「そろそろ秋だな」なんて思っていた9月中旬を経て、19日。まるでオンパクを待ち...

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FEATURE:京都で遊ぼうMUSIC特集記事

京遊みゅーじっくの京都音楽博覧会れぽーと、二〇一〇。


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「そろそろ秋だな」なんて思っていた9月中旬を経て、19日。まるでオンパクを待ちわびていたかのように、夏が1日だけ戻ってきた。

最高に暑かったあの日。梅小路公園がミュージックフリークに埋め尽くされた日。また来年もこんな日が来ればいいと思った日。2010年9月19日のことを、少し思い出してみました。



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もう、これだけで「音博来てよかった」と思うほどのうれしさ。くるり・ザ・セッション。



くるりザセッション.JPGまずはオープニングからいきなりの「くるり・ザ・セッション」!SGをかまえた岸田さんがかき鳴らしたリフはなんと『東京』!会場がわぁっと湧きました。そしてそのままの流れで『尼崎の魚』。ヤバい。のっけからヤバい。っていうか森さんのドラムやっぱいい。音が太い。

MCで岸田さん「なぜかトップバッターですが」と苦笑い。ほんと、もったいなさすぎるほど極上のトップバッター。このとき、ステージ上には岸田さんと佐藤さんと、パーカッションでボボさん、ヴァイオリンで佐藤良成さん、そしてドラムに森さんという編成だったのですが、次に演奏された『リバー』の途中で達身さんが乱入!フライングVじゃない!と思いつつも、粘りのあるチョーキングと手首の柔らかい動きに「ああー達身さんやー」と感動。そしてまさか、まさかの『ワールズエンド・スーパーノヴァ』『ロックンロール』で「くるり・ザ・セッション」〆。

なんだか、青春が蘇ってきたかのような気持ちになりました。今のくるりももちろん好きだけど、「この音楽なしじゃ生きられない」と昔の自分が思った頃のくるりの曲を、オリジナルのメンバーで聴けて良かった。もう、これだけで「音博来てよかった」と思うほどのうれしさ。



くるり・ザ・セッション セットリスト
1. 東京
2. 尼崎の魚
3. リバー
4. ワールズエンド・スーパーノヴァ
5. ロックンロール


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一度聴けば口ずさめちゃうキャッチーさ。andymori!



andymori.JPG「くるりザ・セッションよかったなー」なんて気を抜くや否やandymoriがスタート。この時まで気づいていなかったのですが、今年の音博って2ステージなのですね。名前はもちろん知っていて、MySpaceで一度聴けば口ずさめちゃうキャッチーなメロディーも認知済やったので、2号わくわくしながらのandymori。くるりザ・セッションの後でも負けないわ!てくらいの勢い。MCではベンチャーズの曲を弾いいてくれる度胸とサービスも。これが若手有望株の力ってやつか。耳にまとわりつかなくて、ほんと爽快なんですよね。先述の一度聴けばに口ずさめちゃうのはそのためかしら。



andymori セットリスト(セカンドステージ) 
1. Weapons of Mass Destruction
2. ベンガルトラとウィスキー
3. everything is my guitar
4. クレイジークレーマー
5. 1984
6. FOLLOW ME
7. CITY LIGHTS
8. グロリアス軽トラ


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エンケンさんがいるだけで梅小路付近の気温が3度は上がってましたね。



エンケン.JPGandymoriの後、メインステージに登場したのは遠藤賢司。andymoriの爽やかな空気をあっという間にエンケンワールドに染め上げてしまうあたり、さすがキャリアが違います。1曲1曲血管がブチ切れそうなくらい熱唱。迫力のステージを展開。もうね、エンケンさんがいるだけで梅小路付近の気温が3度は上がってましたね。間違いない。そんくらいアツかった。

エンケンさんは最後の曲を歌い終わって、なんだかよくわからないまま飛び跳ねて帰ってしまい、最後まで独自のワールドを展開していました。いいなぁ、大好きだなあ。笑



遠藤賢司
1. フォロパジャクエンNo.1
2. 満足できるかな
3. 夜汽車のブルース
4. 夢よ叫べ


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熱を冷ますようにしっとり聞かせてくれた世武裕子



世武裕子.JPGエンケンさんの熱を冷ますようにしっとり聞かせてくれたのは世武裕子。iTunes限定で発売した最新ミニアルバム「ハローハロー」が好調らしい。レコーディングにも参加した森信行がドラムをつとめ、同じくレコーディングに参加した岸田繁が3曲目「高砂」、4曲目「運命のひと」でゲスト参加。くるりのメンバーはサポートにまわってもいい仕事をしますね。

