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【投稿レポート】「忍冬・帰還 渡辺兼人写真展」(何必館・京都現代美術館)

2011/01/11

実際の展覧会の様子をご紹介している展覧会レポート。
今回はひるやまさんに、何必館・京都現代美術館にて開催の「忍冬・帰還 渡辺兼人写真展」の感想レポートをお寄せいただきました!
ひるやまさん、どうもありがとうございます!

忍冬・帰還 渡辺兼人写真展
何必館・京都現代美術館(2010/12/18 -2011/1/16)

祇園のど真ん中にある何必館。

喧騒の中にありながらも、館内は静寂とした雰囲気でゆっくりと時が流れていたようだった。

入館してまず目に入ったのは、大きな写真のスクリーン。
どれも路地裏を撮影したものだった。
彼の写真は初見であったが、安堵感に満ち、どことなく温もりを感じた。
何故こんなにも温もりを感じるのだろうか。そんな疑問を抱きながら2階へと向かった。

kikan2009_kanendo-watanabe.jpg 《帰還 2009》
2階には「帰還 2009」の展示がしてあった。
最初に目にしたものと同じような路地裏の風景。人々の生活の匂い、さらには息遣いさえも聞こえてきそうであった。
しかし、彼の写真は一環として「人間」が映っていないことに気が付いた。
では、最初に感じた温もりはなんだったのだろうか。また新たな疑問が生まれた。
nintou_kanendo-watanabe.jpg 《忍冬 2008》
3階は「忍冬 2008」の展示がある。
ここは、先ほどまで観ていたものとは違い、山、川、海など自然にあふれた景色があった。彼の写真は全くと言っていいほど、飾っていない。目にした風景を真正面から受け止めているような気がした。
私はそのとき、自分の故郷を思い出していた。
私が育ったところは、彼が写真に収めているような自然に溢れたところだ。幼い時は近所の友人達と山や海で泥だらけになって遊んだ。川辺を散歩しながら日光でキラキラと光る川を見るのも好きだった。そんな記憶と共に、家族や友人との思い出が舞い戻ってきた。私の周りに自然が溢れていたのと同じように、「人間」も多く存在していた。

だから、私は彼の写真から温もりを感じることが出来たのだろう。
そこに「人間」が映し出されてなくとも、私たち自身の人生のなかで目にした景色と共に、無意識に「人間」の存在を記憶しているのではないだろうか。


文責:ひるやま 編集:京都で遊ぼうART


忍冬・帰還 渡辺兼人写真展」は、今週末1月16日(日)までの開催です。
前回の「ウィリー・ロニス展」も好評だった、何必館の写真展。今回も非常に印象深い作品が並んでいます。
写っていないのに、確かにそこにいる。ひるやまさんも指摘してくださった、不思議なその存在感を体感してみて下さい。
残り期間もあとわずか!気になる!という方はお早めに!

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