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京都で遊ぼうART スタッフブログ

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2010年12月アーカイブ

実際の展覧会の様子をご紹介している展覧会レポート。
今回はライターのkeiko.hさんに、こちらの展覧会の感想レポートをお寄せいただきました!
どうもありがとうございます!

ぜんぶ!やなせたかし!~ビールの王様・詩とメルヘン・アンパンマンetc.~」 @京都国際マンガミュージアム
(2010/10/02-12/26)




flyer_yanasetakashi.jpg 入り口を通るとすぐ目に入る、白いパネル地に黒で書かれた文字。

なんのために うまれて なにをして いきるのか
こたえられないなんて そんなのは いやだ!

この一節を聞いたことのある人は多いでしょう。 そう、やなせたかしさんの代表作『アンパンマン』のアニメ主題歌、『アンパンマーチ』の一節です。

京都国際マンガミュージアムの「ぜんぶ!やなせたかし!」展に行ってきました。

やなせさんの原点!パントマイム漫画


展覧会名にある通り、この展覧会では『アンパンマン』だけでない、やなせさんのマルチな才能あふれる作品に触れることが出来ました。
たくさんの漫画、絵本、詩、歌詞、抒情画...。
詩集くらいは読んだことがありましたが、やはりアンパンマンのイメージを強く持っていた私は、やなせワールドの広さにただただ驚くばかりでした。

中でも私が特に面白いと感じたのは、やなせさんの原点とも言えるパントマイム漫画、『ビールの王様』。キリンビールのPRとして描かれた、言葉なしの4コマ漫画です。
身体の丸いフォルムが可愛い「ビールの王様」が登場し、 どれを読んでもクスッと笑わせてくれました。
作品横の説明によると、やなせさんがプロの漫画家として最初から認められたのはこの漫画で、やなせさんはパントマイム漫画こそ漫画の原点だと信じられていたそうです。

他に、何をしても上手くいかない...という気の毒さが面白い「泣きツラのカレ氏」という漫画など、面白い漫画が多くて展示されている漫画1つ1つを立ったままじーっと読んでしまいました(笑)。

アンパンマンの本質


あまりにも有名なヒーロー、アンパンマン。 その作品を展示しているコーナーに、「アンパンマンの本質」と題された説明書きがあり、以下のような引用がありました。

自分が死ぬことによって 他を生かす。 それがぼくの使命なのだ。
ぼくは死ぬるが その生命は他者の中で生きる。
ぼくは飢えた人を 救うのではなく、 飢えた人の中に ぼくが生きるのだ。

(やなせたかし著『熱血メルヘン 怪傑アンパンマン』1977年、サンリオより)

アンパンマンの本質には、戦争経験者でもあるやなせさんの考えを読み取ることが出来ると思います。

傷つくことなしに、犠牲を払うことなしに正義は行われない。
だからヒーローは、どこまでも飛んでゆくのだと。

やなせさんは、スーパーマンのような「強い」ヒーローに疑問を感じてらっしゃったそうです。
怪獣と戦ったりするのは本当に正義の戦いなのか。自分の生活を守ってくれる人が正義の味方なのではないか。そう考え、お腹を空かしているときに助けてくれる、地味な正義の味方を描きたかったそうです。

アンパンマンが子供を始め多くの人を魅了するのは、単なる表面的な「強さ」を持っているからではなく、傷つく弱さを自覚した上で犠牲を払える「強さ」を持っているからなのかもしれません。

こんな風に考えながら、展示されていた原画『渚のアンパンマン』には思わず見入ってしまいました。
夜の海の上をアンパンマンが一人で飛んでいる絵です。 いつも賑やかに囲まれているアンパンマンの珍しく孤独な姿ですが、その顔は笑顔。 その表情に優しさだけでなく、1人でどこまでも飛んでゆく強さというか、ヒーローの貫禄のようなものを感じました。
アンパンマン...深いですね。

この展覧会の終盤で見た、やなせさん直筆の言葉が印象的でした。

「生きることにまだ飽きない もっと生きたい ジタバタしたい」
「人生なんて夢だけど 夢の中にも夢がある」

本当に生きるパワーがもらえます!

