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京都で遊ぼうART スタッフブログ

京都地域の美術館・博物館の情報サイト「京都で遊ぼう ART」のスタッフによるブログです。

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「展覧会レポート」アーカイブ

flyer_JourneyNIPPON.jpg 8月27日から開催される「レスコヴィッチコレクション 広重・北斎とめぐるNIPPON」(細見美術館)の内覧会に行ってきました!

開催のきっかけは、昨年パリで行われた「ジャポニスム2018」の一環として開催された琳派展に細見美術館が協力した際、現地で今回の展覧会の出品者であるジョルジュ・レスコヴィッチさんにお会いしたご縁とのこと。ちょうどICOM(国際博物館会議)の京都大会が開催されるこの機会にあわせ、その良質なコレクションを日本で紹介しようということで企画されたそうです。

細見美術館としても、巡回展ではなく単独で海外のコレクターと直接やりとりし企画した展示は初とのこと(展示内容の確定までには紆余曲折があったとか...)

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まずは第一室。
こちらはレスコヴィッチコレクションの概観を紹介する名品展的位置づけ。鈴木晴信、東洲斎写楽、葛飾北斎、そして歌川広重と主だった有名絵師の作品が並びます。

今回の展覧会では、作品はあえて額装にはせず、作品一点一点に対峙してじっくりと楽しめる形の展示構成がポイント。仰々しくなく、身近に浮世絵を感じ愛で楽しんで欲しい、色味の美しさや写った版木の木目など版画ならではの面白さを感じてもらえるように、という試みだそうです。

浮世絵はしばしば連作、シリーズとして制作されたものがありますが、レスコヴィッチさんはそのようなシリーズ物はできるだけ一通りセットで揃えるように収集されているそう。

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例えば、こちらの葛飾北斎の連作「詩釈写真鏡」は全10枚からなるシリーズ。全作品がコレクションに収められており、展覧会では前後期で半分ずつ紹介される予定です。

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また、写楽の絵は突然画壇に登場した当時の作品から代表作の大首絵までなかなかの数を一度に楽しむことができますよ。こう並んでいると役者のブロマイドポスターっぽさが増して見えますね。

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第2室は今回の展示のメインである「木曽海道」シリーズを中心に展示されています。
こちらはシリーズ全作品が揃っているうえ、どれも初摺(所謂初版。版木を作って最初に制作されるもので、原画を手掛けた絵師の意向がよく刷りに反映され、版木も傷んでおらず質が良いとされる)であるという、レスコヴィッチコレクションを代表する大変貴重なものです。
街道をテーマにした浮世絵のシリーズとしては「東海道五十三次」に比べると知名度は落ちますが、「木曽海道」は大変すばらしい風景浮世絵と評価されています。

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前期で展示されている作品は、日本橋の次、板橋から大津まで。
奇数偶数を前後期で入れ替えて展示されます(展示されていない間の作品は小さなパネルで紹介)

この「木曽海道」、歌川広重と渓斎英泉、二人の絵師の手による作品となっています。
どうやらシリーズを企画した版元は、元々広重に絵を依頼しようとしていましたが都合がつかなかったのか、代わりに英泉に依頼を持ち込んだのだそう。その後途中で版元が変わるなど紆余曲折あり、最終的には当初依頼される予定だった広重が完成させました。
そのため、広重と英泉の作品が混在した状態になっています。

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初擦と後擦が両方あるものは、こんな感じで縦に並べて展示されているので、署名の有無など最初と後で作られたものの違いを楽しむことができます。

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超売れっ子だった広重に比べると、当時の英泉の評価(特に人物表現)はそこまで高くなかったようですが、英泉担当時の初擦は大変美しく、広重のそれにも劣りません。この作品を通じ改めて評価も高まっているとか。もちろん、広重の描く人物表現の面白さは素晴らしいもの。どれが英泉作・広重作か考えながら楽しむのもよさそうです。

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広重の他の風景作品も紹介されています。
こちらは広重の代表作「名所江戸百景」。手前に大きく人物を併せたり、普通の名所図にはしないような構成が見られるところが面白い作品です。広重が絵の中で特に注目させたいポイントはどこでしょう...?

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また、風景画といえば葛飾北斎。
同じ展示室内にある「諸国名橋奇覧」は全国各地の有名な橋をテーマにしたものですが、橋の描き方や構図がどこか図形的・幾何学的だったり、北斎の工夫を見ることができます。
絵師ごとの個性や、得意分野を探しながら見るのもよさそうですね。
8月9日(金)からスタートの「ドレス・コード?――着る人たちのゲーム」(京都国立近代美術館)内覧会に行ってきました!

この展覧会は、京都国立近代美術館と、京都服飾文化研究財団(KCI)による共同企画。5年に1度、毎回テーマを変えてファッションに関する様々な展示を行っています。
今年はちょうど世界博物館会議(ICOM)京都大会の関連で服飾に関する研究部会(コスチューム部会)が行われるため、世界に向けての発信も視野に入れられているそう(チラシも最初から日英版が!)

