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特別展覧会「長谷川等伯」(京都国立博物館)【展覧会レポート】

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「京都で遊ぼうART」のスタッフが実際に行った展覧会をレポート!
今回は...

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没後400年特別展覧会「長谷川等伯」(京都国立博物館)


長谷川等伯展(京都国立博物館)今までも特集記事の連載や関連情報をご紹介してきましたが、この度、スタッフも足を運んで参りました!

行ったのは日曜日(4月25日)だったのですが、予定の都合で午前中に行くことに。結果、さんざん混雑状況を確認していたというのに、一番混む時間帯に見事にぶつかってしまいました...このとき、待ち時間90分。
でも割と行列は進むのが早かったので、さほど長くは感じませんでした。

因みにちょうどこの日、10万人目の入場者の方の記念セレモニーに遭遇!
入り口横で記念品の贈呈を受けていらっしゃいました。愛知県からいらっしゃったご夫婦だそうです。おめでとうございます!


展示の構成は、最初に能登時代の作品(仏画など)が主に展示されていますが、あとは肖像画、金碧画、水墨画...といった、表現手法で主に分類されています。

今回の展覧会で特に感じたのは、同じ人が描いたとは一見思えないほど、モチーフもジャンルも多種多様、仏様から人間から動物に植物に風景に...と実に様々。しかしそれが、派手な金碧画とモノクロームの水墨画という一見両極端なものであっても、根底ではちゃんと繋がりがある、関係している。そんな感じを受けました。
展示の構成はまさにその「繋がり」が分かるようなつくりになっていました。


描き込みに感じるエネルギーと野心。

まず最初の能登時代、「信春」時代の仏画は非常に色鮮やかな作品が多い印象でした。
そしてなんといっても非常に書き込みがすごい。着物の模様はこれでもか!というほどに徹底的に細かく描かれており、その分煌びやかさが際立って見えました。
この気合の入った描き込みっぷり、後の等伯の行動を考えると、なんだか妙に野心めいた、腹の底にあるエネルギーのようなものを感じます。
やはり、一介の地方絵師では終わらない、終わらせないものがあったんですね...

描写の細かさは肖像画にもよく現れていて、人物の表情はしわまでとてもリアルです。
私が行ったのは前期だったので、千利休と春屋宗園の、等伯の理解者の肖像が並んでいるのを見ることができ、ちょっとにんまり。春屋宗園は等伯が勝手に襖絵を描いてしまった、あの三玄院の住職さんで、利休の肖像画の讃も書いてます。等伯の行動に怒りはしたけれど、許して作品を残した、懐の広い人柄が伝わってくるお顔でした。
しかし、稲葉一鉄(春日局のお祖父さんに当たる人)の肖像画がインパクトが強すぎて忘れられません...眉毛!眉毛が!(笑)


ダイナミック、されど繊細。空気を感じる金碧画。

その後はいよいよ、展覧会のメイン、華麗な金碧画や巨大な仏画、水墨画へと移ります。

等伯の金碧画の印象を一言で言えば繊細
三年前に同じ京都国立博物館で「狩野永徳展」が開催された際に見た永徳の金碧画には重厚感、豪快さ、力強さを感じたのですが、逆に等伯はもっと優しく、包み込むような空気感があるように思えました。なんだかちょっと金碧画らしくない表現かもしれませんが。

『楓図壁貼付』 国宝『楓図壁貼付』(文禄元年年/1592)京都・智積院
『楓図』も、真ん中にどーん!と木が鎮座しているダイナミックで勇壮な構図ではあるんですが、その割りに線はスルスルと滑らかで、幹や枝先など同じ木の中でもそれぞれの線に違ったリズムがあるんです。
周囲に散りばめられた草花もとても繊細で、風にゆれるふんわりとした柔らかささえ感じるようでした。(これはススキや萩などを描いた『秋草図』の方が分かりやすいかも)


墨一色が「目に見えないもの」まで描き出す。

その後に『仏涅槃図』を挟み、水墨画を拝見したのですが、
その前にカラフルな作品を多くみていた分、よりいっそう水墨画が印象的に感じました。
墨の濃淡と線のタッチ、そして余白。それだけで、光と影とか、空気感とか、肌触りとか、ここまで沢山のものが描き出せるものか、とその奥深さにも驚かされます。
なんというか...モノクロームなのに、カラフルな作品よりもずっと鮮やかな感じ
また、水墨画にも、人気のもこもこお猿が描かれた『竹林猿猴図屏風』(相国寺蔵/後期は『枯木猿猴図』に展示替)などには、余白に薄く金泥が塗られ、まるで日の光か朝靄のような表現がされているなど、目に見えないものを画面の中に表現しようとする、等伯ならではの工夫を見ることができます。(勿論、猿の表情にもご注目を!)

『松林図屏風』(右隻) 国宝『松林図屏風』(16世紀/東京国立博物館蔵) (16-17世紀)

そして最後に『松林図屏風』が来るわけですが...
展覧会のゴールがこの作品というのは、展覧会全体を見ていると本当、納得です。
荒々しい線と柔らかい線、墨の色合い、そしてど絶妙で繊細な配置のバランス...それで等伯は空気や光だけでなく、無限の空間まで画面の中に閉じ込めて...
しかも、じっと見ていると何だか自分が今霧の中に立ち尽くしているような、松林の中に取り残されているような、画面が現実を侵食してしまうような錯覚まで覚えてしまいます。


等伯らしさ、とは人の想像力を動かす力...なのかも。

展覧会全体を見て感じたのは、等伯の絵はその、人の想像力に働きかける力を物凄く持っているということでした。
等伯の作品を評するとき、よく「叙情的」と言われている気がするのですが、それはきっとこの力のことを端的に表しているのではないかと思います。

目に見えない、空気や風の流れとか、感覚といったところは、ひとえに見る人のイメージに左右される部分が大きい部分。そのイメージをする部分を等伯はしっかり掴んで、そして揺さぶってくる。
見る人の中にある、色々な感覚・記憶を奥底から呼び覚ましてくるかのような...
その力が最高潮に達した、ひとつのカタチ。それが『松林図』なのかもしれません。
だからこそ、400年も前の作品であるにもかかわらず、現在も多くの人がこの絵に魅了されてしまうのではないでしょうか。

(実際、これを使ったTシャツなどが売られていましたが、余りのモダンさにびっくりしました。どんなに時を経ても、この絵は常に最先端にある作品なのかもしれません...)


ちょっと残念だったのは、本法寺の『仏涅槃図』の下の部分が床についてしまっていたところ。
高さが10mもあるとんでもなく巨大な絵なので、流石に天井の高さが足りなかったようです。まあ、これはどうしようもないことなので仕方ないですが...そのせいでちょっと人物の表情とかが見づらくなってしまってました。勿論、迫力は十分感じられましたが。
来年の3月に行われる本法寺の涅槃会の際には、お寺で床につかずに飾られると思いますので、その時にリベンジに行こうかな、と思います。

関連情報

特別展覧会「長谷川等伯」展は5月9日(日)まで開催中
4月29日(木・祝)からは開館時間が1時間延長され、夜19時まで開館となります!
※金曜日の夜間開館は通常通り、夜20時まで。

関連リンク

没後400年特別展覧会「長谷川等伯」(京都国立博物館)についてはこちら!
「長谷川等伯」展特集ページはこちら!

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