Exhibitions展覧会

展示作品は、慎重な調整と計画の上で撮影されたものもあれば、自然な瞬間を捉えたものもあります。そのどれもが、被写体となるモデルの持つユニークさや個性を明らかにします。

アレナ・ブラコワは無防備な真実の瞬間を捉える卓越したスキルを持った写真家です。ポーズをとっているときでさえ、モデルたちはカメラの存在を一瞬忘れ、思いがけず本当の自分を輝かせることができます。写真家にとってカメラはモデルの経験を理解できる研究ツールであり、アレナは繊細で微妙な対話を通じて、撮影対象自身も気づかない美の側面を明らかにするのです。
また、アレナは被写体を欲望の対象として客観化するのではなく、個人としての本質を捉えることに焦点を当てています。これはヌード、裸体という大変デリケートな主題を扱う場合に特に重要な視点です。

本展では、女性らしさや女性の性質、性格に注目し、人間の裸体の持つ美しさや脆弱さを掘り下げるため、ヌードをアプローチの手法として採用しています。これらの作品は単なるエロティシズムをはるかに超え、人間の深い心理的側面を映し出します。アーティストは美の多様な表現を賞賛し裸体の美学を受け入れ、身体の受容を通して自己認識を育むことに大きな意義を見出しています。さらにこれは、変化と自己発見の瞬間に生じる感情の追求にもつながっています。

ヌードを表現に取り入れる目的は、見る人に衝撃を与えたり挑発したりすることではなく、作品を通じて内省や理解を促すことに在ります。人間の形態についての探求を深めることで、人間の姿が賞賛され、脆弱性が受け入れられ、そして見る人自身の経験や記憶、イメージを元に、個々の自己発見につながることを期待するものです。

人の身体について、そして自分自身について考える機会に、この展覧会で浸ってみてください。

アレナ・ブラコワ

サンクトペテルブルグ出身。写真家としての活動の傍ら、現役の心理学者・アートセラピストとして20年以上働き、個人を自己発見と治癒への導くスキルを磨く。その専門知識と視点を生かした写真作品は、被写体の本質を深みと共感を持って捉えることを可能にしている。ヨーロッパやインド、東南アジア、タンザニアと世界各地を巡る旅の後、2010年よりインドネシア・バリ等に拠点を置き、創作活動を続けている。