携わらせてもらいました。それが本当にやっていて楽しかったんです。実際にイベントに参加する事はもちろんですが、イベントを作る側ならではの面白さを知った事がとても大きかった。

もともと私は、デザインをやりたくて「SHAKE ART!」に参加しました。
でも、「この人いい!」という作家さんを見つけて、紹介するのがすごく楽しくなっていったんですよね。
応援している作家さん、プロデュースしている作家さんを紹介して、その人が色々なところに知られるようになって、どんどん成長していく過程を見ているのが、とても面白いんです。
今までSHAKE ART!の雑誌やイベントで紹介した作家さんの中にも、それがきっかけでアート業界の人にも注目されて、ギャラリーに所属して活動するようになったり、出展作品がすべて買い上げなったような人もいます。
そんな人が「あっ、この人SHAKE ART!ので見かけたよね!」と言って貰えたり、「この人前に私たちが紹介したんだよ!」と言える事が本当に嬉しいですし、やっていて良かったと感じます。

普段はアートに触れる機会が少ない人にも、アートに出会える機会を作りたい。 決まった箱の中の展示だけでは得られないものもある。

萬福寺芸術祭-EN-(写真は2011年のもの)もうひとつ印象深いのは、萬福寺芸術祭(2010年から宇治市・黄檗にある萬福寺で開催されているアートイベント。SHAKE ART!など学生スタッフが主体となり企画・運営している)です。
海外のアートフェアとか、ビエンナーレは、それぞれ土地にあった空間に作品を展示したり、アート以外にも色々な催しがあります。それを京都でも形にしてみたいと思っていました。

京都ならではのお寺の空間を使って、その空間に合った作品を選んで、展示する。
石庭の石の上に作品を置くとか、お寺の山門で映像作品を上映するとか、普段はまず出来ないような試みを実行することが出来てとても良かったです。不思議だけどとても素敵な空間を作ることができました。
また、展示のほかにも音楽ライブで演奏を楽しんでもらったり、ワークショップで作品を作ってみたり、屋台でご飯を食べたり。アートだけではない、丸一日そこで楽しんで頂けるイベントにしたい、と思っていました。お年寄りや、親子連れでいらっしゃっていた方も多かったのはとても嬉しかったです。

お寺でアートイベントをやると、イベントのために普段お寺に行かないような人も集まってきますから、人をいつも以上にお寺に呼ぶことができて、会場のお寺のお役にも立てます。

逆に、普段あまり展覧会やイベントに行くようなことがない人に、アートに触れる機会を作ることもできます。
何も知らずに、たまたまその日訪れた人でも「ああ、今こんなのやってるのか~」といった感じで、気軽にアートに触れてもらえる。普段現代アートや学生のアート作品を見ることがない人にも、アートを見てもらうことができます。これが、ギャラリーではない場所でアートイベントをやるメリットだと思います。

■ ギャラリーではない場所でのイベントは、これまでSHAKE ART!さんではCOCON烏丸やLAQUE(どちらも四条烏丸のデザイン・ファッションビル)などでも開催されていますね。
あえてギャラリーではない場所を選ばれる理由を、もう少し詳しく教えて頂けますか。

萬福寺芸術祭-EN-(写真は2011年のもの) SHAKE ART!の活動方針もそうですが、社会的にあまり美術を見ていないような人たちにも、作品や作家を知ってほしい、そんな機会を作りたいと思っています。

ギャラリーにはなかなか一般の方が行く機会は少ないですし、ギャラリーはなんだか敷居が高くて、慣れていない方には入りづらい。一般の通りすがりの人にとっては、よく知りもしない作家の展覧会ってなかなか入ることは少ないでしょうし、ちょっと勇気が必要ですよね。
それに、芸大生や美大生にとっても、ギャラリーに展示する、となるとかなり緊張するものなんです。懐の面でもハードルが高いところも多いですし。実際に展覧会を開催しても、結局友達とか知り合い、業界の人といった内輪しか来なくて…という場合もあります。


