Exhibitions展覧会
吉本和樹「撮る人“toruhito”」
広島出身の写真家・吉本和樹の初個展。彼の広島をテーマにした作品の中から、今回はヒロシマのシンボル的存在・原爆ドームを撮影する人々を被写体とした《撮る人 A-bomb Dome》のシリーズを中心に紹介します。世界から集まり、原爆ドームを見つめる人々の姿を通して見えるものに、ご注目ください。
《撮る人 A-bomb Dome》 ©yoshimoto kazuki
写真をメインに活動を行っているアーティスト・吉本和樹の初個展です。
吉本はこれまで、故郷・ヒロシマをモチーフに撮影を行いながら、ヒロシマという場所に対して人々が抱くイメージや、その場所が持つ機能や力、そこに向けられるまなざしをテーマにし制作活動を行ってきました。
今回の展覧会では、2011年から取り組んでいる、原爆ドームに対してカメラを向ける人々の後姿を撮影したシリーズ《撮る人 A-bomb Dome》により構成します。
1945年に原子爆弾が投下された際、爆心地に残った産業奨励館という建築は、その形状から”「原爆ドーム」と呼ばれ、ヒロシマのシンボルとして位置づけられています。そして現在、広島市だけでも年間1165万人、うち海外から65万人以上の旅行者がこの地を訪れ、そのほとんどがこのドームを目にし、そこにカメラを向けているといえます。
多くの旅行者が同じルートを辿って原爆ドームへ向かい、同じような位置から撮影している光景は、広島に生まれた吉本にとって見慣れたものでした。しかし、ある時に「この一連の流れがオートメーション化されたもののように見えた」という彼は、その延々と繰り返される画一性に違和感を覚え、ドームと撮影者をひとつのファインダーに納めた写真を撮影します。その後撮影した写真を見返すうちに、吉本は次第に、そこに写る撮影者の性別、国籍、年齢、体格、服装、服の皺、髪の毛の色、持ち物、カメラの構え方など、当たり前の「多様な違い」に純粋な興味を抱きます。そして後日、「原爆ドームを撮影している人の背後に気づかれないようにそっと近づき、後ろ姿のみを撮影してみた。」と言います。
ここで「 『原爆ドーム』を撮る人 」への興味に端を発した吉本の撮影は、「 原爆ドームを『撮る人』 」へと被写体を移し《撮る人 A-bomb Dome》のシリーズ制作は始まりました。
これまでのおよそ70年に渡り、広島は「ヒロシマ」、産業奨励館は「原爆ドーム」と呼ばれ、それはこの地を訪れる様々な人々と歴史的なコンテクストを共有する際のシンボルとして今も強力に機能しています。しかし、それがあまりに強力すぎるが故に、ヒロシマやドームは私たちの目と思考を瞬時に引きつけ、私たちの、目の前のものをよく見、そこから思考する態度を停止させてしまう要素をも併せ持つのかも知れません。吉本は、ここには言葉で形容しがたい独特な雰囲気があり、それは広島という街の隅々まで充満し、あるいはそれらについて考えた時にさえその雰囲気の存在を感じると言います。そして、その雰囲気の中心に、シンボルとして配置された原爆ドームがあると考えています。
このシリーズの制作を通じて吉本は、この原爆ドームの周辺にあるモノや人を観察することで、その霞のような雰囲気に目を凝らし、その考察を試みています。この機会にぜひご高覧ください。
吉岡和樹
1984年 広島生まれ
2005年 日本写真映像専門学校卒業
2007年 京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業
2012年 情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了
2015年 グループ展「視点の先、視点の場所」@京都造形芸術大学 ギャルリオーブ
展覧会概要
期間 | 2015/11/24(火) 〜 2015/12/06(日) |
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会場・開催場所 |
Gallery PARC
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時間 | 11:00~19:00(金曜日は20:00まで/最終日は18:00まで) ※月曜休廊 |
料金 | 無料 |
お問い合わせ |
TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0706 |
info@galleryparc.com | |
ホームページ | http://www.galleryparc.com |
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