Exhibitions展覧会

特別展「フルーツ&ベジタブルズ-東アジア蔬果図の系譜-」

2018/11/03(土) 〜 2018/12/09(日)

泉屋博古館 

蔬果(そか/果物や野菜)は古くから子孫繁栄や高潔・清貧といったイメージが重ねられ、禅宗の教えの広がりとも相まって古くから日本でも描かれてきたモチーフです。今回はそんな蔬果を描いた「蔬果図」の作品を中世~近代まで揃えご紹介します。身近な題材から広がる小宇宙をお楽しみください。

みずみずしく新鮮な野菜、香りたかく豊潤な果物 ―日々の暮らしに活力と潤いを与える蔬果(そか)は、日本でも長く描かれてきたモチーフです。蔬果を描いた絵は蔬果図と呼ばれ、そこには人々が蔬果に様々な思いを重ねてきたことが浮かび上がります。

蔬果図の歴史は中国宋代にさかのぼります。果実は旺盛な生命力が子孫繁栄などの象徴とされ、吉祥画として好んで描かれるようになりました。また、蔬菜は泥にまみれつつも清淡な姿と味わいから、俗に交わらない高潔の象徴とされ、清貧の高士のイメージも仮託されるようにもなりました。これらのイメージは中国から朝鮮を経て中世の日本に禅宗とともに伝わり、主に禅宗寺院の画家たちによって盛んに描かれました。近世に入ると、植物や自然を薬用観点から研究する本草学の流行に伴い、蔬果の変化に富む姿形や性質にも関心が向けられるようになり、蔬果図もより写実的でバラエティ豊かなものになっていきました。

そして江戸後期、京都を代表する二人の画家が相次ぎ蔬果絵巻を制作します。錦小路の青物問屋主人だった伊藤若冲(1716-1800)の《菜蟲譜》と、俳諧や美食家でも知られる呉春(1752-1811)の《蔬菜図巻》です。奇怪な存在感の若冲、穏和でみずみずしい呉春、表現は対照的ながら、古来の蔬果図の影響に、本草学や漢詩文・俳諧の新潮流をもうかがわせます。長大な画面に野菜や果物が躍動する様は、まさに蔬果図の集大成ともいえるでしょう。

その後近代にいたると、西洋絵画の静物画に影響された作品も多く描かれ、従来の蔬果のイメージとも融合した作例が日本画・洋画双方から生まれました。

今回の展覧会は「描かれた野菜・果物」をテーマに、泉屋博古館所蔵の作品に国内の名品を加え、日本をはじめとする東アジア絵画の一面に光をあてるものです。多彩な蔬果図からは、小さな生命への賛歌が聞こえてくるようです。身近な素材からのぞきみる小宇宙をお楽しみください。

※会期中、一部展示替される作品がございます。
 

【特別展示】蔬果を愛でる―文人の書斎から

中国の文人は目を楽しませ気を養うものとして、蔬果を身近に置きました。その流れをくむ文人茶の実践者・佃一輝氏による果物・野菜のしつらえが、展覧会会期中館内各所に出現します。ぜひご高覧下さい。

展覧会概要

期間 2018/11/03(土) 〜 2018/12/09(日)
会場・開催場所 泉屋博古館
時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館・翌日休館)
料金 一般:800円
高大生:600円
中学生:350円
小学生以下無料
注意事項等 ※上記料金で特別展・青銅器館両方の展示をご覧いただけます ※20名以上の団体は料金が2割引となります ※障がい者手帳をご提示の方は無料です
お問い合わせ TEL:075-771-6411075-771-6411
ホームページ http://www.sen-oku.or.jp/

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