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京都で遊ぼうART スタッフブログ

京都地域の美術館・博物館の情報サイト「京都で遊ぼう ART」のスタッフによるブログです。

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「展覧会レポート」アーカイブ

京都の伝統的な家「京町家」で国内第一線のアートと出会える、京都ならではの贅沢な展覧会
「アート町家作品展(ARTS MACHIYA Exhibition)2012」
1月21日(土)からの公開を前に、一足早く内覧会に行ってきました!

イベントの概要についてはこちら!

この展覧会は、現在アートシーンの第一線で活躍している京都ゆかりの作家4名が、4箇所の京町家それぞれの空間えをプロデュース・作品の展示を行うというもの。
会場となる京町家は、もともと京都の地域ベンチャー企業・株式会社 庵の「京町家ステイ」という企画で使われていて、通常は旅行者向けに、一棟貸しのゲストハウスになっています。

その京町家が、期間限定で、アーティスト・プロデュース仕様になっているというわけです。アーティストの手でしつらえられた京町家は、どんな表情を見せてくれるのでしょうか?

まずはインフォメーションセンターへ。


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会場に赴く前に、まずは総合受付(インフォメーションセンター)へ。
上の写真の右側、のれんの奥に受付があるので、そちらで参加受付をします。
すると、4つの会場の位置を示した地図がもらえます。
これが各会場での入場パス代わり。地図を頼りに、四つの会場を回りましょう。
会場はどれもインフォメーションから徒歩約5~10分ほど、さほど遠くはないので、散歩感覚で町並みを楽しみながら歩けます。(周辺にはいい感じの京都らしい建物や面白いお店もありますよ!)

まずはインフォメーション横(のれんのとなりの入り口)、「藍の町家」(筋屋町町家)があるのでそちらから行ってみます。

「藍の町家」(筋屋町町家)


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「藍の町家」は、築130年くらいの建物。もとは豆問屋さんが住んでいたそうです。
こちらを担当されたのは、日本を代表する染色作家のひとり、福本潮子さん。特に藍染で知られ、着物帯の製作・プロデュースも行っていらっしゃいます。

部屋のあちこちには福本さんが製作した藍染の作品やファブリックが。
上の写真の玄関マットも、作品のひとつです。
偶然、福本さんご本人にお会いできましたのでお話を伺ったところ、こちらは古い着物や歯切れを細く裂いて、それを織り込んで作る「裂き織」という技法で作られたそう。毛糸のようなざっくりとした、暖かな手触りが印象的でした。まさに昔ながらのエコ!

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座布団や掛け軸も作品。和室の空間にもぴったりなじんでいます。

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二階、三階にも上がれます。ちょっとモダンなこちらの部屋には、藍の絞り染めが美しいカーテンにクッション。町家なのに、まるで南国のリゾートホテルを思わせます。
となりにはベッドルームもあるのですが、そちらも見所。ぜひ天井にご注目ください☆

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玄関先。テーブルはもともとの家具のようですが、板扉を再利用したものでとてもユニーク。壁のタペストリーと座布団の藍染文様が見事に調和しています。満ち欠けする月と、水面にうつる月のようです。
全体的に女性らしい繊細さと、それでいて凛とした空気を感じるしつらえでした。


引き続き、「川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに」(京都国立近代美術館)のレポートをお送りします!

→(1)川西英と竹久夢二の交流と絆
→(2)デザイナー、アーティスト...近代の芸術家・竹久夢二


夢二と、英と、前衛のアーティストたち

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この展覧会のもうひとつの目玉。
それは、川西英と彼が交流をもった同時代の芸術家たちの作品です。

川西英は、竹久夢二の大ファンであると同時に、日本を代表する創作版画家(下絵から仕上げまで全工程を一人で行う版画家)のひとりでもありました。そして当時、他のアーティストの作品と自分の作品を交換したり、購入したりして、彼らの作品も数多く収集していたのです。