ハローハローのジャケットは世武さんの好きなカープ坊やがモチーフとのこと。なんか見たことあるなと思ったら・・・。笑



世武裕子 セットリスト (セカンドステージ)
1. ラブソング
2. ファミレスポップ
3. 高砂
4. 運命の人
5. ハローハロー


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京都魚山聲明研究会



京都魚山聲明研究会.JPG以前2号が調べてくれた京都魚山聲明研究会ですが、正直説明読んでも想像がつかない!もうこれは、実際に聴いてみるほかない。

で、ステージを見ると、法衣姿のお坊さんがずらっと並び、お経のようなフレーズをいい声で、深く、長く唱え始めたわけです。まあ言ってることがなんなのか、ぜんぜんわからないのですが、面白かったのは会場がそれでチルアウトしたこと。普通お坊さんの前で寝っ転がったりしないと思うのですが、聲明を聴いていると耳と心が洗われて、頭がからっぽになっていくような心地がするんですね。声の周波数や、長さ、高さ低さ、いろんな要素があるんでしょうが、音博が聲明研究会のみなさんを招聘した理由がわかった気がした。

ところで変な話しますが、私は聲明にアイドルグループの原点を見たような気がしました。音楽っていうのは細分化すると旋律(フレーズ)の連なりから成り立っているわけですが、聲明には担当のフレーズというものがあって、誰の次は誰、そして間奏が入って、次は誰のソロからフレーズが始まる・・・ってそれアイドルグループの曲の構成といっしょじゃん!と思ったわけです。人間は曲そのものや詞の内容だけじゃなく、シーケンスというか構成にも面白さを感じているんだなあということがよくわかりました。いやはや、「音楽博覧会」という場で披露されるに相応しいステージだったと思います。一本取られた。

※後からセットリスト見たら、フレーズの切れ目だと思ったものは曲の切れ目でした。7曲も演奏してたとは・・・。



京都魚山聲明研究会 セットリスト
1. 四智讃梵語
2. 四智讃漢語
3. 散華
4. 対揚
5. 九方便
6. 大讃
7. 甲四智


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飛ばしまくり。全開。ニカさん。



二階堂和美.JPG白の衣装をまとい、お花の髪飾りをいくつもつけて登場したのはニカさんこと二階堂和美。待っていましたとばかりに観衆がわきます。一曲目の萌芽恋唄から飛ばしまくりのニカさん。全開のニカさんは、せっかくの髪飾りを何度も振り落としていました。「こんなに激しくするつもりじゃなくて、いっぱいつけてきたのにな(笑)」の一言。キュートです。

時に女性特有の伸びやかで高い歌声であり、時に男前な力強い歌声でもあります。歌に表情があるというのはこのことでしょう。「続きましては、女はつらいよ。聴いてください」なんて、ちょっと歌謡ショウっぽいMCも魅力ですねえ。

個人的なハイライトは、『宿はなし』~『いてもたってもいられないわ』のラスト2曲。赤犬のまるむしをバイオリンに迎えて披露された宿はなしでは、会場中が息を潜めてニカさんの歌声に耳を傾け、目を閉じれば広い梅小路公園で自分ひとりが彼女の歌を聴いているような錯覚と贅沢さ。ちょっとしんみりしたあとは、いてもたってもいられないわではしゃいではしゃいでフィニッシュ!この2曲の流れは先述の表情豊かな彼女の歌が凝縮されてたなあなんて思うのです。



二階堂和美 セットリスト(セカンドステージ)
1. 萌芽恋唄
2. 女はつらいよ
3. あなたと歩くの
4. めざめの歌
5. 宿はなし
6. いてもたってもいられないわ


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Jim O'Rourke名義では十数年ぶりのライヴ。居合わせた人、勝ち組。



Jim O'rourke.JPG個人的なJim O'Rourkeのイメージは「シンプルな編成」というものです。そのためバンド編成のJim O'Rourkeってどんなのだろうという好奇心もありつつ。(Jim O'Rourke名義では十数年ぶりのライヴみたいですよ。居合わせた人勝ち組)で、いざ始まると、ドラマー山本達久の激しいドラムとギターをかき鳴らすJim O'Rourkeの姿にやられました。そんでもって楽しそうな表情ですもんね。ずるいわ。

ちなみに山本達久に加えて石橋英子、須藤俊明がバンドメンバーで参戦してました。豪華すぎるわ!って思わず叫んだよ。



Jim O'Rourke セットリスト(セカンドステージ)
1. stupid as the sun
2. last year
3. life goes off
4. therefore i am
5. the workplace


