Exhibitions展覧会
末法/Apocalypse -失われた夢石庵コレクションを求めて-
仏教におけるこの世の終わりとして信じられた「末法」思想。特に平安時代の貴族たちに深い影響を与え、結果として数多くの優れた仏教美術が生み出されました。この末法思想の元で作られた仏教美術を収集した幻のコレクター「夢石庵」の優れたコレクションと美意識を展覧会を通じてご紹介します。
「末法」とは、仏教で釈迦の死後、その教えが次第に衰え、悟りを開く者もなく、教法だけが残る時期をいいます。かつて東アジアでは、広くこの末法の世への恐怖が共有され、なかでも日本では永承7年(1052)に、末法の世に入るという予言がまことしやかに信じられていました。当時の日本は平安時代・摂関政治の全盛期であり、栄華を誇った藤原氏をはじめ平安の貴族たちは極楽浄土への往生を願い、財を投じてさまざまな仏教美術を生み出しました。ある者は華麗で優美な阿弥陀来迎図を。またある者は贅を尽くした荘厳な阿弥陀堂を。またある者は、装飾を凝らした料紙に経典を書写して御仏に奉納しました。そして、いつか弥勒菩薩が出現し人々を救済してくれるという将来を信じ、経典や仏像を伝え残すために、経筒に入れて地中に埋納して守ってきたのでした。
そんな時代精神のなかで生み出された美術作品を愛し蒐集したコレクターのひとりに、「夢石庵」と号する人物がいます。その名はわずかな人の間にしか知られていませんが、彼は抜群の鑑識眼と内外の人脈を通じ、戦後60年代までに驚くほど質の高い美術作品を精力的に蒐集、一大コレクションを築きました。
既に夢石庵はこの世の人ではなく、没後にコレクションは散逸してしまいましたが、戦後70余年を経た今、その関係者や彼に敬意を捧げる有識者が集まり、夢石庵の美意識とその世界観を再現すべ、今回の展覧会を企画しました。
散逸したかつての夢石庵コレクションのなかから白眉といえる平安時代の仏教美術を中心に、仏像・仏画・書籍・陶磁・染織・近世絵画に至るまで、幅広い作品をご紹介します。
展示には、展覧会の実行委員の一人でもある現代美術家・杉本博司による、夢石庵コレクションをテーマとした日本初公開の映像作品も登場します。
美術館内に再現された幻のコレクターの美の世界、この機会にご高覧ください。
展覧会概要
期間 | 2017/10/17(火) 〜 2017/12/24(日) |
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会場・開催場所 |
細見美術館
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時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館・翌平日休館) |
料金 | 一般:1,300円(1,200円) 学生:1,000円(900円) |
注意事項等 | ※()内は20名以上の団体料金 ※障がい者の方は、障がい者手帳等のご提示で団体料金にて入館いただけます |
お問い合わせ |
TEL:075-752-5555075-752-5555
FAX:075-752-5955 |
event@emuseum.or.jp | |
ホームページ | http://www.emuseum.or.jp |
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