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京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第十七回

京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第十七回  京都市左京区白沙村荘橋本関雪記念館

京都には大小さまざまなミュージアムがありますが、その中には現在も人が暮らしている家の一部をそのまま公開しているようなところもあります。そんなミュージアムのひとつが、日本画家・橋本関雪の建てた邸宅である白沙村荘 橋本関雪記念館。その副館長で関雪の曾孫である橋本眞次様に、普段はちょっと分からない、美術館での日々を徒然と綴っていただくコラムです。

~白沙村荘 橋本関雪記念館MUSEUM~

2014年9月9日、白沙村荘に新美術館が開館しました。橋本関雪が自身の作品と収集品を収めた展示施設の計画構想を表明していたのが1938年の事ですから、実に76年の歳月を経て白沙村荘はあるべき姿に少し近づいたという訳です。関雪がもし存命ならば、展示施設をどういう風に造ったのか。そのディティールを今となっては知ることは出来ませんが、彼の感性を真摯に辿ればそう大きくは違えない物となるはずです。私がこの事業を引き継いだのは24歳の頃。それから16年の間に作品や庭を観察し、関雪が考えたであろう心理の跡を読み取って形を考えていきます。

元々は普通にケースが入り外界と隔絶されたような、いわゆるステレオタイプの美術館を構想していたのですが、勉強として世界各地の美術館を訪ねているうちに考えが変わりました。閉鎖的な薄暗い空間は本当にこの庭園に必要なのか。外界の景色も関雪の作品の一つであれば、それもまた展示の一つとして取り込んでしまえないのだろうか。当然美術品の保存管理などの側面から言えば、太陽光が入るような構造というのはNGなのでしょうが出来れば存古楼のように、光を上手く使った空間が作り出せないのだろうか。

色々と試行錯誤する過程で、東山の借景や既存の建物の見え方などが組み込まれていき、2階の開放的な展示室の構想が生まれていきました。窓を塞ぐことはいつでも出来る。人工の照明では生まれない、自然の光でしか見えない画の美しさを楽しむための空間。美術館を造るのではなく、美術を楽しむ空間を造ってみようじゃないか。そうして生まれたのが白沙村荘 橋本関雪記念館MUSEUMです。1階は普通の展示室として造り、2階には「屏風の窓」と名付けた大きな窓が配置されています。右隻の窓には庭園と東山如意ヶ岳が。そして左隻には大きなシダレ桜と持仏堂の屋根が見えるように設計されています。「私にとっては、庭を造ることも、画を描くことも一如不二のものであった(橋本関雪遺稿「白沙村荘を語る」部分)」と云う関雪の想いを汲み取れば白沙村荘の庭も当然、画のように見せて然るべきという考えから生まれた窓です。

他の美術館ではまずありえない白沙村荘ならではの空間を擁した美術館・・・“美術空館”白沙村荘 橋本関雪記念館MUSEUMには他にも照明や設備になどに色々な工夫が凝らされていますが、それはまた別の機会に紹介をしたいと思います。

施設情報

白沙村荘(橋本関雪記念館)
京都市左京区浄土寺石橋町37
公式ホームページ

施設の概要はこちら

著者プロフィール

橋本眞次(はしもと・しんじ)
1973年、京都生まれ。
大正・昭和にかけて活躍した日本画家、橋本関雪の曾孫にあたる。
23歳の頃、関雪に興味を持ち父の仕事を手伝いながら資料編纂などに携わる。
現在は白沙村荘 橋本関雪記念館の副館長として活動中。

公式ブログはこちら↓
http://www.hakusasonso.jp/blog/

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