Exhibitions展覧会

外部からの光を遮断して、簡易スタジオを設営する。独特な臭いと時が佇んだ雰囲気、そして薄くひきつめられた埃。どの剥製を撮影するかは決めてはいない。ぐるりと見渡して、これだなと思った剥製を撮影する。年代や種類できちんと整頓されているわけでもなく、無造作に剥製たちは置かれている。もしかすると幾年もそこに置かれているのかもしれない。

容易に採取しやすいのか、それとも個体数が多いのか、もしくは剥製を制作するのに適しているのか、圧倒的に鳥類の剥製が多い。実にたくさんの表情とポーズをしている。カメラのピントグラスで鳥たちの姿を眺め、羽毛のひとすじに焦点を合わす。全身を羽毛で覆われているという、あたりまえの事実を確認する。そして自然に見えるようにそれらしく、形をつくられた剥製はきわめて不自然に見えてくる。

“Is this a bird?”

天野憲一

1971 大阪府生まれ
1997 大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業
現在、京都成安造形大学非常勤講師、神戸芸術工科大学非常勤講師。
http://www.kenichiamano.com/

受賞歴

2001 Art Scholarship 現代美術賞 天野太郎審査部門：入選（佳作）
2004 キヤノン写真新世紀：奨励賞
2009 富士フイルムフォトサロン新人賞：奨励賞

近年の主な展覧会

2010 「Come into Sight」Port Gallery T（大阪）
2011 「問い」Port Gallery T（大阪）
2013 個展「Theater」Port Gallery T（大阪）
2022 「OPEN STUDIO」Studio TSUKIMISO（京都）
他個展、グループ展多数