Exhibitions展覧会

石をやく 土をやく 樂雅臣 樂直入

千利休の侘び茶の心を汲んだ「樂茶碗」を生み出した初代・長次郎を祖とし、京都の地で茶碗師として歴史を刻んできた樂家。その樂家に生まれ、「茶碗」という究極の造形の存在に、石から、土からそれぞれのアプローチをしている芸術家、樂直入、樂雅臣の展覧会です。


「石が土となり、また土は石となる」のは地質学的時間、つまり循環する宇宙時間のなかで起きている。この石と土との間で、人類はやくという行為によって器を制作してきた。すなわち「やきもの」である。京都の地において、初代長次郎(1589年没)を祖とする樂家に、茶碗という究極の造形の存在に対して、石から、土からそれぞれのアプローチを行っている2人の芸術家がいる。

初代長次郎は千利休の侘び茶の心を汲み、装飾的要素を排除した、画期的な赤と黒の樂茶碗を創出した。それから約450年。樂直入(1949-)はこの石と土との関係性のなかで、様々な挑戦を行ってきている。2019年に15代樂吉左衞門から樂直入へと改名した後は、侘び茶の思考や伝統から離れて、京都市の最北端、山間の小村に住まいし、純粋造形としての茶碗の制作に没頭している。そして2022年には「White rock」と仮称される茶碗の展覧会をロンドンとドーハで発表した。始め仮称であった「白い巖石みたいな茶碗」即ち「White rock」の名称は、今では海外でも広く認知されている。「White rock」があれば当然「Black rock」もある。本展ではその両方が出品される。

樂直入の次男である樂雅臣(1983-)は石の彫刻家として知られているが、2023年には長年構想してきた「石器」シリーズを発表した。溶結凝灰岩から茶碗の造形を彫り、さらに焼成することにより、溶融と非溶融の状態となり、不動であるはずの存在が重力によってわずかに動く彫刻作品。そこには、石と土との関係性において、雅臣がかつて発表した「輪廻」、「Stone box」シリーズと同様に、輪廻というテーマがある。直入は雅臣の作品を「まるで地底から湧き起こった様に太古からそこに存在したかのような佇まいをしている」と評している。

本展では樂雅臣の新作「石器」シリーズの彫刻作品と樂直入の「Black rock」、「White rock」の茶碗を中心に展観する。

樂雅臣

らく・まさおみ。1983年、樂家15代直入の次男として生まれる。2008年東京造形大学院美術研究領域造形研究科修了。
石を彫刻することで人工物として支配する事なく、自然をいかし、造形と共存した作品を表現する。これを「石の中に表現を、表現と共に自然を」という自身の言葉に込め制作する。
主な個展に美術館「えき」KYOTO、石川県立美術館での「彫刻家 樂雅臣展」(2017)、京都の賀茂別雷神社「樂雅臣個展」(2015)・「石器 石から器を」(2023)など。ヴェネチア・ビエンナーレにあわせ開催されるPalazzo Fortunyでの特別展「PROPORTIO」(2015)・「INTUITION」(2017)にノミネートされ出品。海外でも広く活躍する。2018年京都市芸術新人賞受賞。

樂直入

らく・じきにゅう。1949年、樂家14代覚入の長男として生まれる。1973年東京藝術大学彫刻科卒業後、イタリア留学の後、作陶に入る。覚入没後、1981年15代吉左衞門を襲名。樂家は桃山時代、樂茶碗を創造した初代長次郎以来、450年の歴史と伝統を継ぐ陶家。直入は、伝統に立脚しながら安住することなく、常に斬新な感覚を示す造形世界を表現し続けている。2019年に長男(16代吉左衞門)へ代を譲り「直入」に改名。
1990年個展「天問」に於いて、「焼貫」の技法を駆使し、大胆な箆削りによる彫刻的ともいえる前衛的な作風を発表、その衝撃的な出来事は今では伝説となっている。その後も作風は停滞することなく変化し続け、近年は、「White rock」,「Black rock」と称する茶碗に取り組んでいる。これらは佐川美術館「吉左衞門X展」、ロンドンのアネリー・ジュダ・ファイン・アートをはじめ、海外で発表されている以外、国内では佐川美術館につづき、本展での公開となる。

展覧会概要

期間 2024/01/02(火) 〜 2024/01/29(月)
会場・開催場所 美術館「えき」KYOTO
時間 10:00~19:30(入館は19:00まで)
休館日 会期中無休
料金 一般:1,000円(800円)
高・大学生:800円(600円)
小・中学生:600円(400円)
※()内は前売料金
※「障害者手帳」をご提示のご本人様・ご同伴者1名様は()内の料金で入館いただけます。
※高・大学生の方は学生証をご提示ください。

【相互割引】
本展「石をやく 土をやく 樂雅臣 樂直入」の会期中、樂美術館で開催の「新春展 うたと樂焼」との相互割引を実施します。

①美術館「えき」KYOTO チケット窓口にて
樂美術館「新春展 うたと樂焼」の入館券(未使用チケット可)をご提示で当日料金より100円引き(1名様)
②樂美術館にて
本展「石をやく 土をやく 樂雅臣 樂直入」の入館券(未使用チケット可)をご提示で当日の一般料金より100円引き(1名様)
注意事項等 状況により、やむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報は美術館「えき」KYOTOのホームページ、公式X(twitter)等をご確認ください。
お問い合わせ TEL:075-352-1111075-352-1111
※ジェイアール京都伊勢丹 大代表
ホームページ https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/

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