Exhibitions展覧会

滋賀県出身の大橋氏は、京都工芸繊維大学の前身校のひとつである京都高等工芸学校の色染科出身で、卒業後に現・大橋化学工業株式会社を創設した実業家です。化学を志した大橋氏は、一方で現代美術を好み、2,000点を超える優れた美術品を蒐集しました。また、画家志望の若い世代に積極的な支援も行いました。
京都工芸繊維大学は「科学と芸術の出会い」を大学のテーマに掲げていますが、大橋氏の足跡もまた、「科学と芸術」の素敵な出会いのひとつであると言えます。

大橋氏のコレクションは、氏の没後、京都工芸繊維大学および国立国際美術館（大阪）、奈良県立美術館に分けて寄贈されました。
京都工芸繊維大学の大橋コレクションについては、2021年秋に開催の「京都工芸繊維大学美術工芸資料館名品展 浅井忠と近現代絵画の展開－具象から抽象へ」（福知山市立佐藤太清記念美術館）で注目されました。これを受けその後半部分を拡大し、今回改めて展覧会として開催します。

本展では、抽象絵画の世界で独自のスタイルを確立した難波田龍起（1905-97）、津高和一（1911-95）、白髪一雄（1924-2008）の作品を選び、20世紀半ばの絵画を巡るさまざまな試みの実態を辿ります。また、色鮮やかな作風で知られ現在も日本を代表する抽象画家として活躍する草間彌生（1929-）の珍しい最初期の作品もご覧に入れます。
この展覧会を通し、京都工芸繊維大学が所蔵する多彩な現代美術をお楽しみいただければ幸いです。