最近知ったんですが、実は芸大生や美大生でも、家にアート作品を飾ってない人って結構多いようなんです。
同世代でアートプロデュース活動をしている人にも尋ねてみたら、実家にはそういうものはひとつもなかった、そういう環境にはいなかった、って答えられたこともあって。
さらに、展覧会にもいったことがない、美術館にもほとんどいかない、という人もいて…アートに携わっているのに!って、自分では本当に驚いてしまいました。
アートを作っている人や携わっている人でも展覧会に足を運ばなかったり、作品を家に飾る、ということがなかったりする。触れる機会がほとんどない人なら、なおさらハードルが高くなってしまう。
この環境を少しでも変えていきたいと思っています。
見に来る人が足を運びづらいなら、こちらから運びやすいように近づいたり、環境を作ったりしてアプローチする方法を考えるのが、イベントを企画する側の大切な役割だと思っています。

■ ちょうど4月20日からも、四条河原町のファッションビル・藤井大丸さんでイベントを開催されますね。

「Grassland」のポスター画像5月6日までの日程で、「Grassland」というイベントを開催します。
この企画はもともと、ART KYOTO2012 実行委員の石橋さん(neutron 石橋圭吾さん)から提案していただいたものです。

フライヤーのデザインからそうなんですが、グリーン、草原をテーマにした内容になっています。
こちらがお呼びした作家さんの作品展示のほかにも、藤井大丸さんを通してアーティストやブランドとタイアップして製作したアートグッズの販売など、いろいろな企画が混じっているんです。作家さんの展示は5、6階が中心で、6階には草間弥生さんと藤井大丸さんに入っているブランドのコラボレーションによる服などの展示販売もあります。

展示作品については、参加するアーティストさんにも最初から、草原とか、ナチュラル、エコといったイメージの作品を作ってください、とお願いさせて頂きました。それぞれの作家さんによってきっと違うものが出てくるでしょうし、いつもSHAKE ART!を通して見ている作家さんがどんなものを見せてくれるのか、こちらとしても楽しみにしています。

デパート内の壁とかのスペースを使って作品を展示することになるので、買い物ついでにでも、気軽に作品を見ていただけるのではないかと思います。陶器から版画からいろいろなものがありますが、部屋に飾ってもらいやすいものばかりですし、若い作家さんの作品はそこまで値段が張るものではないので、購入しても頂きやすいと思います。藤井大丸さんはファッションビルですし、服を買うくらいの感覚で。

また、あまりアートに詳しくない友達でも、買い物がてら誘って見に行くこともしやすいんじゃないかとも思いますね。
畏まった感じの展覧会だと、興味があまりない人を誘うのもちょっと気が引けてしまいますし。

プロのギャラリストやコレクターさんと全く同じことを同じ規模でできるか、となると難しいです。でも、私たちは扱うアーティストさんにも年が近かったり、芸大生・美大生なら身近にアーティスト活動をしている人がいたり、自分自身もそうだったりする。展覧会を見に行く側、特に若い人の感覚もわかる。そんな自分たちだからこそ、作ることができるイベントもあると思います。

若いアーティストさんを支援して、紹介して知ってもらうということがSHAKE ART!のコンセプトですし、人に見てもらう機会を増やすことは大切な活動です。今後もそういう場所を積極的に活用して、アートに触れる機会を、興味をもってくれる人を少しでも増やしていきたい。
その力に少しでもなれたら、本当に嬉しいし幸せだな、と思います。

そのとき、だけではなくてその先も続くような企画を作りたい。 今までやってきたことを持続させて、発展させていきたいんです。

■ 今後の活動はどのようなことを考えていらっしゃいますか。

今後の活動としては、京都の他にも関東や名古屋で開催するイベントも進行しています。
特に、見せるだけではない、実際にグッズに展開したり、具体的なビジネスなどの形として今後に繋げていけるようなイベントをやりたいです。
どうしても作品の展示に特化してしまうと、開催時だけの盛り上がりで終わってしまって、その先、イベントが終わった後まではなかなか続かなかったりします。せっかく作品が売れても、そのときだけではアーティストさんは活動していけませんし、成長もできません。もっと具体的な形でアーティストさんを支援していける、長く盛り上がりの効果を持続できるような企画をしていきたいです。