最後にもう一度、『アンパンマンマーチ』から引用したいと思います。

ときは はやく すぎる  ひかる ほしは きえる
だから きみはいくんだ ほほえんで

あまりにもシンプルな言葉。 だからこそ、心にダイレクトに響いてきます。

文責:keiko.h 編集:京都で遊ぼうART

90歳を越えた今も精力的に活動を続けていらっしゃるやなせさん。
その重ねた人生の分、シンプルな言葉のもつ重みは計り知れません。
人の生きるためのエッセンスも、この展覧会には込められているのではないでしょうか。

ぜんぶ!やなせたかし!~ビールの王様・詩とメルヘン・アンパンマンetc.~」展は、いよいよ今週末・12/26(日)まで!
まだの方は、お急ぎ下さい!

関連リンク

ぜんぶ!やなせたかし!~ビールの王様・詩とメルヘン・アンパンマンetc.~
京都国際マンガミュージアム


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実際の展覧会やイベントの様子をご紹介するレポートコーナー。
今回は、こちらも大分遅くなってしまい申し訳ございません!アートイベント「萬福寺芸術祭」のレポートをお送りします!

flyer_manpukuji-en2.jpg

 萬福寺芸術祭-EN- @黄檗宗大本山萬福寺
(2010/11/26-28)

元々は、artDive#03のレポートでもご紹介させて頂いた関西の美大生団体「SHAKE ART!」の代表・塩谷さんにご招待を頂き、このイベントの取材をさせて頂くことになりました。
このインパクトの強い魚のイラスト、どこかで見覚えがあるという方もいらっしゃるのでは?

会場は、宇治にあるお寺、萬福寺。
京都の中でも特に個性派といわれる面白いお寺です。というのも、このお寺の属する「黄檗宗」というのは、禅宗の中でも特に中国風の色合いが強く残っている宗派。そのため、建物の作りや意匠などには、どことなく「あれ?ここ京都だっけ?」と思わされるような独特の雰囲気があります。

そんなユニークなお寺を会場に、美術作品の展示はもちろん、ライブやファッションショー、ダンスにフリマにワークショップと色々な「アート」をやってしまおう!というのがこのイベント。
学生さんが中心となって企画・運営されているところが、またポイントです。京都ではお寺でフリーマーケットやライブが行われることはありますが、学生のアートイベントというのはほぼお初といっても良いかもしれません。
お寺でアートイベントって凄い試みなんじゃないの、とドキドキしつつ、以前artDive取材でも一緒してくれたスタッフKちゃんとスタッフSの二人で行ってまいりました。

manpukuji-en01.jpg入口はこんな感じ!どことなく、門構えがチャイナな感じです。左のお魚ボードはワークショップにも使われていて、帰りに見た時にはカラフルなミニ魚(塗り絵)がたくさん貼られていました。

歴史ある「お寺」というフィールドに溶け込む現代のアート。


今回お邪魔したのは27日(土)。まだオープンしたばかりの時間帯だったため、まだそんなに人は多くはありませんでしたが、その分じっくりと作品を見ることができました。
(SHAKE ART!の塩谷さんに、直々に案内までして頂きました...お忙しいのに、本当にありがとうございました...!)

manpukuji-en02.jpgまずは目玉である「EXHIBITION SPACE(作品展示)」から。会場は境内の奥にある方丈。実際のお寺の建物の中に作品が置かれていました。

一番に思ったのは、「お寺の中で見る現代アートがこんなに面白いものだとは!」ということ。
むしろお寺という空間と相まって、ギャラリーの展示室など、普段飾られているところでは絶対に見られないような効果が生まれるなど、確かに互い「呼応」し合っていたと感じました。
manpukuji-en03.jpgとにかく本当に違和感が無く溶け込んでいたのです。
床に広げられた写真のに、庭の景色(時期が時期だけに紅葉がとても美しかったです)が写りこんでいたり、また、畳の上に広げた作品には、普通のギャラリー以上に凄く近くまで寄って、時には横に寝転がってみたり(!)して見ることができました。こんな作品の見方、普段じゃ絶対に出来ません。


