2020年3月21日にリニューアルオープンとなる京都市京セラ美術館。
その建物がついに完成!新しくなった美術館はの姿、新たな見どころを、11月15日に行われたプレスレビューの内容も併せて、詳しくレポートします!
《文:そめかわゆみこ|写真=浜中悠樹》
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【レポ】《1》京都市京セラ美術館リニューアル!リニューアル内容&オープニング・ラインナップ発表
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京都MUSEUM紀行。Special【京都市美術館 リニューアル特集】
新館編
■ 《1》本館編はこちら!
【レポ】《1》内覧会:京都市京セラ美術館 リニューアル!見どころスポットはここ!
本館に続いて、リニューアルに伴い新設された新館へ向かいます。
新館「東山キューブ」の外壁は明るいベージュ色。これは本館外壁の雰囲気に合わせたもので、模様の幅も本館の外壁タイルと同じ幅に揃えられています。
溝のように見えるのは金属板。本館の外壁タイルの自然な色ムラは再現が難しいため、近い色の素材を用い、その時々の光の当たり具合で壁の色合いが変わって見えるよう設計したそうです。朝・昼・夕と、訪れるその時々で移り変わる景色が楽しめます。
屋根上はひな壇状のテラスを備えたバルコニーとなっており、東山の山並みと眼下に広がる日本庭園を一望することができます。
本館側とも繋がっているので、そのまま移動も可能。建物も良く見えます。
実はこの場所にあった旧収蔵庫(川崎清氏設計、1971年築)も、屋根上に上がって庭園を望められる構造になっていたそう。新館を建てるにあたり、以前の建物へのリスペクトを込めて、その構造を新館にも継承したのだそうです。
なお、こちらのバルコニーは入館料無しで入ることができるフリーゾーンとなっています。
バルコニーと新館への入口(北東入口)は京都市動物園角、岡崎二条の交差点に面しており、横断歩道を渡ればそのままこちらに移動可能。
岡崎エリア巡りの際の休憩スポットにもぴったりです。
新館の展示室は、まさに「東山キューブ」の名にふさわしい、巨大なホワイトキューブ。現代美術の展示に用いることを考慮し、壁面は塗料の中でも最も白い色のものが使われています。
天井は約5mもあり、巨大なオブジェ作品にも対応。照明もスポットライトは付け替え可能となっており、展示内容に合わせて自由に雰囲気を変えられる仕様になっています。
主役となる展示を活かすことを第一に、とことん個性を消した空間ですが、それがかえって外とは良い意味で切り離された、展示に集中できる感覚を生み出しているように感じました。
こちらでのこけら落とし展となる杉本博司「瑠璃の浄土」ではどのような空間に変化するのか、とても楽しみです。
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リニューアルに当たって新設されたもう一つの建物が、本館前のスロープ広場「京セラスクエア」の角にあるこのガラス張りの三角スペースです。
近年、ロームシアター京都をはじめ岡崎エリアの周辺施設が数多く整備されたことから、敷地の角地部分は美術館と他施設を結ぶ上で重要な場所と考え、設けられたスポットです。
地下でエントランスであるガラス・リボンにもつながっており、もう一つの入口としての役目も持っています。
周辺にはスロープが設けられておりバリアフリー対応は勿論、大規模展開催時には待機列スペースにもなる仕様。こちらの仕切りのガラスは非常に透明度の高い特殊なものが用いられており、建物の向こうまで見通せるほど!仕切りがあることを感じさせません。空間の断絶感を失くすための工夫です。
三角スペースから地下のガラス・リボンに降りたところもギャラリーとして活用可能なスペースとなっており、主に若手作家の展示や実験的な試みなど、多目的な使用が想定しています。
なお、こちらもフリーゾーンなので、ガラス・リボン内のショップで買い物だけ利用したい!カフェで一服したい!という方も気軽に利用することができます。
「展覧会を見るため」以外でも、ちょっと近くに来た際に美術館に訪れる、そんな楽しみ方ができそうですね。
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がらりと新しい物にやり替えるのではなく、建物内の倉庫や使われていないスペース、眠っている敷地内のスポット。そんな場所を発掘し、活用すればより色々なことができる。
その設計コンセプト通り、京都市京セラ美術館は、京都市美術館が今まで持っていたポテンシャルを引き出し、時代に合わせた形にアップデートした姿となっていました。
グランドオープンは2020年3月21日から。そこから美術館がどのような歴史を紡いでいくのか、とても楽しみです!
2019年12月21日からはオープンに先んじてプレイベントも始まります。
気になる方はぜひ、開館前に一度見に行かれてはいかがでしょうか?