Exhibitions展覧会
増山士郎 個展「群盲象を評す」
英国・北アイルランドのベルファストを拠点に、世界各地を舞台に活動するアーティスト・増山士郎による個展です。本展では、タイトルにもなっている映像作品《群盲象を評す》を上映します。
増山はこれまで、紛争地帯のベルファストを拠点に北アイルランド唯一の日本人芸術家として2010年より活動し、世界各地のレジデンス・プログラムに参加しながら、社会と関わるさまざまなプロジェクトをその地に根ざしたかたちで実現してきました。
特にアイルランドのヒツジ、ペルーのアルパカ、モンゴルのフタコブラクダ、アラスカとグリーンランドのジャコウウシをモチーフに、現地の人々とともに毛を収穫し、伝統的な技術を用いてもとの動物に着せるものをつくるシリーズ作品「セルフ・サフィシェント・ライフ」、さまざまな動物をモチーフに各地の歴史・政治的な問題意識をもって取り組むプロジェクトなどは、自然と共生しながら社会活動を営む人々のあり方を動物とともに問いかける批判力と想像力をもって展開されてきました。また、現地の人々と各自のアイデンティティに合ったTシャツをつくるプロジェクトも行っています。
本展で上映する映像作品《群盲象を評す》では、「群盲象を評す」という盲人の群れが巨象を撫でながら事実の一部を真実であるかのように語り合うというインドに古来伝わる逸話を背景として、ケララ州で見られるゾウの祭典を舞台に人々とゾウの群れが、大量に生産され、廃棄されていく工業製品を介して出遭います。
動物の群れと人々が邂逅するとき、人類は動物界のヒトへと置き換えられ、社会的なアイデンティティをもった人は動物としてのヒトとなって、動物とともに生産と消費と流通が発生する原初的なエコノミーの可能性を眼差すことになります。あらゆる生が電子の海のなかでイメージとなり、象徴的に交換され、永遠に死んでいるかのように生きる高度情報資本主義経済において、人々の無限に増幅する欲動とゾウという巨大な質量をもった動物の衝突は、どのようなエコノミーの可能性となって私たちの前に立ち現れることになるのでしょうか。濃厚な大気汚染の霧のなかで神の化身と戯れる生の熱気を感じながら、グローバリゼーションの巨大な波がひしめくエコノミーの破壊と生成にご参加ください。
また、同時期には同じく増山士郎の個展《ジャコウウシのために、角カバーを編む》(ANEWAL Gallery 現代美術製作所|会期:3/8~3/24)を併催します。こちらでは「セルフ・サフィシェント・ライフ」シリーズの新展開として制作された、北極圏に暮らすジャコウウシをめぐる自給自足の生のあり方を問いかける映像作品を上映します。併せてご高覧ください。
■ オープニングレセプション:3/9(土)19:00~21:00
■ トークイベント:3/23(土)17:30~18:30
■ 同時期開催:増山士郎 個展「ジャコウウシのために、角カバーを編む」(会期:2024/3/8~3/24)
増山士郎
1971年東京生まれ。明治大学建築画家大学院修士課程修了。2004年から6年間ドイツ・ベルリンにて活動した後、2010年からイギリス・北アイルランドのベルファストを拠点に、北アイルランド唯一の日本人芸術家として活動。世界各地のレジデンス・プログラムに参加しながら、滞在地域に根差した形で社会や人々と関わるさまざまなプロジェクト(ソーシャリーエンゲイジドアート)を行っている。
https://www.shiromasuyama.net/
展覧会概要
期間 | 2024/03/09(土) 〜 2024/03/24(日) |
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会場・開催場所 |
monade contemporary | 単子現代
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時間 | 14:00~19:00 |
休館日 | 月~木曜日 ※ただし、3/20(水・祝)はオープン |
料金 | 無料 |
注意事項等 | 状況により、やむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報はギャラリーのホームページをご確認ください。 |
ホームページ | https://monadecontemporary.art-phil.com/ |
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