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京都MUSEUM紀行。第四回【龍谷ミュージアム】

京都MUSEUM紀行。vol4 龍谷ミュージアム

世界文化遺産である西本願寺の真向かいにある、日本で初めての仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」。
2012年春で開館1周年を迎えるこのミュージアムを、訪ねてきました。

大学発、地域に根ざした「街と人に開かれたミュージアム」

ふんわりとお香の香りが漂い、仏具、仏像、数珠などのお店が立ち並ぶ、門前町。 「門前町」とは、寺院や神社の周辺に形成された寺社の関係者や参拝者を相手に、宗教行事用の道具などを取り扱う店や職人が集まって生まれた町です。
門前町の入口には立派な木製の総門が建ち、店先を覗けば仏具を作っている職人さんの姿も。長い間お寺とともに生活してきた人々の暮らしが垣間見えます。
「龍谷ミュージアム」は、そんな門前町の一角に位置しています。

その名の通り龍谷ミュージアムは龍谷大学が設立した博物館です。
多くの大学付属博物館は大学のキャンパス内に置かれることが多いのに対して、龍谷ミュージアムは、大学の敷地内ではなく、キャンパスから少し離れた場所にあります。この場所は西本願寺が所有する敷地だそうですが、お寺の御好意もあり、ミュージアム設立のためにお借りしているのだそうです。

このような立地の影響もあり、龍谷ミュージアムは、「大学博物館」の枠にはとらわれない「街と人に開かれたミュージアム」をコンセプトとして建てられました。

龍谷ミュージアム外観
夜間は建物がライトアップされます。周辺に街灯が少ないのでその代わりの意味もあるそう。すぐ近くにはお香の老舗「薫玉堂」などがあり、一帯には独特の香りが漂います。

「大学の関係者だけでなく、通りすがりの人も気軽に訪れることができ、近隣の人たちの交流や、文化活動の拠点にもなってほしい」
「伝統や文化が息づき、仏教・お寺と共に歩んできた歴史ある場所にあるからこそ、この場所に根ざした文化施設でありたい。この地域をもっと元気にする役割も果たしたい」

あえて「大学博物館」と名づけなかったのには、そんな願いも込められているそうです。

まるで大きな「京町家」 ―― 街に溶け込み、人が憩う空間がそこに。

龍谷ミュージアムの建つ西本願寺周辺の地域は、京都の中でも特に景観規制が厳しいエリアです。伝統的な造りの建物も多く立ち並んでおり、景観にそぐわない派手な看板なども出せません。
そのため、ミュージアムの設計は「周辺の町並みにいかに溶け込ませるか」が重要視されています。

地上3階、地下1階建ての建物は、堀川通側から見ると、まるでが大きな簾(すだれ)が掛けられた京町家のようなデザインになっています。
この簾、一見木製のように見えますが、実は陶器(セラミック)でできているのだとか。一本一本の長さや色をランダムに配置し、ぼんやりと波文様が浮かびます。切れ目には微妙なウェーブをつけ、本物の簾のような自然な感じを演出しています。

エントランスホール
エントランスホールを地下に置くことで、建物の高さを押さえてあります。上のガラス張りの部屋は多目的室で、地域の人や学生さんなどの研修場所やギャラリーなどとして貸し出しされています。

一歩中に入ると、そこには1階部分は全面ガラス張り、上部が吹き抜けになった開放的でモダンなエントランスホールが眼下に広がります。

一方で、京町家のように、奥にはイロハモミジと景石を配した自然光の入る中庭が設けられ、ちょっとした休憩スポットになっています。また、堀川通と建物をはさんだ向こう側・油小路通には、建物内に設けられた路地で自由に移動できます。まるで長屋の通り庭のようです。

エントランスや通り抜け用の路地、そして中庭の部分は、入館料金のかからないオープンスペースになっており、開館中は一般に開放されています。
特にエントランスホールには目立ったオブジェなどはひとつもおかれていませんが、これは地域の人たちを対象にミニコンサートなどのイベント会場としても利用できるように、という配慮からだそうです。

廊下
左手の廊下を奥へ抜けると、建物裏手の油小路へ出られます。天井は角材を梁のように渡した構造で、柔らかい雰囲気になっています。

取材の際にも近隣の人らしい方がやってきて、中庭で一休みしていく、といった光景も見受けられました。
ミュージアムの空間は、近隣の人たちの暮らしにも、しっかりと寄り添っています。

中庭
中庭は白い石畳に緑が映えるモダンなデザイン。石は高松産の「庵治石(あじいし)」で、100種以上から合うものを厳選したのだそう。

誰でも気軽に体感学習。仏教の世界を「感じる」展示。

龍谷ミュージアムには、もうひとつ重要なコンセプトがあります。それは、「仏教の総合博物館」である、ということ。
展示の内容には、どのように表れているのでしょうか。

龍谷ミュージアムの展示は、「誰にでもわかりやすく」「誰でも親しめるように」という配慮が随所になされています。
大学博物館は研究成果の発表が主になることが多いのですが、「仏教の総合博物館」である龍谷ミュージアムの展示は、それだけにはこだわりません。
誰でも気軽に仏教の世界に触れ、体感することができるようにも工夫されています。