私個人としても、これからも京都でアート活動をしていきたいと思っているんです。かといって京都の中に閉じこもる、というわけではなくて、京都を拠点にアートを発信していきたい。京都とほかの街や海外との「繋ぎ役」的存在になりたい、それが私の夢です。

今まで本当にたくさんの活動、企画に関わってきましたが、今まで走ってきたスピードを緩めたくない。ここで立ち止まってしまったら正直続かない気がする。
せっかくいろいろな人からも声をかけてもらえるようになって、やれること、自分で実現できることがどんどん増えているのに、ここでスピードを緩めたらそれが狭まってしまうように思うんですよね。
ブランクをつくってしまったら、その分時間は動いているし、置いていかれる、わからなくなってしまうんじゃないかって。アートシーンには次々新しいもの、人が出てくるし、止まることはないですから。

もちろん普通に仕事につくこと、社会勉強をすることも大切だとは思うんですけど、その時間も惜しいくらい(笑) 私、遊ぶ時間がなくってもいいくらいに思ってるんですよ。アートに関わる活動をしているときが一番楽しくて、一番充実しているような気がするから。

今までやってきたことを持続させて、発展させていきたい。自分のいけるところまで、スピードを緩めずに進んでいきたいです。

「つい熱くなって喋りすぎちゃうんですよね」という後藤さん。
しかしイベントを作ること、アートを支えること、それに対する熱意は十二分に伝わってきました。
「すごい作品を、それを作っている人がいることを、もっとたくさんの人に知らせたい」
後藤さんの思いは、「アートを支えるひとたち」全ての根幹にある、まさに「原点」であるような気がしました。
そして同時に、自分自身も作品を「作る側」であり「見る側」でもある後藤さんは、 双方の視点を理解できる人なのだな、とも感じました。
作る側と見る側どちらの感覚も持っているということは、双方の立場を繋ぐ役目である「企画者」にとって、大切な要素なのかもしれません。

今後の活躍にも期待大です!
お忙しい中お時間を頂いた後藤さんに、この場を借りて、お礼を申し上げます。

【今回お話を聞いたひと】

後藤あゆみさん(SHAKE ART!代表)

「SHAKE ART!」第二代代表(2011~)
数多くのイベントの企画・運営のほか、デザインなどを手がける。
現在は京都精華大学デザインクリエイション学科在籍。

SHAKE ART!
関西の学生による、芸大・美大生、若手アーティストの支援団体。2009年発足。活動の主体であるフリーマガジンは現在年3回ペースで各10,000部発行、京都や大阪のギャラリーや大学のほか、現在では東京や福岡など全国にも配布している。
若手アーティストを中心とした展覧会やイベントの企画、プロデュース活動、他企業とのコラボレーションなども積極的に行っている。
URL:http://www.shakeart.jp/

→ 京都で遊ぼうART内での若手アーティスト特集記事 「KYOTO NEW WAVE」好評連載中!
http://www.kyotodeasobo.com/art/newwave/

【展覧会情報】

ART KYOTO meets FUJII DAIMARU 「Grassland」

この春 、京都が様々なアートイベントで盛り上がります。 ART KYOTOの関連イベントとして、ハイセンスなライフスタイルを提案する百貨店「藤井大丸」で若手アーティストの作品の展示会を開催します。 -Grassrand-草原をテーマにナチュラルやグリーンを意識した作品が並びます。 各階ごとの特別な展示や企画をお楽しみ頂けますのでぜひお越し下さい。

■ 会期
2012年4月20日(金)~5/6(日)
■ 会場
藤井大丸
Web:http://shakeart-grassland.jimdo.com/
ART KYOTO 2012(2012/4/27-29)関連イベント

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