Exhibitions展覧会

人はどのようにかたちを捉えるのでしょうか。
人は各々、ものに対して主観的なイメージを持っています。茶室で道具を見るとき、見慣れたかたちには安心感を覚え、見たことのないかたちや想像しなかったかたちには驚きと違和感を感じます。
しかし、その驚きがものめずらしさに終わるのではなく、閉じた場に新たな生気を吹き込み、茶の湯に面白く作用したなら――今までの見聞にはなかったものを、もっと見たい、見せたいという欲望が茶人に芽生えることでしょう。

今回の展覧会は、2015年に行われた「釜のかたち PARTⅠ」に引き続き、釜の「かたち」の注目した展示を行います。切子釜や提灯釜、鍔ノ釜など、閉じの茶趣や逸話にあった「かたち」を釜の造形で表現した作品が並びます。

定まった約束の中に美を見出そうとする茶室にありながら、自在にかたちを遊ぶ釜。そこには、釜師の創意だけでなく、注文主である茶人の意気込みが盛り込まれています。斬新なかたちの釜、磨き抜かれた様式美を体現する釜。それぞれにどんな茶が行われ、どんな茶人があったのか。あるいは、鑑賞者自身が好む釜のかたちとはどのようなものなのか。茶人たちの美意識や感性に想像を膨らませながら、タイムスリップ感覚でご覧いただければ幸いです。