仏陀(ブッダ)の生涯の物語からはじまり、インドからシルクロードを経てアジア各地へと仏教が広がっていく様子、そしてシルクロードの終着地点とも言われる日本に広まった仏教、そして現在まで。
展示全体を通して、「展示品」という具体例を見ながら、「仏教」のルーツと旅路を辿っていくことができるように流れをつけて構成されています。
また、展示品も大学の所蔵資料だけでなく、日本全国、世界各地の博物館や寺院から、その展示構成にあったものが随時選ばれています。

2F展示室
2階は「アジアの仏教」がテーマ。インドで仏教が生まれ、日本に伝わるまでの過程が中心です。エキゾチックなガンダーラの仏像なども間近で見られます。

ガンダーラの仏立像(龍谷大学蔵)
日本の仏像とは顔立ちがまったく違うのがわかります。ガラス越しでない展示の作品も多いのが龍谷ミュージアムの特徴。

3F展示室
3階は「日本の仏教」がテーマ。西本願寺の宗派「浄土真宗」や親鸞聖人だけでなく、いろいろな日本の仏教の資料が見られます。日本の仏教も個性豊か!

特に注目したいのは、映像や音声を用い、実際に自分の目や耳で「体感」できる展示です。

中でも、中国・敦煌(トルファン)にあるベゼクリク石窟寺院に描かれていた仏教壁画の回廊を原寸大で復元したスペースは必見。
赤を主体に、色鮮やかな極彩色で彩られた空間は異次元に足を踏み入れてしまったかのようです。
「ベゼクリク」とは現地の言葉(ウイグル語)で「絵のあるところ」を意味します。
壁画のオリジナルは、20世紀初頭に発見されました。しかし、寺院を訪れた各国の調査隊が壁画を剥がしてバラバラに持ち帰ったため、現地にはもうほとんど残っていないのだそうです。また、持ち帰られたものの一部は戦争で失われ、二度と完全な姿でこの壁画を見ることはできません。
龍谷ミュージアムは、そんな「幻」の仏教美術の世界を、体感することができる貴重な場所なのです。

これが復元された「ベゼクリク石窟寺院」の大回廊壁画!

これが復元された「ベゼクリク石窟寺院」の大回廊壁画!

まるで本当に石窟寺院の中にいるような感覚が味わえます。

仏教というと渋いイメージを持っている方もいるかもしれませんが、それも覆されてしまうこと間違いなし。

音声ガイドを絵に近づけると、それぞれの解説を聞くことができます。解説パネルで絵や雰囲気を邪魔しないように、という配慮です。

また、フルハイビジョンの4倍を超える高精細映像を、そのままの品質で上映できるシアターも備えられています。

常時世界最高クラスの映像美が楽しめるのも、日本では龍谷ミュージアムだけです。

特に、西本願寺の障壁画を復元した映像は、実際に間近に寄って作品を見ているかのような感覚を味わえました。
(2つの作品を一日3回ずつ上映。時間によって内容が変わります)

ミュージアムシアター
ミュージアムシアターは映画館さながらの雰囲気。上映が終わるとスクリーンが上がり、目の前に西本願寺を臨めます。ちょっとしたビュースポット。

なぜ、このようなわかりやすさにこだわった、かつ仏教全般に関する内容の展示となったのでしょうか。

京都には多数の寺院があり、その多くは観光名所として、いつも多くの人を集めています。しかし、建物や庭などを見ても、それを生み出した「仏教」という文化そのものを知っている、きちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。

だからこそ、誰でも「仏教」に興味を持ってもらい、正しく知ってもらう場所を作りたい。
普段はなかなか直接触れる機会がない若い人にも、触れられる機会をつくりたい。
龍谷ミュージアムは、その思いがひとつの形となったものでもあるのです。

ご案内くださったスタッフの熊谷さんは、
「せっかくのお寺めぐり。もともとお寺は「仏教」が生み出した建物なのですから、そこに流れる「仏教文化」を知ってから行くと、きっとまた、違った見方や発見ができるはずですよ」と仰っていました。

お寺に行く前に、一度ミュージアムに立ち寄って予習する。そんな使い方をするのもよいかも知れません。

(今回の取材は、事務の熊谷様、石丸様にご案内をいただきました。まことにありがとうございました。)

龍谷ミュージアム

龍谷ミュージアム

所在地

〒600-8399
京都市下京区堀川通正面下る(西本願寺前)

時間

10:00~17:00(入館受付は16:30まで)

休館日

毎週月曜日
※祝日は開館(翌日は閉館)
展示替えなどの臨時休館日あり

お問い合わせ

電話番号 : 075-351-2500

FAX番号 : 075-351-2577

公式サイト

http://museum.ryukoku.ac.jp/

■料金

◎常設展
一般:500(400)円/シニア(65歳以上):400(300)円/大学生:400(300)円/高校生:300(200)円/中学生以下無料
身体障害者手帳・療育手帳・戦傷病者手帳の交付を受けている方及びその介護者1名:無料

◎特別展・企画展
その都度料金を定めます。

■交通のご案内

【電車】
JR・近鉄・地下鉄烏丸線「京都」駅から徒歩約12分
地下鉄烏丸線「五条」駅から徒歩約10分




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