Exhibitions展覧会

宣伝美術:岡田将充(OMD)
宣伝美術:岡田将充(OMD)
倉敷安耶《Transition # Ophelia》2019年 撮影:中川陽介
倉敷安耶《Transition # Ophelia》2019年 撮影:中川陽介
西村涼《わだちをなぞる2》2022年 撮影:花戸舞衣
西村涼《わだちをなぞる2》2022年 撮影:花戸舞衣

ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」

アーティストとしての活動を始めて5年未満の若手作家を取り上げる企画展の第5弾。今回は「転写」という手法に着目し、滞在制作と展示を通して倉敷安耶・西村涼の2人を紹介します。

「ニューミューテーション」とは、突然変異を意味し、今まさに進化を遂げる状態を表しています。この企画展は2018年より開始し、毎回今後の活動が注目される新鋭作家を取り上げています。

今回紹介する倉敷安耶・西村涼は、ともに「転写」という技法を用いて作品を制作するアーティストです。
一般的に転写というと、イメージを綺麗に写し取ることや、正確な複製の手法として捉えられることが大半です。しかし、2人の制作手法はその真逆の特性を持ちます。むしろ、物理的なものから観念的なものまであらゆる外的要因が制作の過程で非可逆に作品へと引き受けられ、転写される元のイメージと混在していく「うつし」の技法なのです。

倉敷は、これまでに「メディウム転写」や「シンナー転写」を用いて作品を制作してきました。紙に印刷したイメージをアクリル樹脂系のメディウムやシンナー溶剤によって支持体へと写し取り、乾燥させた後、表層の紙を水で濡らして刮いでいくという手法です。彼女は絵画作品などを制作する際の下絵に用いられるこれらの手法に着目し、使用するメディウムや支持体となる布地や加賀mといった素材のスタディを繰り返しながら、独自の表現を探求してきました。紙に印刷されていたインクだけが残り、布のテンションによって引き裂かれながら定着することで生まれる作品には、コラージュされた文脈や物語が、複雑なテクスチャの中に浮かび上がります。

一方で西村は、針で金属板やプラスチック板を直接彫る「ドライポイント」という版画技法や、凹凸のあるものの上に紙を置き、鉛筆やパステルなどの描画材で擦るように描く「フロッタージュ」という技法を基に、彫られた凹凸が生み出す有機的な表情に着目し、作品を制作してきました。彼はこれらの洗練された版画技法に加え、紙に刷るのではなく版にインクを詰めてから木枠で囲い、斥候を流し固めて転写する「石膏刷り」の技法を取り入れることで、プレス機のサイズに規定されない版画の可能性も探っています。流動的なインクと石膏が溶け合いながら、ある瞬間で時が止まったようにも見える作品には、幾重にも観測された現象が、独特のマチエールの中にあらわれます。

この規格では、京都芸術センターの展示空間内における滞在制作と展示を通して、アーティストがそれぞれ独自に培ってきた「うつし」の技法を取り上げ、その表現を/が可能にしているものへと目を向けます。ぜひご高覧ください。


この展覧会は、滞在制作と展示の2部構成となっています。

【滞在制作】2023/5/20(土)~6/23(金)※オープンスタジオ:5/27、6/3、6/10、6/17
【展示】2023/6/24(土)~7/30(日)

出展作家

倉敷安耶

1993年兵庫県生まれ。2018年京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院芸術研究科油画専攻修了。2020年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。現在、東京を拠点に活動中。
主な個展に、「そこに詩はない。それは詩ではない。」(myheirloom/東京、2021)、「浅はかなり、リアルの中でしぜんにかえる」(和田画廊/東京、2022)、主なグループ展に「(((((,」(駒込倉庫/東京、2022)、「Idemitsu Art Award(旧シェル賞)アーティスト・セレクション」(国立新美術館/東京、2022)など。

西村涼

1993京都府生まれ。2016京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。2018年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。現在、京都を拠点に活動中。
主な個展に、「Elements」(PETER AUGUSTUS/アメリカ・ダラス、2022)、「わだちをなぞる」(アートゾーン神楽岡/京都、2022)、主なグループ展に「ON PAPER」(TAKU SOMETANI GALLERY/東京、2023)、「第3回PAT in Kyoto京都版画トリエンナーレ2022」(京都市京セラ美術館/京都、2022)など。

展覧会概要

期間 2023/05/20(土) 〜 2023/07/30(日)
会場・開催場所 京都芸術センター
ギャラリー北・南
時間 10:00~20:00
※祇園祭の宵山期間中(7/14~16、7/21~23)は開館時間が短縮・変更となる場合があります。
休館日 【滞在制作期間】6/8(木)
【展示期間】会期中無休
料金 無料
注意事項等
  • 発熱がおありの方、体調のすぐれない方は来場をお控えください。
  • 滞在制作の期間中は、オープンスタジオ日以外の見学はアポイント制となります。ご希望の方は事前に京都芸術センターまでお問合せください。
  • 展示期間中は祇園祭の宵山期間中(7/14~16、7/21~23)は開館時間が短縮・変更となる場合があります。
  • その他、状況によりやむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報は京都芸術センターのホームページをご確認ください。
お問い合わせ TEL:075-213-1000075-213-1000
FAX:075-213-1004
E-Mail info@kac.or.jp
ホームページ https://www.kac.or.jp/events/33381/

関連アートイベント

関連記事

該当する記事はございません。