Exhibitions展覧会

開館40周年 夏期展「樂焼って何だろう?炎の中の赤と黒」

2018/06/30(土) 〜 2018/08/26(日)

樂美術館 

約450年前に千利休の「侘茶」を現す茶碗として生まれた樂焼。樂家では、現在でも変わらず窯の炎を守り続け、新たな茶碗が生まれています。今回の展観会では、初代長次郎から15代吉左衞門まで、歴代が手掛けた個性に富んだ赤樂茶碗や黒樂茶碗の名品をご紹介します。茶碗を通じ、その内に潜む熱量を感じてみて下さい。

真夜中の樂家。樂焼の窯は静かに炎を灯す。
硬い備長炭がパチパチと声を上げ、鞴(ふいごと呼ばれる木製の人力送風装置)から優しく柔らかな風が送られる。
月明かりの下、窯場の炎は凛とした空気に包まれている。
夜の冷たく澄んだ空気と、窯の暖かな炎が生み出す緊張感。
茶碗はまだ窯には入らない。窯そのものにエネルギーが蓄えられる。窯場自体がまるで精神統一をしているかのような、そんな時間が流れていく。
ちょうど月が隠れて太陽が顔を出そうとする時、もうそろそろどう? と炎に包まれた窯が話しかけ、最初の茶碗が託される。
その頃には鞴から強くしなやかな風が送られ、備長炭もバチバチと炎を纏う。
炎は人がコントロールしようとも簡単にはできない。自然の奔放さを感じ捉えないと、たちまち業火と化してしまう。
炎に包まれた茶碗は真っ赤に輝き、産声を上げる瞬間をじっと待ち望む。
失敗を繰り返した経験の中で得た絶妙なタイミングで、真っ赤に燃え光る茶碗は、鉄鋏(てつばさみ)で窯から引き出される。
窯の温度が下がらぬよう、一瞬のうちに炭が避けられ、次の一碗が窯に託される。
そこに集う人々は勿論のこと、窯場や窯、鞴、炭、真っ赤に燃える炎など全てのものが呼吸を合わせて、一碗、そしてまた一碗と、ひとつずつ丁寧に。
そして太陽が沈む頃、炎を喰らい続けた窯は、ついには悲鳴を上げてその終わりを告げる。

***

今から約450年前、千利休が考える「侘茶」の思想を現す茶碗を創造する為、樂家初代・長次郎は他に類を見ない特殊な焼成方法で茶碗を生み出しました。樂家では、現在でも変わらず窯の炎を守り続け、新たな茶碗が生まれています。

今回の展観では、初代長次郎の黒樂茶碗「萬代」や3代道入の赤樂茶碗「僧正」、5代宗入の黒樂平茶碗「古池」、15代吉左衞門の焼貫黒樂茶碗「老鴞」などが並びます。個性に富んだ赤樂茶碗や黒樂茶碗から、その内に潜む熱量を感じて頂ければ幸いに存じます。

展覧会概要

期間 2018/06/30(土) 〜 2018/08/26(日)
会場・開催場所 樂美術館
時間 10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日 月曜日(祝日は開館)
料金 大人:900円
大学生:700円
高校生:400円
中学生以下無料
お問い合わせ TEL:075-414-0304075-414-0304
FAX:075-414-0307
ホームページ http://www.raku-yaki.or.jp

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