最近はハイブランドが自ら企画して美術館で展覧会を開催することも増えており、ファッション展が一種のメディアとなっている流れもあります。

これに対し「ドレス・コード?」展はそれとは異なり、批評的視点を持ったファッション展として、「着る」という行為そのものを、KCIのコレクションを中心にどのように表現できるか、という考えに基づき企画したとのこと。
ファッションの他、現代アート、写真、映像、漫画やアニメ、SNS...といった他の分野との関連性にも大きく視野を広げた内容となっています。


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展覧会は0~12、計13のセクションで成り立っています。

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「裸で外を歩いてはいけない?」といったように、全て質問文になっているのが特徴。見る人が考えながら展示を見て欲しいという意図からだそうです。

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漫画「イノサン Rouge」とのコラボ展示コーナー。実際にKCIが所蔵する漫画と同時代(フランス革命時頃)の衣装と、それをキャラクターに着せた描きおろしイラストが並びます。とにかく細工の細かさは必見!(コラボグッズもありますよ)

展示される服はKCIがこれまでに収集した歴史的に貴重な服飾資料から、コム・デ・ギャルソンやゴルチエ、ルイ・ヴィトンなどなど外題の有名ハイブランドや世界的デザイナーの手掛けたものまでが揃っています。

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こちらは1900年代から現代までのスーツをずらっと並べた一角。年代ごとのスタイルの違いを見比べて楽しめます。

「スーツ」「ミリタリー」「タータンチェック」といったようにアイテムごとにまとめられた形での展示が多く見られます。これはSNSで使う"ハッシュタグ"をイメージしたそう。
ファッションの普及に今やSNSは欠かせないもの。一般の人が自らファッションをカテゴライズし発信していく感覚を取り入れたかったとか。

会場デザインを担当した建築家の元木大輔さんも、「作品ひとつひとつを楽しむこともでき、群れとして見ることもできるように」というイメージで空間を作っていったそうです。

"群れ"として見ると、その服のジャンルが持つ特徴が見えてきます。
例えばスーツは、本来は組織に属する人の制服的位置づけであったり、フォーマルさをイメージさせるものでした、それが時代を経るとその「スーツはフォーマルなもの」と言った感覚、いわばスーツのもつドレス・コードから逸脱したデザインや色柄のものが生まれていくことがわかります。

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こちらはミリタリー。今ではお馴染みの迷彩柄やトレンチコートなども、元は軍隊で使うために生まれたもの。それがいつしかそのドレス・コードから外れ、こんなにバリエーション豊かに。

元は炭鉱の労働服として生まれたデニムが、ジェームス・ディーンが映画で着用したことでお洒落なものとして認識・一般化された例が知られますが、時代を経て当初とは違う昨日や意味に変化していくというファッションの特徴の一つを感じることができました。

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中にはセクションの表示板に飾られているものも!
こちらはアート作品とコラボレーションしたもののコーナー。「描かれているものが何か」をわかるとより楽しいものです。

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いわば着られる・身に着けられるアート。本来なら美術館にある作品を持ち歩くことができたり、それどころか自分自身がアートの一部になってしまうような...

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こちらは全部シャネルブランドのスーツ!創業者であるココ・シャネルによるものから、カール・ラガーフェルドがデザイナーを務めた現代の作品まで大集合しています。
手掛ける人が変われば同じシャネルスーツでもその印象は大違い。また、シャネル自身も女性の社会進出のアイコンとなり、シャネルスーツもその象徴になりました、まるで時代を映す鏡のようです。20190808_165206.jpg
五条のGallery Mainにて開催の浜中悠樹 写真展 「UTSUROI」を観覧してきました。
展示室の中に入るとそこには掛軸のようにしつらえられた作品がずらり。一見すると写真展というより日本画の展覧会に来たような印象を受けます。
作品は全て伊勢和紙に刷られており、和紙ならではのザラっとした質感に、シルエット風に撮影された植物の姿が相まって、まるで絵画のような雰囲気を生み出しています。実際、遠くから見ると繊細なタッチの日本画に、近づいてみてやっと写真だ!とわかるほど。(壁に描いた絵のようにも見えますね)
額装したものも、写真というよりは版画のような感じを受けます。
出展作家の浜中さんによれば、「元々西洋生まれの表現ツールである写真を、日本的に表現してみたかった」とのこと。そのために、日本画で一般的なモチーフである植物を被写体に選び、写真の特徴である立体感や奥行きを極力封じて敢えて平面的な表現を目指したそうです。
曇天の日に撮影することで背景をシンプルな白一色にするところは、日本画でいう「間」の表現を意識。また、花にだけピントを合わせ、背景の枝木をぼかすことで水墨画のような滲みのような色合いを生み出すところはまさに絵画の様相です。
写真は一瞬をリアルに切り取るものというイメージがありましたが、このようなこともできるのだ、と写真の表現の幅広さを感じることができました。
ちなみに、被写体となっている植物は、下鴨神社や京都市立植物園など、京都市内の各所、街中にあるものだそう。つまり、どれも人が剪定などの手入れをしている、人が育てている植物たちです。
「以前は、人の手が入っていない状態こそが自然の美しさと思っていました。でもいざ撮り始めると、京都の街中の植物ばかり撮っていた。人の手が適度に入れられた植物に、美しさや安心感を見意識に見出していたのだと思います。そこに、僕が表現したい"人と自然の共存の美"があった」と浜中さん。
手つかずの自然がもつ、どこか人を寄せ付けない美しさとは違う、人が手入れした自然がもつ日常の中にするりと入り込むような、親しみのある美しさ。作品一枚一枚にそんな温かさを感じられた気がしました。
展覧会は7月15日(月)まで。
詳細:http://www.kyotodeasobo.com/art/search/gallery/gallery-main/UTSUROI


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