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平均年齢が70歳近いバンド(!)とは思えないエキサイティングぶり。The Ventures。



いよいよいよいよ来たベンチャーズ!去年の石川さゆりと同じく、若い世代にはあまり馴染みがないわけですが、やっぱりベテランの名は伊達じゃない!序盤からドン・ウィルソンが飛ばす飛ばす!ドラムのリオン・テイラーから「tiki tiki guitar」とか言われつつもじゃかじゃかギターを掻き鳴らす!要所要所でベースのボブ・スポルディング、リードギターのジェリー・マギーと一緒になって踊るなど、平均年齢が70歳近いバンド(!)とは思えないエキサイティングぶり。

ライブ後半にはドン・ウィルソンから「キシダサーン、サトウサーン!」とくるりの二人がステージに招集され、名曲「Wipe Out」をセッションしていました。岸田さんとドン・ウィルソンが対面でギター弾いてて、両者ともすごくいい笑顔でした。

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The Ventures セットリスト
1. Surfin' USA 78'
2. Ginza Lights(二人の銀座)
3. Kyoto Doll(京都の恋)~Paint it Black
4. California Sun
5. W.D.R Medley
(Walk Don't Run~Perfidia~Lullaby Of The Leaves~Walk Don't Run)
6. Slaughter on 10th Avenue
7. Green Onions
8. Hawaii Five-O
9. Diamond Head~Pipeline
10. Wipe Out(w/Quruli)
11. caravan(Short ver.)


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くるり。しみじみと実感するたいせつなものをロックにして歌いあげる彼らは、ほんとに素敵。



満を持して、くるり。「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」という短い弾き語りから、「さよならアメリカ」。メンバーはbobo(ドラム)に加え、ハンバート・ハンバートの佐藤良成(フィドル)、フジファブリックの山内総一郎(ギター)。これが2010年のくるりサウンドだ!と聴かされる、力強く、骨太なプレイ。同時に、色んな音楽を経験してきたくるりだからこそ滲み出る「華」みたいなものがある。「色気」と言ったほうがいいかもしれない。なんというかこの日のライブでは、くるりの「オトナ感」みたいなものを感じました。

曲は『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』からの曲がメインだったんですが、こうして聴いてみるとほんとにポジティブなアルバムだなと思いました。混ぜっ返せばたとえば『図鑑』とか『TEAM ROCK』とか、内面に内面にめりこんでいくような音楽をつくっていた頃とはもう、別のバンドみたい。なんとなく、精神世界の内奥まで落ち込んで、突き抜けた先に、くるりは「『なんでもない日常のたいせつさ』みたいなものを見つけたのかな」と思いました。『温泉』とか『麦茶』とかね、しみじみと実感するたいせつなものをロックにして歌いあげる彼らは、ほんとに素敵です。そういう意味でもやっぱり、「オトナ感」を感じたステージでした。

MCで、例年は「来年はやるかどうかわからない」と言う岸田さんですが、今年は「来年もやります」と名言。ファンとしても、京都人としても、嬉しいです。大きな熱狂に包まれて本編終了、アンコールは『東京レレレのレ』、出演者総出で紙吹雪を撒き散らし、華々しく音博は終了しました。



くるり セットリスト
0. イントロ
1. さよならアメリカ
2. 温泉
3. コンバット・ダンス
4. 目玉のおやじ
5. 魔法のじゅうたん
6. さよならリグレット
7. Baby I Love You
8. ばらの花
9. 坂道
10. 麦茶

EN-1.東京レレレのレ



くるり.JPG



音博をつくってくれたみなさん、本当にありがとう!

また来年もよろしくお願いします!







番外編:会場の様子


ライヴ以外にも見所はあります。フェスといえば、やはりご飯でしょう!1号も2号もお腹すかせてフードブースへ。2ステージのおかげが、例年より混雑が解消されていた気がします。

数ある選択肢から湘南御飯というお店の「鮪ほほ肉丼+だしぶっかけ」(1号)、「釜揚げしらす丼」(2号)をチョイス。釜揚げしらす丼は、さっぱりな大根おろしとしらすの塩っ気が体中に染み渡りました。

onpaku2010_foods.png(1号はジム・オルークがライヴしてる間、ひたすらフードコートで酒池肉林してました。ごめんよ、ジム、おなかすいてたんだ。。。)



他にも、メッセージボード(早い時間からびっしり書き込まれてました!)や翌日行われる宝探し大会のブース、忘れてはならないみやこ音楽祭の先行発表&先行販売もありました!いろんな人が、いろんな目的で集う、まさしく「フェス!」って感じの雰囲気が心地良かったです!