また、アート作品の展示販売も行われていたのですが、この日に会場になっていたのは丁度お坊さん達が読経をしたり勉強を行うスペース・「法堂」。なんと、展示はお坊さんたちが座席として使う、台状の座敷を利用していました!びっくり。

manpukuji-en04.jpg manpukuji-en05.jpg
ポストカードを販売していた「gallery Main」のブース(上左写真)。
「京都で遊ぼうMUSIC」もお世話になっているヨーロッパ企画さんの写真部(そんな活動もされてたのですね...!)による作品も発見。
また、『13歳のハローワーク』でお馴染みのはまのゆかさんの作品もありました。
「gallery Main」のホームページはこちら

manpukuji-en06.jpg主に雑貨作品を扱うフリーマーケットも、建物を繋ぐ回廊が利用されていたり。
決して作品を展示するためのスペースとしては出来ていないお寺の建物を、上手に活用しているように感じました。

manpukuji-en07.jpg manpukuji-en08.jpg
金堂も開放されていて、自由に見学することができました。ユニークな仏像たちも楽しめましたよ!(因みに金堂のメインは羅漢さん(釈迦の弟子)。皆それぞれ性格が違う、とてもキャラ立ちした仏像たちなのですが、表情もなんだかアジアンな雰囲気で良く見る日本風のものとは違います。現代アートとも通じるものがあるかも?機会あれば是非見に行ってみて下さい!)

manpukuji-en09.jpg現代アートと併せて、お寺の持つ歴史を感じさせる文化財も鑑賞することができるというのは、何だか感慨深いものがありました。現代アートから入る人はきっと昔の人の感性に刺激を受けるでしょうし、文化財に興味がある人も、その流れで現代のアートに触れることができる。
これも、新旧のアートの出会いによる「ご縁」なのかもしれませんね!

忘れてはいけないのが、ライブステージ。
金堂の正面(月台)と、法堂の正面の二つのスペース(ちゃんと元からステージ状になっています)が会場になっていました。

時間の関係であまり数は見られなかったのですが、「MUSIC」でも2号くんがお薦めしてくれていた、アコースティックユニット「たゆたう」の演奏を 見て来ました。
すごく可愛らしい女の子二人組みのユニット。ギターとバイオリンのほか、玩具(!)も楽器として使ってしまうというところが非常に気になっておりました。

manpukuji-en10.jpgこちらはライブ前の状態。机の上に玩具が...

manpukuji-en11.jpgいざライブスタート!
透き通るようなにしもとひろこさんの歌声が、黄檗の空に響きます。そこに、イガキアキコさんの伴奏(ヴァイオリン&おもちゃ)がアクセントをつけていきます。
周囲はちょうど紅葉の時期、秋の景色。なのに、そこだけが何だかぽかぽかして、「春」の空気になっているようでした。
不思議なことに、唄が終わったとたん、屋根の上を鳥の群が飛び立っていきました。まるで、曲を聞いていたみたいに...本当に素敵な時間でした。ありがとうございました!

(ちょうどこの後、MUSICでもインタビューさせて頂いている「Nabowa」のメンバーさんが出演されていたのですが、ちょっと時間の関係で断念。残念...!)

manpukuji-en12.jpg今回はまだ初めての開催だということで、思考錯誤されているところも多々あったそう。
実はこの企画が持ち上がってから実行するまでにも、あまり時間は充分ではないところもあったといいます。それでも、その状況でこれだけのイベントを実行した、スタッフの皆さんの努力には本当に頭が下がるばかりです。
(驚いたのが、この企画を提案したのは何と会場である萬福寺さんの方だったとか...本当に全面協力!という感じを強く感じました。)

何より、イベントを知らずに偶然いらしたお客さんも、「凄い!」と楽しんでいた姿が印象的でした。
普段意識してアートを身に行くことも少ない人でも、気軽にアートに触れあえる敷居の低さ。
イベントが産んだ、アートの裾野を広げる貴重な「ご縁」です。

展覧会のサブタイトルの「EN」は、「縁」と禅宗の教えにおいて真理や宇宙の大きな流れ・繋がりを示す「円」をかけたものなのだそう。
「縁」がつながり、大きな「円」になっていく。その一端を見たような気がしました。

今まで幾つかのアートイベントを見てきましたが、この「萬福寺芸術祭」は、本当に「京都だからこそできたアートイベント」だと思います。
確かにまだ未熟な部分、発展途上な部分もありましたが、とても将来性を感じたイベントでした。
また来年も、この芸術祭が「EN」を紡いでほしい!そう思ってやみません。

次回も楽しみです!


《関連リンク》
萬福寺芸術祭-EN-
公式ホームページ:http://manpukuji-en.moo.jp/

2010年・2011年 年末年始の展覧会情報

今年も年末年始に開催している展覧会を総まとめ。
寒い時期は、あったかい室内で芸術鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか?

※各施設ごとに年末年始の休館期間があります。ご予定を立てる際にはご注意ください。



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