Exhibitions展覧会
黒宮菜菜 展「夜―朧げな際」
自ら知覚できるものではなく、想像で補完されたものでしかない身体の輪郭の稀薄さや不安定さを「滲み」や「暈かし」によって表現してきた黒宮菜菜の個展。今回は油彩画や染料による新作絵画で、夜の世界を彷徨うかのようにどこか不安定な身体感覚を呼び覚まします。
画家・黒宮菜菜の個展です。
黒宮は自ら知覚できるものではなく、想像で補完されたものでしかない身体の輪郭の稀薄さや不安定さを「滲み」や「暈かし」によって表現してきました。その不明瞭な「際」は、その描写方法による物理的な輪郭の不確かさだけでなく、「描く」という行為と、液状に溶いた絵具そのものが広がっていくという「現象」との間で、描画する主体の揺らぎをも表しています。
黒宮は、この移ろう「際」を、「夜」になぞらえます。日が落ちて暗くなりゆくとき、物の輪郭は闇に溶け出すように曖昧なものになります。そして夜はいつも、昼との境目は不確かなままに、いつの間にか訪れているのです。
最近はその絵具の滲みを以前よりもコントロールすることができるようになったという黒宮。彼女の表現する「際」は、以前にも増して彼女自身の感覚に近づいたものとして表されます。
今回の展覧会にて発表される油彩画や染料による新作絵画に描かれた、透明感の高い背景に溶けゆく「際」の痕跡や、重ねた和紙に滲ませた染料によるイメージのズレなどに導かれ、夜の世界を彷徨うかのようにどこか不安定な身体感覚が呼び覚まされることでしょう。それは私たち自身と世界を隔てる「朧げな際」との新たな出会いとなるのです。ぜひご高覧ください。
黒宮菜菜
1980年東京都生まれ。2012年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程美術専攻(絵画)単位取得満期退学。2015年京都市立芸術大学博士(芸術学)学位取得。
【主な個展】
トーキョーワンダーウォール都庁 2014 」(2015 、東京都庁第一本庁舎3階南側空中歩廊)
「黒宮菜菜展―流彩の幻 景―」(2010、INAX ギャラリー 2 、東京)
【主なグループ展】
「3人の絵」(2016、同時代ギャラリー、京都)、「トーキョーワンダーウォール公募2014入選作品展」(2014、東京都現代美術館、東京)、「極並佑・黒宮菜菜・三好彩展」(2012、渋谷ヒカリエ8/CUBE1,2,3、東京)、「ACGeyes5:FourPaintings―黒宮菜菜・水田寛・塩入ゆり・新平誠洙―」(2012、ARTCOURTGallery、大阪)、「ArtCourtFrontier2010#8」(2010、ARTCOURTGallery、大阪)など。
展覧会概要
期間 | 2016/08/04(木) 〜 2016/08/21(日) |
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会場・開催場所 |
京都市立芸術大学 ギャラリー@KCUA(アクア)
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時間 | 11:00~19:00(入場は18:30まで) |
休館日 | 月曜日 |
料金 | 無料 |
お問い合わせ | TEL:075-253-1509075-253-1509 |
gallery@kcua.ac.jp | |
ホームページ | http://gallery.kcua.ac.jp/ |
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