展覧会の前半が竹久夢二なら、後半はそんな同時代に活躍した芸術家たちの作品が中心になっています。
特に、川西英が交流を持っていた芸術家には最先端の革新的な芸術表現を求める、いわゆる「前衛(アヴァンギャルド)」の作家たちも多くいました。

そんな作家のひとりが、恩地孝四郎。
ロシアの芸術家・カンディンスキーに刺激を受けた恩地は日本に初めて「抽象画」の表現を持ち込んだ「日本の抽象画の祖」ともいわれます。

彼は特に川西と親しくしていた友人でもあり、同じく竹久夢二に憧れていたファンの一人でした。
(展覧会の最初のほうに、竹久夢二と川西英の交流に関する資料がありますが、そこにも名前があります)
彼のこれまで未公開の作品も、コレクションの中には含まれています。

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こちらは恩地が描いた婦人雑誌の表紙。とてもモダンで、構図はヨーロッパのファッション雑誌を思わせます。モードな雰囲気。
「恩地の作品は当時のほかの作品に比べてもズバ抜けてモダンでした。とても印象に残っています」(川西祐三郎さん)

恩地と川西の作品には、共通点が感じられる作品も見られました。

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たとえば、こちらの左端は川西英の代表作のひとつ「交響楽」。
音楽をモチーフに、さまざまなものを重なり合うように配置したこの構図は、音楽をテーマにした作品を多く制作していたカンディンスキーを思わせます。

カンディンスキーといえば、恩地が抽象表現を志すきっかけになった人です。

また、恩地はこんな作品も制作しています。

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恩地孝四郎《サーカス(ハーゲンベック・サーカスの印象)》 (京都国立近代美術館)

これはサーカスをテーマにした作品。
サーカスは、川西のお気に入りのモチーフのひとつで、実際コレクションの中にはサーカスに関する資料も数多く含まれています。(本人いわく「小さいときからサーカスというサーカスはほとんど見てきている」とか!)

川西英のサーカスをテーマにした作品も4階の展示室に展示されています。

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お互いが影響し合って作品作りをしていた、交流の様子が作品を通じて感じられます。

ちなみにサーカスは当時の芸術家たちにはよくモチーフとして使われていたそう。

「動きや身体的な表現に、新しさを感じ、モダニズム時代らしいものとして考えられていたようです」(山野さん)

実は、夢二もサーカスに関する作品を制作しているとか。夢二も確かに、川西に影響を受けていたのですね。

他にも、さまざまな作家の作品がずらりと展示されています。
本当にたくさんいるので、作風も多彩で表現もさまざま!見ていてあきさせません。
中には「まさかこの人が!」というような意外な人のものも見ることができます。

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スタッフさんが注目してもらいたい、とお勧めしていたのがこちらの川上澄生の作品。
彼だけでも、コレクションには100点以上も含まれているそうです。
これだけあれば、もう彼の作品だけで十分展覧会が開けてしまう!というほどの、完成度の高い作品がそろっているとか。
小さいながらも素朴で可愛らしい、それでいてモダンでどこか懐かしい、そんな雰囲気が感じられました。

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面白いのがこちら。
右の作品は、高見澤路直...後に漫画「のらくろ」の作者として活躍した田河水泡の抽象版画です。
実は漫画家となる前は、彼は芸大に通い、本格的に現代芸術家を目指していたのだそう。
その記録は残っていたのですが、記録のみで実際の作品は全く見つかっていなかったのだとか。
「恐らく、現存する唯一の作品ではないでしょうか」(山野さん)
しかし、言われてみないとまさかこれがのらくろと同じ作者の作品とは...

