Exhibitions展覧会
川人綾「綴るみなも」
染織を学んだというバックグラウンドから、垂直と水平の色彩が織りなされ、織物のような質感を持ったグリッド(格子)の絵画「グリッド・ペインティング」を制作しているアーティスト、川人綾の個展です。現在、川人は川島織物セルコンが協賛する2025年開催大阪・関西万博の迎賓館の綴織タピストリーのデザインと制作監修を行っています。本展では、川島織物の綴織からインスピレーションを受けて制作した新作を約13点展示します。
川人は幼い頃より神経科学者である父の影響を受け、人は脳を通して世界を把握しているということを強く意識するようになり、なかでも特に錯視効果に興味を抱きました。京都での学部生時代には、日本の伝統的な染織を学びますが、表現の模索の末に絵画制作に辿りつき、東京藝術大学大学院博士課程の頃より「制御とズレ」をテーマとするグリッド状の絵画(グリッド・ペインティング)を発表しています。
これまで川人は、大島紬からインスピレーションを受けて制作したシリーズや、神経科学の実験で得られた脳活動画像を応用したシリーズなど、「制御とズレ」という一貫したテーマでありながら、様々な展開を見せてきました。今回の綴織に着想を得た新たな展開では、面的な構成と鮮やかなグラデーション、 その効果としての揺らぎが印象的です。
綴織とは古代から世界各地で用いられてきた技法ですが、川島織物の綴織の特性はその色使いにあります。二代川島甚兵衛は絵画を織物で表現することに注力していましたが、明治になり日本画に用いられる顔料がそれまで以上に多色使いの方向へと改良研究されることを目の当たりにし、綴織の多色使いを研究しました。そして、独自の色ぼかし技法をつくりあげ、原画通りの織物を多く制作しました。川人は川島織物の職人達の製作風景に感銘を受け、織機に向かい緯糸を経糸に織り込んでいく姿が、まるで美しい色の水面を生み出しているように感じられ、「綴るみなも」というタイトルをつけました。
一見、無機質なグリッド・ペインティングにどこか温かみを感じるのは、手作業の積み重ねが生み出すズレや、錯視効果による現実とイメージのズレを、作品の美しさの一部として取り込んでいるからでしょう。ぜひ会場で、川人が織りなす新作をお楽しみください。
川人 綾
1988年奈良県生まれ、京都育ち。2011年京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイル卒業。2019年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現修士課程、博士後期課程修了。
近年の主な個展に「川人綾:斜めの領域」(京都市京セラ美術館、2022)、「織(Ori)Scopic」(イムラアートギャラリー、2021年)、「Tell me what you see」(Pierre-Yves Caër Gallery、2020年)、「Aya Kawato Solo Exhibition」(A. Iynedjian Fine Art、2019年)など。タブローだけでなく壁面全体を使用したインスタレーションにも取り組む。現在、京都を拠点に活動している。
展覧会概要
期間 | 2024/09/07(土) 〜 2024/09/28(土) |
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会場・開催場所 |
imura art gallery
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時間 | 12:00~18:00 |
休館日 | 日・月曜日、祝日 |
料金 | 無料 |
注意事項等 | 状況により、やむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報はギャラリーのホームページをご確認ください。 |
お問い合わせ |
TEL:075-761-7372075-761-7372
FAX:075-761-7362 |
info@imuraart.com | |
ホームページ | http://www.imuraart.com/ |
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