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こちらは、京都出身で日本を代表する洋画家・梅原龍三郎の版画作品。
どことなく、棟方志功を思わせる雰囲気です。(実際二人は親しい友人同士でした)

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下の展示ケースにあるかわいらしいこの千代紙たちは、河合卯之助の作品。
彼は本業は陶芸家!でももともとは西陣織のデザインを手がけていたこともあったそうで、言われてみると納得です。思わずほしくなってしまうほど、モダンです。
また、上のカレンダーは民藝運動の作家の一人でもある、染織家の芹沢慶介の作品。

ほかにも、バーナード・リーチや、冨本健吉といった陶芸家の版画作品もあります。
当時は陶芸家であっても版画や絵画作品を手がけることもあったのですね。
(彼らの陶器作品は、常設展(コレクション・ギャラリー)で見ることができます。ぜひあわせてチェックを。)

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正直、あまり名を知らない作家の作品も数多くあります。しかし、これだけ多くの作家の、多彩な作品が一人の人間のコレクションとして集まったのか!と思うと、本当に圧倒されます。
川西英、というひとりの存在が生んだ、たくさんの人とのつながり。
それがこのコレクションがあらわしているものかもしれません。

また、「この作家の作品、面白いなぁ!」と新たにお気に入りの作家を見つける楽しみも味わえるのではないでしょうか。
竹久夢二ももちろんですが、ぜひ同時代の作家たちの作品も注目してみてください!


コレクション・ギャラリー(常設展)も併せて!

実は期間中、4階のコレクション・ギャラリーでは「夢二とともに」展の関連作品展示が行われています。
ここも、「夢二とともに」展を見に行ったなら、ぜひ併せて見ておきたいポイント。
一緒に見ることで、より展覧会が楽しめる作品がたくさんあります!

たとえばこちら。

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これは、河合卯之助が制作したお皿なのですが、お皿の絵柄は川西英がデザインしたものなんです。
(先にご紹介したサーカスの絵に、よく似た馬の姿があります)
蓋にも川西英の名前が書かれていますね。
彼は版画の交換だけでなく、こんなコラボ作品も制作していたのです。
作家同士の親密な交流が伺えます。

また、このような特別展会場に版画が展示されていた陶芸家による陶器作品のほか、
川西英以外の作家による関連作品も、数多く見ることができます。
同じ作家でも、表現方法が違うとタッチも異なってきます。でもモチーフは共通していたり...
見比べてみるとより楽しめるのではないでしょうか。

川西英の版画作品も数多く、コレクションギャラリーに展示されています。
川西英といえば、神戸の町並みをモチーフにした代表作「神戸百景」がよく知られていますが、これも一部展示されています。
(現在も神戸でお土産のポストカードになっていたりするものもあるので、見覚えがある方もいらっしゃるかも?)

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そして、こちらには川西英の息子さんであり、記者発表でも解説をしてくださった川西祐三郎さんの作品も多数展示されています。

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お父さんよりもよりカラフルで、かつより洗練されたグラフィカルな雰囲気が感じられる気がします。
こちらはヨーロッパシリーズ。ヨーロッパ各地の観光名所・都市がモチーフになっています。
実際に現地に行ったことがある方は、思わずにやりとしてしまうかも。

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祐三郎さんといえば、神戸土産の定番「神戸風月堂」のゴーフルの缶にあしらわれている絵は、彼の作品なのをご存知でしょうか?
もしお手元にある方は、ちょっと確認してみてください!


【おまけ】

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今回はグッズも注目!
展示作品の中には千代紙などのデザイン作品が数多くありましたが、
それを実際に使用したグッズが数多く登場しています!
おすすめはぽち袋。何種類もあって選ぶのに迷ってしまいます。
ひとつ60円というお手ごろなグッズなので、全種類集めても良いかも?
小さな便箋がついたミニレターセットもあります。

竹久夢二はこのようなデザイン作品を使用した商品を実際にお店で販売しようと考えていました。
これは、夢二が志半ばでかなえられなかった夢が、形になったものといえるかもしれませんね。

ちなみに、これらのグッズは、元になっている作品が京都国立近代美術館の所蔵品になっていることもあり、展覧会の終了後もミュージアムショップにて販売されるそうですよ!

関連リンク

川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに (11/11-12/25)
京都国立近代美術館


アートを支える人たちのことば。ART STAFF INTERVIEW Vol.1:山野英嗣(京都国立近代美術館)
(今回の展覧会の企画担当・学芸課長の山野さんへのインタビューです!展覧会のお話も詳しくお伺いしていますのでぜひご一読ください。)

引き続き、「川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに」(京都国立近代美術館)のレポートをお送りします!

→(1)川西英と竹久夢二の交流と絆


デザイナー、アーティスト...近代の芸術家・竹久夢二の真の姿。

記者発表の際に、企画担当の山野学芸課長が強調されていたのは、

「この展覧会を通して、「近代美術史における竹久夢二」をきちんと位置づけたい」

ということでした。

実はこれまで、竹久夢二の展覧会は国立のミュージアムで開催されたことがなかったそう。
デパートなどではよく展覧会は行われていますし、私立の美術館もある竹久夢二。正直意外です。
というのも、夢二はあまり大掛かりな絵画作品を残していなかったため、画家としてはきちんとした評価をされていない傾向があったからなのだそうです。

竹久夢二と聞くと、やはり美人画や、女性をモチーフにしたイラストレーション(挿絵)作品のイメージが一般的ですし、現在も多くのファンを集めています。
しかし、竹久夢二はそれだけの作家ではない。単なるイラストレーターでも美人画家でもない。
一人の近代日本美術を代表する芸術家である。
今回の展覧会では、そんな、今までの一般的な夢二像とは違った作品も展示されています。

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例えば、今回の展覧会の目玉のひとつともなっているのが、夢二の肉筆画。
こちらの三点は今回が初公開となるのですが、イラスト風の作品に見慣れていると少し驚くのではないでしょうか。
少ない線描でとしっかりした筆のタッチで描かれた作品は、まさに日本画の技法。
イラストだけではない、「画家」としての竹久夢二が見えてきます。

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また、面白いのがこちら。
「これが竹久夢二の作品!?」と驚かされるような、まさに西洋画然とした作品です。
実は夢二は西洋画にも興味をもち、積極的にその技法を会得しようとしていたのです。



逆に夢二は日本画の技法をヨーロッパの美術学校でレクチャーしていたこともありました。
こちらはドイツのバウハウスを創立したヨハネス・イッテン氏に招かれて彼の美術学校を訪れた際に描いたもの。同じモチーフを様々な技法で描き分け、違いが分かるようにしています。


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こちらは、夢二がパターンをデザインした千代紙。
鮮やかな色使いが印象的。とてもモダンで、今市販されていてもすぐ手にとって使いたくなるようなものばかりです。

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ずらっと並んだ本!本!本!
これ、全部夢二が装丁や表紙デザインを担当したもの。立派な作品です。

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夢二は晩年の頃、榛名山の麓にアトリエを設け、そこで産業デザイン(インダストリアル・デザイン)の研究を行おうとしていました。(上写真はその計画時に描いた作品)

夢二は早くから本の挿絵や広告デザインなども手がけていたこともあって、早くから産業デザインの重要性を意識していました。そこで、自分のデザインした実用品...千代紙やポストカード、小物入れといった雑貨類を自分のプロデュースしたお店で販売する、というところまで計画していたのです。
(実際には夢二が病没したために実現しませんでしたが)

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現在、ミュージアムショップや雑貨のセレクトショップなどで、アーティストデザインの商品などは取り扱いがされていますが、夢二は戦前に既にそれを計画していたのです。
一人のアートプロデューサーとしての夢二の顔が、素敵なデザイン作品のなかから見えてきます。

夢半ばで没してしまった夢二。もう少し彼が長く生きていたら...彼の評価はまた違っていたものになっていたかもしれません。

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きっと今回の展覧会は夢二の展覧会に通い詰めている!なんて大ファンの方にも、きっと新たな発見や驚きを感じることができるものになっていると思いますよ!


関連リンク

川西英コレクション収蔵記念展 夢二とともに (11/11-12/25)
京都国立近代美術館

アートを支える人たちのことば。ART STAFF INTERVIEW Vol.1:山野英嗣(京都国立近代美術館)
(今回の展覧会の企画担当・学芸課長の山野さんへのインタビューです!展覧会のお話も詳しくお伺いしていますのでぜひご一読ください。)


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